忽然と姿を消したレンジャー隊。生き残った者たちに尋問をかけ、何があったかを解明しようとする主人公たち。そして追っていくごとに深まる謎と証言の矛盾。すこしずつ闇も明るみになり、混沌とした状況へと陥っていく。映画として極めてよくできた作品だった。

「ダイ・ハード」のジョン・マクティアナン監督が、熱帯のジャングルを舞台に描く二転三転サスペンス。レンジャー部隊教官が密林での訓練中に不審な死を遂げるが、関係者が証言するたびに、事態は次々に新たな様相を見せていく。いったい何が起きたのか。最後に思いもよらなかった真相が判明する。「パルプ・フィクション」コンビ、トラボルタが事件を捜査する元レンジャー隊員役、サミュエル・L・ジャクソンが死んだ教官役で共演。

映画.comより

ジョントラボルタの作品を見ることがほとんどなかった中で、勧められたから見た本作は、想像以上の満足感だった。徐々に輪郭が明らかになるサミュエル・L・ジャクソン演じるウエスト軍曹の実態と蛮行。しかしそれをめぐって真実が揺れていくさまも面白い。そしてその二転三転を必死に追い続けると、最後に大きくひっくり返される。「ユージュアルサスペクツ」でみたようなどんでん返しは、よい映画の一つの指標だ。最後に突然新キャラが登場してひっくり返すオチはあまり感心しないが、この映画のように伝聞で浮かび上がる人物の実態が揺らいで翻弄される映画は緻密で繊細だ。

ただ名前と顔を一致させるので精一杯で、さらに「あいつの言うことは嘘だ!」とか始まるので、少々混乱。もうすこし聡明な人間が見るべきだったか、事前に名前と顔くらいは観ておいた方がよかったかもしれない(それもまたアレなんだが)。

基本的に雨で夜なので映像は暗く、気持ちも晴れやかになることはなく、ラストシーンが一番和やかなくらい。

それにしてもサミュエル・L・ジャクソンが嫌な軍曹を見事に演じきっていて、「こいつがマジモンのマザー〇ァッカーじゃん」とか思ったり。

劇中にはMoby のNatural Bluesが流れる。様々な映画に合うMobyの楽曲だが、この映画で流れたことにはさすがに驚いた。そこまでイメージにピッタリというほどでもなく、聞き逃してしまうレベルの選曲。

Natural Bulesはもう少しヒューマン系の映画に合う気がする。使い方次第なのかもしれないが。