ここでは、エレクトロやダンスミュージックに含まれる楽曲を制作したミュージシャンに贈られる。

優秀賞

lol-エルオーエル

DA PUMP

tofubeats

冨田ラボ

Perfume

MONDO GROSSO

LILI LIMIT

大賞

AAA

「紅白でしか見ないアーティスト」と長年音楽好きからも揶揄されてきた彼らだけど、メンバーの日高のソロプロジェクトであるSKY-HIがめきめきとヒップホップ界を席巻しつつあって、各ミュージシャンからも絶賛されコラボされ、さすがに音楽マニアたちもSKY-HIを認めざるを得なくなってしまった。この状況においてAAAはどう動くのか、とても注目していた。SKY-HIありきで進めていくのか。今まで通りのターゲットに狙いすませるのか。答えはこのアルバムにあった。音楽としてぐっと質を高め、サウンドにこだわりをつよめた。SKY-HI頼みにすることなく、ちゃんとAAAとして機能している。伊藤が卒業し、女性メンバーは宇野1人になった。いままでは女性ツインボーカルを巧みに使っていいわゆる”同性ウケアーティスト”としての方向性(加藤ミリヤや安室奈美恵などの共感型アーティストのことを指している)も残していたが、今作はそこをガッツリ削った形になった。宇野のソロデビューもあり、各々のスキルアップに余念のないグループであることは理解していたつもりだったけど、ここまでの完成度を示されてしまったら笑ってしまう。前作でも「MAGIC」のような佳作はあったけど、今作はそれにも増して粒ぞろい。かつバランスがとれている。特に目を引くのは、作曲者の多さ。今海外で主流となっているコライティングを「DEJAVU」では取り入れ、その結果が今作のクオリティに結びついているようにも思う。過度にかっこつけず、でもキメるところはキメる。AAAってかっこいいグループになった。後輩のlolも年々クオリティを上げてきていて、日本のダンスチューンを取り巻く環境も変わってきた、と思う。

総評
エレクトロサウンドやダンスチューンはこと日本ではEXILEなどのLDH勢が占めていた。GENERATIONSも三代目JsouolBrothersも、彼らがやる音楽がそのまま日本のダンスシーンのメインカルチャーに投影されてきた。しかしその構図は少しずつ変わってきているのも事実だ。多くの若者はそのままBTSやBLACKPINKを筆頭とする韓国勢へと流れ、「おしゃれ」の文化はLDHへの求心力を弱めている。DA PUMPの台頭も、その空位に入り込んできたともいえる。一方でテクノやハウス、EDMサウンドに目を向けてみると、中田ヤスタカのモードの変化も大きい。年始のソロアルバムのリリース、Perfumeのニューアルバムでの全面的なサウンドの押し方も、より海外を意識した新しい中田ヤスタカの提示をしていると受け止められる。一方であいみょんなどのアコースティックなアーティストが活躍の場を広げる一方で、エレクトロサウンドは打ち止めを食らう。正直2018年でEDMをゴリゴリに使っているミュージシャンをみると、それが”一周回ってあえて”でもない限り非常に情けなくなってくる。EDMが嫌いと言うわけではないが、その時のトレンドが結構強く反映されていくジャンルなので、日本のタイアップ企業もそのあたりは安易なところに飛びつかずよく考えてもらいたい。てか安易でもないし、もう。それはドブ沼である。


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