はやくも上半期が終了しました。ノベル式で言うと、2017年12月から2018年5月が上半期扱いになります。なので邦楽洋楽をそれぞれ20枚ずつ選びました。暫定的なので年間トータルではまた変わってくるかもしれません。

SCANDAL – HONEY
中田ヤスタカ – Digital Native
CHAI – わがまマニア
YOUNG HASTLE – Love Hastle
DATS – Digital Analog Translation System ver.1
AL – NOW PLAYING
People In The Box – Kodomo Rengou
集団行動 – 充分未来
春ねむり – 春と修羅

kZm – DIMENSION
DIMENSION

片平里菜 – 愛のせい
愛のせい

片平里菜ってどうしても少し”いかにも”感が強くてあんまり自ら聴いてこなかったけど、今作は程よい距離感と自己主張で好感触。「愛のせい」ってなるほど片平里菜らしいタイトルだなと納得した後、じっくり聞いてみて二度目の納得。ずっとバラードでダレルる…なんてこともなくメロディアスさと声の冷たさがいい具合に混ざっている。片平里菜に突き放された方が私は萌えるのかもしれない。決してドМではない。

NakamuraEmi – NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5
NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5

新しい作品を出すたび音楽がアップデートされていて、やっとNakamuraEmiのエネルギーに音楽が釣り合うようになった。毒々しさだけじゃなくて、核心めいててちょっと冷めている彼女の怒涛の言葉攻めはいつでも楽しい。バカなフリして一回聞き流してみるけどやっぱり後から歌詞を読んでしまう。「かかってこいよ」と言われてへらへらしてられるわけがない。

Cero – POLY LIFE MULTI SOUL
POLY LIFE MULTI SOUL (通常盤)


Aqua Timez – 二重螺旋のまさゆめ
二重螺旋のまさゆめ

解散を表明した彼らのラストアルバム。出てきた初期は、歌詞だけでなんの中身もない音楽だと馬鹿にしていたし、正直その面は否めなかったのかもしれない。ラストアルバムと知って褒めちぎってやろうというわけではなく、その一方を知る前からこのアルバムを聴いて「へえこんな音楽やってるんだ」と偉そうにも驚いていた。まるで数年前の三浦大知やw-inds.を久々に聴いた時の感触と同じような。だからこそちょっと残念だった。T-3「えにし feat. GOMESS」でGOMESSを客演として迎えるなど、バラエティに富んだ音楽を作っていたしこれからに期待していた。だけれど、そのまなざしはきっと遅かったんだと思う。もっとは私も含め世間は彼らの面白さの種に気付くことができたのかもしれない。


DAOKO – THANK YOU BLUE
THANK YOU BLUE (通常盤)

DAOKOのあれよあれよ感はすごい。気付けば打上花火で日本のトップシーンに上り詰めていた。サンクラで無名の女子高生の音源が一部マニアで受け始めてから覆面で活動を始め、メジャーデビューした時でも「売れたなあ」とびっくりしたけれどまさかここまでになるとは。あまりマニアックな音楽に敏感なタイプじゃない私が珍しく無名時代から好んでチェックしていた数少ないアーティストの一人なのでこの感慨深さは「あ、そりゃあ手塩かけて育てたバンドが売れたら『売れちゃった~』て嘆くはずだわ」と不覚にも共感してしまった。
アルバムはメジャーデビューからここまでのベストのような詰め込み方で、共作者も様々で本当の意味でバラバラな音楽が並んでいる。そこにDAOKOのウィスパーボイスのラップが乗っかってぶつぶつと何やら意味ありげで何もなさそうなリリックを繋げていく。まだまだ可能性のあるアーティストであることは間違いない。



羊文学 – オレンジチョコレートハウスまでの道のり
オレンジチョコレートハウスまでの道のり

上半期一番の新発見は彼女たちだと思う。すぐこういう辛気臭いというか世界観ありますよ系のアーティストに惹かれがちなんだけれど、これで完成形とはいわないでねとだけ言いたい。高評価だけれど物足りない。もっとちょうだいって思えるアルバム。それって貴重。満足できないのは不満だからじゃなく気持ちいいから。

LILI LIMIT – LIB
LIB EP

LILI LIMITってずっとその辺のロキノンバンドだとしか思ってなくて放置していた。高めの声で四つ打ちしながら切なくて女々しい歌を歌うバンドだと思っていたらおそろしく裏切られた。そんなことするバンドって聞いてない。聞いてないし、なんでスルーしていたのか悔しさすらある。過去作品はまだ聴けていないのでこれからじっくり後追いしていくつもり。



大橋トリオ – STEREO
STEREO

大橋トリオは器用すぎてなんだかまとまりすぎて物足りなさがあったけど、今作はちょっと違う。ダークでやさしくて切ない、アンバランスさのあるアルバム。でもそれが飽きさせない。スケールの大きさも、そっと寄り添ってくれるような身近さも、それぞれで感じられるから好きだ。好きだ。とっつきにくさの裏腹のメロディアスな旋律も好きだ。

ヤなことそっとミュート – MIRRORS
MIRRORS

もうメロコアパンクを正当な手段で挑んでるバンドってどれくらいいるだろう。イケメンとか変拍子とかキャラクターとか歌詞の面白さとかそうういうフィルター全部外して真っ向から素手でぶんなぐってくる音楽を聴かなくなって久しい。そう思っていざ日本の音楽界をざっと見まわしてみると思い当たるのはBiSHとこのヤなことそっとミュートぐらいだった。もちろん売れもしないのにあくまでもシンプルなメロコアを作り続けているアングラバンドがいることは理解しているが、やっぱり売れない。世間が求めていないのか、売れていた時代があったことがおかしいのか、彼らの実力とセンスが壊滅的なのかは私にはわかりかねるが、どうしても表舞台に出てこない。PARAMOREっぽくもAshっぽくも、NEW FOUND GLORYっぽくもあるし、00年代中ごろのパンクみたいな、ストローハットの金髪白人がやってそうな音楽をやってくれるって、とても貴重。去年発売された「Any」はやっぱり最高。

スキマスイッチ – 新空間アルゴリズム
新空間アルゴリズム(通常盤)

あいかわらずわざとらしく歌いにくい曲も織り込んでそれでいてめちゃくちゃポップに仕上げてる。つかみどころのない人たちだっていつも思うけど、それはこの縦横無尽なメロディと何か言ってそうでそうでもない歌詞のせいだろう。それこそが彼らの強みであり一度聴いたら二回目を聴かずにはいられない秘訣だと思う。え、今なんて歌った?って引っかかるような旋律。ピアノの主張が意外と激しくなくいいバランスで音楽が作られているのもあって二度目三度目にスッと手が伸びる。そしてミドルからスローなテンポがやっぱり彼らはうまい。「ミスターカイト」はかなりの傑作。ということでスキマスイッチが上半期のベストアルバム。構成も流れも楽曲の一つ一つも、そして長さも文句なし。邦楽はポップスが上位に入りがちなので自分でも納得の一位。




では続いて洋楽を。

The Apx – Electrik Funk
Starchild & The New Romantic – Language
Justin Timberlake – Man of the Woods
Charlie Puth – Voiccenotes
Rae Sremmurd – SR3MM
Kacey Musgraves – Golden Hour
Camila Cabello – Camila
The Aces – When My Heart Felt Volcanic
Audio Dope – Audio Dope
Joji – In Tongues
superorganism – super organism
ZHU – RINGOS DESERT, PT.1
Fickle Friends – You Are Someone Else
Sasha Sloan – sad girl



JANELLE MONAE – DIRTY COMPUTER
DIRTY COMPUTER

ジャネールモネイって名前を聞いても音楽を聴く機会ってなぜかあんまりなかった。この手のジャンルは中々すっと手に取ることもないし、彼女一人に触れると奥にすげえ深い世界が広がっていそうで、それが怖くて触れていない。でも今回聴いてみると意外と明るくてわかりやすい。こんなポップだったのかよという拍子抜けから始まってどんどんハマっていく。


Rhye – Blood
Blood

こんなチルな作品そうないぞ、と鼻息荒くして聴いていた。それくらいこれは革命的に良い。名盤はこうやって生まれるのか、とさえ思った。さすがに言い過ぎではあるが確かにあの時はそう思ったのだ。前作を越えてくることの難しさは数々の名盤が語ってきたが、Rhyeはそれをやってのけた。それだけで十分評価されてもいいはず。

Tom Misch – Geography
GEOGRAPHY/DIGIPAK

今年サマソニにも出演決定しているトムミッシュの待望のアルバム。オシャレ。オシャレだからもう悔しいくらい好き。そして聴いてる。でも絶対摩耗されないだろうなって思ってるので安心して聴ける。最近誰聞いてる?と質問してトムミッシュを答える奴とは仲良くしたくないけど、わかってるな、って思うだろう。女に音楽でモテたけりゃトムミッシュを聴け、というのは安易か。

John Hopkins – Singularity
Singularity
あー耽美だわこれ。



A.A.L – 2012-2017
2012 - 2017

Nicolas Jarrの別名義、A.A.L(All Against Logic)のアルバム。Nicolas名義の時とは違い、もっとクサメロでリフレインを多用するダンスミュージックに特化している。病みつきにならないわけがない。「You Are Going to Love Me and Scream」が好き。わかりやすくいえばサカナクションとか好きな人は結構聴けると思う。深夜に一人で謎のダンスしながら聴きたい系。全然臆することなく聴いてみてほしい。意外とここから広がっていく世界も面白いと思う。知っている人はもうすでに踊ったかな?



N.E.R.D – NO ONE EVER REALLY DIES
No One Ever Really Dies

去年の末に突如出たアルバム。ファレルウィリアムスが所属していたグループというのは知っていたけど音源を聞くのはこのアルバムが初めて、futureやグッチメイン、リアーナ、エドシーランとそうそうたるメンツとコラボ。なによりケンドリックラマーを迎えた「Don’t Don’t Do It!」にはいろいろ思わされた。その後、Childish Gambinoが「This Is America」をリリースするなど、社会的なブラックライヴズマターに関する運動は大きくなるばかり。詳しくは検索してほしいが、Metoo問題にしろ、コーチェラでのビヨンセのアクトにしろ、グラミーでの有色人種の獲得にしろ、そういう行動は本当早いなあと舌を巻くばかり。



以上が上半期のアルバム20選である。もちろん聞き逃しもまだまだあるし、何回も聴いていくうちに評価が上がったり、逆に飽きてしまったりするものもあるので、年間ベストにこのランキングが反映されるかはわからない。特に邦楽は毎年振れ幅が大きいので、下半期も期待しながら。