激やばおじさんとかわいい愛犬との心温まるハートフルヒューマンドラマ、と信じていたのに。
潔癖家で毒舌の変人小説家が、なじみのウェイトレスや隣人との交流を通して人並みの愛を知るまでを描いたラヴ・ロマンス。主演のジャック・ニコルソン(「ブラッド&ワイン」など)、ヘレン・ハント(「ツイスター」)がそれぞれ97年度(第70回)アカデミー賞で最優秀主演男優賞・同女優賞を受賞したことでも話題に。監督は「愛と追憶の日々」でニコルソンと組んだ「ブロードキャスト・ニュース」のジェームズ・L・ブルックス。脚本は「レイト・フォー・ディナー」のマーク・アンドラスの原案を基に、アンドラスとブルックスが執筆。製作はブルックスと、「ザ・エージェント」のブリジット・ジョンソン、「ブロード~」「スリーパーズ」のクリスティン・ズィー。製作総指揮は「ザ・エージェント」のリチャード・サカイとローレンス・マーク、「靴をなくした天使」のローラ・ズィスキン。撮影は「ボディ・バンク」のジョン・ベイリー。音楽は「草の上の月」のハンス・ズィマー。美術のビル・プルゼスキ(「マチルダ」)、編集のリチャード・マークス(「愛と追憶の日々」)、衣裳のモリー・マギニス(「ジキル&ハイド」)は「ブロードキャスト・ニュース」でもブルックスと組んだスタッフ。共演は「ザ・エージェント」のキューバ・グッディング・Jr.、「TOUCH タッチ」のスキート・ウールリッチ、「渇いた太陽」のシャーリー・ナイトほか。特別出演で監督のハロルド・ライミス、ローレンス・カスダンが顔を見せる。
映画.comより
ジャックニコルソンの狂気じみた演技は過去に見たことがある気もするが、今作では完全にかかわりたくないタイプの人間。それでも従順に言うことを聞く相手がウェイターのキャロルで、結局そのキャロルに失望され感謝されの繰り返し。人並みに恋愛をしようとする主人公に応援したい期落ちはあまり湧かないものの、とはいえうまくいかないと映画が終わらない部分もあるので、「おまえ!なんでそんなこという!馬鹿か!!」と奇人狂人の主人公に怒りをぶつけてしまう。
話の展開もスムーズで、昔の映画(といっても数十年前だが)の割にそれがきにならない、スッと映画にのめりこめた。でもこういう偏屈ジジイってもうゲームセット一歩手前なのが現実で、こんなに献身的になんどもトライさせてあげる器量を持った女性もなかなかいないとおもう。自分のやり方が決まっていて柔軟性がなく人の話を聞かない。相手に嫌な思いをさせて自尊心を保つような人間ははっきりいってクソだし、ジャックニコルソンが演じた主人公もどう転んでもクソである。
でもラストシーンからもわかるように、そこに些細な幸せと気づきにあふれ、素直さと根気を携えればいろいろ見えてくる景色も変わってくるというもの。それは二人に限ったことでもなくて、大けがをして破産もしてしまった画家のサイモンにも通ずるところで、この3人の心情描写が極めて細かくセリフも巧みなので引き込まれていく。