邦画ってもうこういう辛気臭いのしか作れないのかってくらいに定期的に出てくる。問題作おおすぎだろ。

「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督によるオリジナル脚本作品で、古田新太主演、松坂桃李共演で描くヒューマンサスペンス。女子中学生の添田花音はスーパーで万引しようとしたところを店長の青柳直人に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれて死んでしまう。娘に無関心だった花音の父・充は、せめて彼女の無実を証明しようと、事故に関わった人々を厳しく追及するうちに恐ろしいモンスターと化し、事態は思わぬ方向へと展開していく。悪夢のような父親・添田を古田、彼に人生を握りつぶされていく店長・青柳を松坂が演じ、「さんかく」の田畑智子、「佐々木、イン、マイマイン」の藤原季節、「湯を沸かすほどの熱い愛」の伊東蒼が共演。

映画.comより

以下感想。

事故が起きた後の報道で、松坂桃李演じる店長がどんな人物だったのか周りの人たちがテレビのインタビューに応えるシーンがあって、いかにもなおばさんが(そして噂レベルの話をペラペラ喋るのはいつもおばさんである)「亡くなってからお店継いで、何考えてるかわからなくて無愛想で」と話すのだが、流石にこのご時世であんまりこういう報道ってあまり見なくなったよな。平成中期でなくなったスタイル。もちろん今も過激さを落としたものはあるが。最近だと4600万振り込まれてとんずらした男性の卒業文集までさらしたり、自殺した芸能人の家まで駆けつけたり、到底適切とは思えないとち狂ったマスコミの行動はまだまだあっても、あの時代は終わったなと。

ただ2ちゃんねるで面白コラ画像作られてるのはリアルだしレスもよくできてた。映画の中の2ちゃんねる(ネット掲示板)って嘘っぽくて全然リアリティがないことが多いけれど。しかしさすがに報道陣がクソすぎる。まぁクソなのは事実だけれど、さすがに見ていて気持ち良くない。気持ち良くなくさせる演出なのは理解していても、それを上回る腹立たしさ。

今回の面白いところは、結果的に加害者になった松坂桃李も被害者自身も被害者の父親の古田新太も、みんな報道にいいようにおもちゃにされてるところ。誰も得してない。誰も一方的に責められてない。全て捏造と歪曲で人を断罪しようとするテレビの司会者。

ふと思う。

世の中の不正を見逃さず追及する。そのためには多少強引でも、その大義名分がある。そして実際に不正の証拠を白日の元に晒せば更なる不正を防ぐことができる。ただ今回のように起きてしまった犯罪(しかも今回は誰も意図せず起きた事故)を追及するのは単に数字目当てであり金儲けのためであるから、大義名分がない。真実を突き詰めたところで何も世の中は良くならない。マスコミの大義名分が使えないのでただ単に醜悪に映る。実際醜悪そのものなのだが。

ただちょっとわかりやすくキャラを立てすぎかな。正義おばさんの正義振りかざしが露骨すぎて誰もが「こいつウザ」になるから、解釈の残しようがない。製作者の意のままに印象を持ってかれる。これを誘導されずに観ようと思う方が不自然だし、無理がある。そういった強引さが目立った気もした。

ずっと胸が晴れず、ラストのオチで赦されるようなレベルじゃなく、気分が悪い。そういうのが好きな人はぜひ。