今年この映画を見ずして2018年の映画を語ることはできない、というくらいの作品だった。
とはいえアメコミ系の映画(アベンジャーズシリーズを含む)をそんなに好んでいるわけでもない。むしろあまり知識はない方だと思う。だけれどシンプルに一つの作品としておもしろかった。主要人物が全員黒人でありながらアメリカで前代未聞レベルの大ヒットを飛ばしている。そうしたブラックカルチャーに関するクロス考察は専門家に任せるとして、繰り返し言いたいのは「観なきゃ話が始まらない」ってこと。それくらい象徴的なムーブメントなのである。
私自身が数年前からブラックカルチャーに興味があるというのもあるが、登場人物がみなチャーミングであるのも良かった一つである。王座の争いがメインテーマなのだが、どちらを悪者にするでもなく、キチンとフェアに扱っていた。

力で国を支配するか対話を重視するか。まるでキング牧師とマルコムXのような、そんな対比は黒人ならではの文脈があるのだろう。
目新しいストーリー展開があるわけでも斬新な映像表現があるわけでもないのに、しっかり作品として魅せる作りになっていたことがなによりすごいと思う。

ではここで、劇中に登場したワードで私がわからなかったものをリストアップした。これから見に行く人は参考にしてください。

ティムハード ダウェイ・・・アメリカ合衆国出身の元バスケットボール選手。アメリカプロリーグで活躍し、90年代を代表する選手の一人。183cmと小柄ながら妙技キラークロスオーバーを武器に、超攻撃型ポイントガードとして活躍した。シドニー五輪金メダリスト。オールスター戦には5度出場。イリノイ州シカゴ出身。

グレイスジョーンズ・・・ジャマイカ系アメリカ人の歌手、モデル、女優。 1970年代にアンディ・ウォーホールのミューズとなった。

ボニーアンドクライド・・・1930年代前半にアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返した、ボニー・パーカーとクライド・バロウからなるカップルである。

最後に音楽の話。むしろ音楽こそ聴きたくて行ったに近い。この映画にインスパイアされてケンドリックラマーらが作ったアルバム「BLACK PANTHER」が傑作中の傑作である。というか当然っちゃあ当然なんだけれど。
特にFutureやkendrick lamar、james blakeらが共作したKing’s Deadは2018年トップソング候補のひとつ。絶対聴いてほしい。

また映画の最後に流れるSZAとKendrick LamarのAll The Starsもナイスな一曲。エンドロールで聞こえた瞬間、鳥肌が立つのは必至。