殺し屋と日常系、不似合いの組み合わせを見事の10代の女性二人が世界観を作り上げている。大笑いはしなくても、ずっと満足してみていられる。

社会不適合者な殺し屋の少女たちが、社会になじむため奮闘する姿を描いた異色青春映画。高校卒業を目前に控えた女子高生殺し屋2人組のちさととまひろ。組織に委託された人殺し以外、何もしてこなかった彼女たちは、高校を卒業したらオモテの顔として社会人をしなければならない現実を前に、途方に暮れていた。2人は組織からルームシェアを命じられ、コミュ障のまひろは、バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、2人の仲も徐々に険悪となっていった。殺し屋の仕事は相変わらず忙しく、ヤクザから恨みを買ったことから面倒なことに巻き込まれてしまい……。ちさと役を高石あかり、まひろ役を伊澤彩織がそれぞれ演じる。監督は「ファミリー☆ウォーズ」「ある用務員」の阪元裕吾。

映画.comより

アクションにも一切手を抜かない。セリフの一つ一つにこだわりと絶妙な目線が効いたやりとりがいちいちニクい。殺し屋としてのアクションムービーとしても、ふたりの女性のワンルーム(よりかはもう少し広いが)の自立の物語としても見られるのでおもしろい。殺し屋はあくまでひとつの機能であり、本質は彼女たちが社会不適合のなかで懸命に生きようとする話だ。今回は経済的に恵まれている話なので貧困とは結び付かないが、実はすごく社会に根付いたストーリーだった。

まひろ役の伊澤彩織はスタントパーソンだというのも知って、納得のアクションプレイだった。普通の俳優の特訓でできるレベルではなかったし。岡田准一かと思った。美しカッコいい姿が脳裏に焼き付いている。

伊澤 たぶん『ベイビーわるきゅーれ』を女子高生の設定でやって、冒頭のコンビニファイトのときに私服の格好で敵の男たちに持ち上げられるのと、制服姿で持ち上げられるのとではだいぶ話が変わると思います。見え方としても、パンチラとかも気にしないといけなくなるし、そこは本当に阪元さんがようやく排除してくれた。やっぱりアクションを立ち回りより「パンチラ、太もも、おっぱい」で見せようとしていた例は多かったとは思いますね。だから立ち回りや攻防の部分をしっかりお客さんに見てもらえるのは、『ベイビーわるきゅーれ』で良かったと思うところですね。

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女子高生を記号的なものとして扱うMVやCMや作品の多さにうんざりしている中で、こういった作品に出会えたのは本当に幸せだった。