まずは今回の個人タクシーシステムを知ることから。日本にはまだまだなじみのうすいスタイルだが、海外の映画にはたまに登場する。要はUverで、アプリで個人でタクシーをしている人を捕まえる。金額も決まっていて、個人評価が直接人気に影響するので非常にサービスもよい。このカートカンクルのタクシーも例外ではない。

Netflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のジョー・キーリー主演で、SNSの恐怖と不条理を描いたスリラー。ライドシェアドライバーのカート・カンクルはフォロワーを増やしたい一心であるアイデアを思いつく。それは乗客を手にかけ、その様子をライブストリーミングで配信するというとんでもないものだった。カートはSNSをバズらせて人生の一発逆転をもくろむが、「フェイクだ」「退屈だ」と、反応は散々なもので、まったく盛り上がる気配がない。思惑がはずれたカートの怒りの矛先は乗客にとどまらず、拡散させないインフルエンサーにまで向けられていく。カートに立ち向かうコメディアンを「サタデー・ナイト・ライブ」のサシーア・ザメイタが演じるほか、デビッド・アークエット、ミーシャ・バートン、ララ・ケント、フランキー・グランデらが顔をそろえる。

映画.comより

フォロワーを増やすために狂気的な行動に出るスプリーキラーぶりを発揮する主人公カートの物語だが、そのシンプルさと裏腹に、非常によくできたカメラワークと映像であることは一番の肯定的な感想だ。

車内の固定カメラが基本的なカメラワークになるのだが、そこがよく撮れていて、リアリティショーの雰囲気もあるし、見える部分と見えない部分のバランスも良い。途中でスマホの配信映像もおりこまれるが、そうした俯瞰的な映像が圧倒的に少ない作品のなかでは、ブレや映像の粗さも少なく、目が疲れることなくしっかり見られる。それだけでも十分見る価値はあるのではないだろうか。

カートもまあまあうっとおしいやつではあるがコミュニケーションが取れない人というわけでもなく、だからこそヤバさが浮き彫りになっている。

迷惑系Youtuberの究極系がここにいた。