舞台はブラジル。目の見えない少年と幼馴染の女の子の間に、転校生の男の子がやってきて、少年と転校生が仲良くなっていく中で、少女との距離が離れていく。青春劇だ。ただ、他と違うのは、転校生が男の子である事、主人公は盲目である事。ポルトガル語である事。この三点だ。

ブラジル・サンパウロを舞台に、思春期の若者たちの揺れ動く感情をみずみずしく切り取った青春ドラマ。世界各地の映画祭で話題を呼んだ2010年の短編映画「今日はひとりで帰りたくない」を、監督のダニエル・ヒベイロ自身が同じキャストを起用して長編映画化した。目の見えない高校生のレオは、少し過保護な両親や優しい祖母、いつもそばにいてくれる幼なじみの女の子ジョバンナらに囲まれて平穏な生活を送っていた。ある日、彼のクラスにガブリエルという少年が転校してくる。レオとジョバンナは、レオの目が見えないことをからかったりしないガブリエルと自然に仲良くなっていく。ガブリエルと一緒に映画館に行ったり自転車に乗ったりと新しい世界を知るレオだったが、やがてそれぞれの気持ちに変化が生じはじめ……。2014年・第64回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞とテディ賞を受賞。日本では「ブラジル映画祭2015」で上映、18年に劇場公開。

目が見えないことで起こる学校内でのいじめも、親の過干渉にいらだつことも、すごく(盲目者にとって)普遍的な悩みであり、ある意味避けては通れない現実である。この映画でも主にその二点に振り回されるのだが、彼が幸運なのは幼馴染のジョヴァンナという女の事がいることだ。彼女は極めて嫉妬深い10代の女の子なのだが、その分愛情が深い。ホンネを言えないのはレオもジョヴァンナも同じだが、どうしても彼女はレオに素直に関係を戻すことを選べない。よくよく考えたら、この映画はジョヴァンナの嫉妬で全て動いている。レオに悪質な落ち度などない。でもそれが青春なんだと感じる。そのわがままで自己中心的で本音を隠したがりな所こそがリアルな10代であり、そこを丁寧に描き出した映画だと思う。

音楽も豊かで、なかなかお目にかかれないアーティストが多い。その中でもこの映画のメインソングになっているBelle & Sebastianは珠玉。ファンなら是が非でも見ておきたい作品である。

Belle & Sebastian – There´s Too Much Love



Cícero – vagalumes Cegos



david bowie – modern love


Marvin Gaye – Lets get it on


The national – Start a war


The Gryphon Trio – Piano Trio No. 2 In E-flat, D. 929, Op. 100: Andante Con Moto


Alexander Malter (piano), Dieter Schwalke, セルゲイ・ベズロードヌイ & ウラディミール・スピヴァコフ – Spiegel im Spiegel: 2