ここでは最も優れた歌詞を作ったアーティストに贈る。

優秀賞

King Gnu

羊文学

Marukido

折坂悠太

yonige

Age Factory

Moment Joon

米津玄師






大賞

GEZAN

2020年初頭。まだだれもがこれから来る未曾有の混乱など予期していない時、この曲が投下された。ミディアムテンポからひとつずつ繰り出される言葉はどす黒く、ギラギラし、それでいて鋭利だった。「インターネットが神様の代わり」「新しい差別が人を殺した朝、正しさって何だろう」「新しい暴力を 何でもって乗り越えよう」「倫理には値札 メディアが終わる」と次々と突きつけられる言葉。思わず言葉を失い理解を超えてくすぶってしまっておいた感情が漏れ出てくる。実感はないけれど、実体もないけれど、何かを問われている気がして、それを探そうとしている。

「この街に価値はないよ、命に用があるの」
この一年で一体人間は何を学べたのか。

総評

随分とエモーショナルな書き方になったが、それくらいにGEZANは悲壮なほどに現実を映していた。映しすぎていたし、不幸にもそれを体現してしまった。たった20万回しか再生されていないこの現状を憂いてしまう。好きだから、嫌いだから、というポジションではなく、一人間として、音楽好きとして、これがスルーされるシーンがあっていいのだろうか、と真剣に思う。ひいき目なんだろうか、贔屓にしているつもりはないが。
話を変えると、yonigeの歌詞の成長は目を張るものがあった。Moment Joonのような日本語にこんな歌はなかったと言い切れる視点もあり、折坂悠太のような、一握の希望を歌ってくれる人もいた。なにかと歌詞が話題になりネタにされがちな一年だったけど、言葉は思ったよりも重く、深い。それは私たちも作る側もより一層意識しなければならないことだ。



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