ネットでも度々名前が挙がるなど、人気ぶりは認知していた「レディプレイヤー1」。どんな内容かも知らないまま、とりあえず見てみようと決心。

スティーブン・スピルバーグ監督が、アーネスト・クラインによる小説「ゲームウォーズ」を映画化したSFアクション。貧富の格差が激化し、多くの人々が荒廃した街に暮らす2045年。世界中の人々がアクセスするVRの世界「OASIS(オアシス)」に入り、理想の人生を楽しむことが若者たちの唯一の希望だった。そんなある日、オアシスの開発によって巨万の富を築いた大富豪のジェームズ・ハリデーが死去し、オアシスの隠された3つの謎を解明した者に、莫大な遺産とオアシスの運営権を明け渡すというメッセージが発信される。それ以降、世界中の人々が謎解きに躍起になり、17歳の孤独な青年ウェイドもそれに参加していた。そしてある時、謎めいた美女アルテミスと出会ったウェイドは、1つ目の謎を解き明かすことに成功。一躍オアシスの有名人となるが、ハリデーの遺産を狙う巨大企業IOI社の魔の手が迫り……。作中のゲーム世界には、アメリカはもとより日本のアニメやゲームに由来するキャラクターやアイテムなどが多数登場する。

映画.comより

映像やプロットなどはさておき、一番気になったのは、この映画のオタクくささだ。オタクを毛嫌いするつもりはないが、オタクの妄想に付き合わされている感がたまらなくしんどかった。ゲームが世界でトップレベルに上手くて、ゲーム内では気の強い女性が現実では自分に自信なくて、こっちがやさしい言葉をかけたら惚れてくれる…なんて都合のいい話は寝る前の個人の妄想にとどめておいてほしい。胸やけがする。

Twitterで「オタクに優しいギャル」という創作漫画が流行っているが、それに似たしんどさがある。個人の妄想なので「そんなギャルはいない」という野暮で非情な現実を突きつける必要はないと思うが、「自分はなにも努力しなくても勝手に向こうから好きになってもらえる」という魂胆は「そりゃモテないし友達もできないよ」と感じてしまう。「サイゼで喜んでくれる彼女がいい」も、サイゼで喜んでくれるくらいに関係を築いたり、サイゼで喜ばれるくらいに楽しい時間を提供しようという努力もなしに、相手の寛容さだけをどこまでも求める自分勝手なスタンスは映画でも漫画でも「キツイ」。

話を映画に戻すと、劇中に出てくる日本リスペクトなガンダムやメカゴジラなどは楽しく観ることができたが、使用される劇中歌が、これもまたひどい。近未来、たしか2040年くらいの話だったはずだが、なぜか主人公が生まれるずっとずっと前の、1970~1990年代の楽曲ばかり。この時代錯誤感と、選曲した人間の「おっさん」がぬぐい切れず、ダサさとイタさの象徴みたいになってしまった。

Van Halen – Jump

oan Jett & the Blackhearts – I Hate Myself for Loving You

ブルース・スプリングスティーン – Stand On It

Blondie – One Way Or Another

New Order – Blue Monday ’88

Bee Gees – Stayin’ Alive

Twisted Sister – We’re Not Gonna Take it

80年代が大好きな白人のおじさんオタクが美少女にモテて世界を救う話をウキウキで考えていたと思うと頭が痛いし、原作は読んでいないのでわからないが、すくなくともここまで加齢臭のする作品ではなかったはずだ。子供がワクワクしてみるには十分だが、いい大人が…と思ってしまうほど現実逃避な作品。

日本にもこういったおじさんの妄想がイキイキしている作品(新海誠とか)はアニメでよく見かけるが、よくここまでお金をかけて妄想を具現化したなと感心する。