ここでは2020年に最も活躍したアーティストに贈られる、いわゆるMVPを決める賞である。

MVMA賞

米津玄師

今年、彼以上に相応しいアーティストがいるだろうか。今年活動ファイナルを迎える嵐に「カイト」を用意し、ひいてはオリンピックまで掌握しようと企み提供し、自身も「Lemon」を含んだオリジナルフルアルバムをリリース、同時にストリーミング配信も開始した。全てがシナリオ通りで、大きなプロダクションとして確実に歩みを進めていた中、唯一の誤算はコロナだったはずだ。自身のツアーも道半ばで断念、夏の甲子園に「パプリカ」が響くこともなかった。それでもこれだけの存在感を示し、そして確かな実績を残した彼のポテンシャルは計り知れない。そして米津玄師というアーティストを支えるクリエイター達の存在も無碍にできない。坂東裕大という最高のパートナーと共に今作を創り上げた。時に私はその二人三脚ぶりをチャイルディッシュガンビーノを彷彿とさせる。信頼できるクリエイター、作曲家たちと最高の作品を完成させる米津は、日本中どこを見渡しても米津しか存在しえない。確かにだれかが切り開いた道なのだが、それを足掛かりにまた新たな道を切り開いている。ジャンルを横断し、リズムを縦断する。日本語を柔軟に変化させ、それでいて芯を喰った歌詞を書く。どれとっても見事な、感服せざるを得ないような、稀代のミュージシャンである。





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