平庫ワカの同名コミックを、永野芽郁の主演、「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督のメガホンで映画化。鬱屈した日々を送っていた会社員・シイノトモヨは、親友のイカガワマリコが亡くなったことをテレビのニュースで知る。マリコは幼い頃から、実の父親にひどい虐待を受けていた。そんなマリコの魂を救うため、シイノはマリコの父親のもとから遺骨を奪うことを決意。マリコの父親と再婚相手が暮らす家を訪れ、遺骨を強奪し逃亡する。マリコの遺骨を抱き、マリコとの思い出を胸に旅に出るシイノだったが……。亡き親友マリコを奈緒、シイノが旅先で出会うマキオを窪田正孝、マリコの父を尾美としのり、その再婚相手を吉田羊が演じる。

映画.comより

永野芽郁の作品はあまり見たことがなくて、新鮮さもあるが、同時に彼女の魅力がより感じられた作品でもあった。それだけ永野芽郁に対してネガティブでもポジティブでもない評価が自分の中であったし、今回ですごく好意的に、他の作品も見てみたいなと思わせてくれた。

また今作は共依存関係でもあり、ドメスティックバイオレンスの話でもあり、女性同士の連帯の話でもあった。こうしたシスターフッド的な作風に窪田正孝演じるマキオがマリコの恋愛対象として登場してこず、マキオ自身も深入りしてこないところに徹底したコンセプトが感じられる。

一方でマキオはストーカーレベルで登場してくるのに全く道理の通る説明もなく、ひったくりは捕まって当然のレベルの無計画さと杜撰さで浮世離れ、漫画原作なんだろうなというのがひしひし伝わる情景描写など、すこし劇画チックで冗長的で、説明過多(永野芽郁が全部しゃべっちゃう)。街の人は無関心で、良くない映画にありがちな主人公が街になじんでいない問題が露呈する。

そういった意味でも、漫画ありきの平たい映画だった点とシスターフッドを焦点に充てた点、永野芽郁や奈緒の熱演を加味しても見てもまあいいんじゃないかなあと思った次第。