余談

12/30のライブレポはこちら

2日目の12月31日。いよいよ大晦日。今日、この幕張メッセで2019年を迎える。千葉のホテルで一泊した我々4人は朝食を済ませ朝10時に出発。同じホテルに他のCDJ参加者も宿泊していたようで、同じタイミングでぞろぞろとホテルを後にする。相変わらず普通の私服の4人と既に臨戦態勢の他の客と、なんだか温度差を感じながら歩く。
全くもって糞田舎のこの某町はとりあえず寒い。建物が異様に低く、風が突き抜けるように吹いている。とはいえCDJの開場時間は13時半。まだ3時間以上ある。4人でどうしようかとあーだこーだ議論を重ねる。全員バンプ好きという事もあいまって一旦彼らの生まれ故郷、佐倉市まで聖地巡礼しようという案まででる。むちゃくちゃ遠かったのでやめる。よくよく考えたら藤原の通っていた中学校を見てどんな感想を述べればよいのかわからないのでこれでよかったのだと思う。少なくとも私には無理だった。楽しそうだが。
結局東京へ行って、2人が飲みたいタピオカ店へ行くことした。CDJ行く人間の発想ではない。この緩さがたまらなく好きだ。1時間弱かけて東京は新宿へ。春水堂、と書いてチュンスイタンと読む、らしいが知ってなお、お構いなしに”はるみずどう”と言い張るバカ4人はタピオカを堪能(私は抹茶ラテのホットを飲んだ)、その後少し歩いてつけ麺の五ノ神製作所へ。食べログ3.6オーバーの確実にうまいであろうその店はすでに行列ができており、1時間ほど並ぶ。普段ならたかが食べ物に並ぶなんて暴挙は考えられないが、4人なら待てた。なんだ、待てるじゃないか、と自分の耐久性にびっくりした。結果的に「うまい!」の一言で終わるのだが、「うまい!」なんて東京で言っている時に幕張メッセではもうキュウソネコカミが「ビビッたぁぁぁぁ!!!!」とか叫んでるはずなので、我々は一体に何しに来たのかよくわからなくなる。理想的だ。

結果幕張メッセに戻ってきたのは17時。とりあえずOKAMOTO’Sへ。

ライブレポ

12/31

OKAMOTO’S 17:05~

前日のGLIM SPANKYでも言ったが、オールディーズなロックンロールは業界にウケがいい。そして若い女性ならなおさらウケがいい。「若いのにわかってるねえ!」「お嬢ちゃん趣味がいいねえ!」とオッサンがわらわらと集まってくる。それはクリエイターや広告代理店の人たちに限った話ではない。ミュージシャンだってそうだ。個人名を出すのは批判を浴びそうだが、シシドカフカなんてやっぱりそうだと思う。美人女性がドラム叩いてることの付加価値はすごい。もちろんそれ自体を否定するつもりはないが、突然甲本ヒロトがコラボしたりと、なんだかうまく笑えない。二階堂ふみなんかもまさにその一人である。話を戻してOKAMOTO’Sは、かなりミュージシャンたちに寵愛されていた。デビューとスキルにかかわらずFNS歌謡祭にでたりと、バックミュージシャンとして太いパイプを繋いできた。それは確かな実力の一つかもしれないが、あの時のOKAMOTO’Sは正直言って過大評価だった。ただただ古い曲を真似するだけのコピバンだった。だからあまり好きになれなかったし、そもそもボーカルのクオリティが低すぎてライブがダメダメだった。
ただ、去年、彼らのアルバム「NO MORE MUSIC」が革新的に素晴らしかった。今までの古いだけのロックンロールではなく、ちゃんと今の洋楽シーンを反映した今っぽい作品になっていた。ベースのハマオカモトも余計な自我を捨て、ギターのオカモトコウキのギターテクはグンと上がった。そして貫録が出た。なによりボーカルのオカモトショウがあり得ないほど上達した。歌はもちろん、ステージでの立ち振る舞いも含めて。新曲の「Dreaming Man」はアークティックモンキーズぽくもあり、レッチリっぽい譜割の英詞もあり、あらゆる面で成長を感じられた。古いロックスタイルだけを参照したダサダサロックではなく、おしゃれでクールでストロークスのようなスタイリッシュさも兼ね備えたOKAMOTO’Sは今最高にワールドスタンダードなロックを体現しているバンドだ、と個人的に感じた。

セトリ
1.BROTHER
2.ROCKY
3.Hole
4.Lagoon
5.Dreaming Man
6.90’S TOKYO BOYS

 

 

ゲスの極み乙女。 17:55~

先に結論から言うと、格が違った。完全に別次元。これは好みとか好き嫌いとか抜きに、単純に評価されるべきバンドだ。他を貶(おとし)めて持ち上げる言い方は棘があって好まないが敢えて言うと、今日子のステージに立ったどのバンドよりも圧倒的にセンスとクオリティが高い。同じ土俵に立っていると考える方が無理がある。ロッキンのステージなので初心者向けの楽曲は少なく、ゴリゴリに初期の曲を含めたセトリになっていた。それが余計にセンスを際ださせていた。「猟奇的なキスを私にして」の破壊的な神展開は、普段意識していなかったし何年も聴いていない楽曲だったけど生で聞いて改めて感じた。とんでもない力量を持ったバンド。それは歌唱力の高さもある。そりゃ演歌歌手みたいなうまさはないかもしれないけど、あのメロディを自由自在に変幻自在と歌い上げる彼の器用さには脱帽する。また一方で新曲の「ドグマン」は、これはこれで完全に置いてけぼりを食らう。10代20代前半に人気のバンドがやる音楽じゃない。どう考えても私たちのようなそれなりに音楽を聴いてきた人間を殺しに来てる。で、こういう音楽性になるとどうしてもドラムは打ち込みになりがちなんだけど、そこはちゃんと生ドラムとのバランスをいい具合に残していて、バンドとしての必然性が存在している。
要するに彼らを批判する武器はこちらには「不倫」という錆びた陳腐な刀剣しかないということ。それ以上に圧倒的で暴力的な音楽とオーラと才能と言う盾と矛でこちらをにらみつけている。かなうわけない。そう、彼らにかなうわけなどない。毛嫌いしている人は一度嫌でも聴いてみるべきだ。それで嫌いなら構わないが、人間性で嫌うにはあまりにもったいない逸材だと思う。
セトリ
1.猟奇的なキスを私にして
2.crying march
3.ロマンスがありあまる
4.サイデンティティ
5.はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした
6.ドグマン
7.パラレルスペック
8.餅ガール
9.キラーボール

 

 

阿部真央 19:05~

フォーリミと迷った挙句、阿部真央に行くことに。それほど聴いてきたアーティストではなくても、有名曲は自分の音楽遍歴に組み込まれている。この日演奏した「ふりぃ」や「ロンリー」はまさにその一つで、曲を聴きながら同時に歌詞を思い出していく。そういえばこんな歌だったなあと懐かしさでいっぱいになる。
冒頭からボルテージマックスの阿部真央。バラード一切なしのハイテンションで駆け抜けた30分だった。よく考えれば阿部真央も10年。女性たちから多くの共感を得た彼女の歌は長く熱狂的に愛されてきた。とはいえ、世間的に阿部真央がどんな存在かと問われれば残念ながら昔のイメージのままの人が多いと思う。2018年にシングル「変わりたい唄」を聴いた人がこの中にどれくらいいるのだろう。私は病的な新曲リスナーなので当然彼女の新曲も聴いたが、ここに集まった大半は、かつての彼女の歌が聴きたかったに違いない。それって要するに”懐メロアーティスト”になっているという事だ。ここに二つの感情が湧き上がる。ひとつは、懐メロと化してもまだメジャーでやれていてしかもこの時間帯のCOSMOステージをいっぱいにさせることのできる彼女のソングライターとしての実力の高さに唸ってしまう感情。もう一つは、日本の音楽シーンとしていまだに10年前のギターロック観念を引きずっているリスナーの懐古ぶりにちょっと心配してしまう感情。ものすごくメロディアスでバカみたいにキャッチーで歌いやすくてギターソロもあってスネアがはじけていて、これこそ00年代の女性シンガーソングライターのギターロックのど真ん中、といったところなんだけど、それが2018年になってもそれなりに居続けられるムードの展開の遅さはやっぱり気にならなくもない。でも阿部真央には変わってほしくない。打ち込みなんかにしたりせずいつまでもギターをかき鳴らして髪を乱して歌っててほしい。またテレビにも出てほしい。10年一人でやるというのは本当にすごいことだ。そしてそれが成し得た理由がはっきりとわかる、そんなライブパフォーマンスだったことは言っておかなければならない。

セトリ
1.Believe in yourself
2.ふりぃ
3.K.I.S.S.I.N.G.
4.immorality
5.変わりたい唄
6.ロンリー

 

 

大塚愛 20:20~

懐古厨に文句を言っておきながら、結局懐古が一番楽しいということに気付いている。人は思い出を振り返るのが好きだ。いつまでたっても地元の友達と酒の席で昔の話を延々と語らうのは人類の共通項だと思う。大塚愛は中学生の頃に「Happy Days」のシングルを買った時から好きだった。単純に顔が好きだった。「Happy Days」のジャケットをずーっと見ていた。多分ずーっと見てた。小学生の頃は加護亜依とビビアンスーが好きだったけど、中学生は大塚愛とBoAをずーっと見ていた気がする。気のせいかもしれないが。別にライブにいったこともないし、「Happy Days」以外にCDを買ったこともない。せいぜいレンタルしてipodに入れてたくらいだ。でもなぜかときどき思い出したように彼女を聴くときがあった。というか、なぜか定期的に大塚愛の楽曲に触れる機会があった。高校のクラスメイトに「Is」を聴かされたり、「ポンポン」をお薦めされたり。そのたびに「ああいいなあ」なんて思って聴き返していた。
この日はレイア姫さながらレースのフードをかぶって登場。1曲目こそ知らない曲だったが、2曲目からは個人的ドストライクのオンパレード。フレンジャーの軽快なリズムとAメロで一斉に言う「もう一つ食べたいわ」の合いの手はyoutubeでみたまんまだ。「ロケットスニーカー」はピアノロックになっていて、疾走感のあるドラムと多重録音が特徴的。どの曲がファン人気が高くて、どの曲が世間的にが認知されているのかよくわからないが、「ロケットスニーカー」は彼女の楽曲の中でも屈指の名曲だと思う。そして念願のHappy Days。まさか本当にやってくれるとは、おもわずイントロで飛び跳ねてしまった。奇しくも一緒に行った友人の一人とカラオケに最近行ったばかりで、その時に予習がてらこの曲を歌っていたからなおさらうれしかった。サビ終わりの「夢かい!」のツッコミは13歳のころからの憧れだった。感無量とはこのことだ。最後の「さくらんぼ」での定番の「もう一回」よりもずっとこっちの方が嬉しい。すーっと心から中学生以来のしこりが取れた気がした。一人で呟いてた「夢かい!」は本人の目の前で大声で消化できた。それだけでおなかいっぱいだった。
正直ライブパフォーマンスは地味だったし、彼女のギターは素人レベルだし、「プラネタリウム」も「PEACH」もやってないので不満の声もあるかもしれないが、これだけ惜しみなく昔の曲をやってくれるのは偉いと思う。ベスト盤が出たらしいのでチェックしないと。(ちなみに「バイバイ」という曲もおすすめなのでぜひ)

セトリ
1.LOVE FANTASTIC
2.フレンジャー
3.Is
4.ロケットスニーカー
5.Happy Days
6.さくらんぼ

 

 

MONOEYES 20:50~

後半に少しだけ。「グラニート」が聴けたので満足。「グラニート」に関してはほとんどエルレだし、生で細美武士を見るのは初めてなのですごくありがたく拝見した。去年にELLEGARDENが復活したので、さらに細美さんを見る目が違う。半分エルレだと思ってみていた。高校1年の時に教えてもらって以来ずっと聴いてきた自分の軸になる音楽の一つで、その人がこうやって歌っているのを見られているのはとても幸運だと感じる。そんな見るのが珍しい人ではないけど。そういえば隣のスコットマーフィーもALLiSTER再開させるらしいし、いい刺激になっているのかな。

セトリ
1.Run Run
2.Like We’ve Never Lost
3.Free Throw
4.Roxette
5.My Instant Song
6.明日公園で
7.グラニート
8.When I Was A King

 

サンボマスター 23:30~

いよいよ年越しアーティスト。冒頭スクリーンに映し出されたのは、ボーカルの山口が「圧倒的な年越しにすんぞーーー!!!」と雄たけびをあげている映像。その映像と共に登場し、「世界をかえさせておくれよ」でいきなりぶち上げてくる。その後もまったくこちらを休ませる気もなく、曲間ですらコールを強要し、あきらかに気合入り過ぎておかしくなっている山口に半ば振り回される形で年越し3分前を迎える。「お前ら!!今年は踊って年越しするぞ――!!」と絶叫、「ミラクルをキミとおこしたいんです」は一体いつ終わったのか、さっぱりわからないが、とにかく休ませることなくドラムが煽ってくる。そのミリ単位での緻密な”時間をピッタリ合わせる”という作業は、彼らのダイナミックな演出からは微塵もうかがえない。そのままカウントダウンに入るとあっという間に年越し。初めて経験してわかったが、イベントでの年越しは、全然年越しっぽくない。実感がちっともわかない。でもなんか楽しい。楽しそうにしている人たちを見て楽しい。熱いメッセ―が多かったサンボマスターのステージで一番心に残っているのが「2018年、、、、お疲れ様でした!」と言っていたこと。彼の言う通り1年ありゃ嫌なこともたくさんあるし死にたいとか辛いとかきっと思うこともあるんだろうけど、それをひっくるめて「お疲れ様でした」と言ってくれるのが一番心が安らいだ。新年一発目の「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」はやっぱりいい曲だし、最後の「輝きだして走ってく」まで相変わらず全力疾走で駆け抜けていったサンボマスター。知っている曲は少なかったけど、彼らのエネルギーと人柄とキャッチーさで最後の最後まで全員を抑え込んでいた。彼らの完勝と言ってもいいだろう。負けたよ。すげえライブするね。初めてではないけど明らかにいままでで一番気合入っていた。

セトリ
1.世界をかえさせておくれよ
2.可能性
3.青春狂騒曲
4.ラブソング
5.ミラクルをキミとおこしたいんです
6.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
7.光のロック
8.そのぬくもりに用がある
9.ロックンロール イズ ノットデッド
10.できっこないを やらなくちゃ
11.輝きだして走ってく

 

 

Shiggy Jr. 25:15~

彼女たちの事は2013年に発売された最初のミニアルバム「Shiggy Jr. is not a child.」から知っているけど(ちなみに「Saturday night to Sunday morning」が好き)、すごい勢いで話題をかっさらって、そのボーカルの池田のアニメボイスは多くのファンを作っていったのをよく覚えている。ウザったいほどにわかりやすくて、JPOPよりJPOPしている彼らの楽曲は、やっぱり非凡なセンスを持っていると思う。友人は池田の顔ファンらしいがはっきり言って相当珍しい。でも男ならわかる気がするんだ。オタサーの姫がなぜ生まれるのか、Shiggy Jr.が身をもって教えてくれる。メンバーも良い感じにオタク感出ていてリアルだし。
正直言って、旬を逃したなあと思っていた。いいとこまで来たけど音楽シーンの風向きが変わってしまった。シティポップ路線のバンドが着実に死滅していく中で、彼女たちはちゃんと変わろうとしていた。「GHOST PARTY」みたいな曲調も「お手上げサイキクス」みたいなアゲアゲチューンも試して、なるだけ遠くへ行こうとしていた。だけれどそれがちょっとだけ届かない。以前より少しずつ彼らの勢いに陰りが見えてきていた。だけれど、今作「DANCE TO THE MUSIC」は一味違う。安易で安っぽいシティポップは振り払い、どこまでも貪欲に音楽の沼に浸かろうという決意が見える。アルバムにも収録されている、この日披露したギターの原田が歌う楽曲はお酒が一杯あってもいいような、そんなムーディな仕上がりになっている。どんどん幅の広さを見せつけているShiggy Jr.は2019年、注目すべきバンドではないだろうか。ライブの盛り上げがもうひとつだったのは全員がシャイだからだろうか。それでも十分たのしめるライブだった。ネクライトーキーに押されてる場合ではない。

セトリ
1.サマータイムラブ
2.ピュアなソルジャー
3.you are my girl
4.DANCE DANCE DANCE
5.TUNE IN!!
6.LISTEN TO THE MUSIC

 

総括

CDJみたいな邦ロックど真ん中のフェスはなかなか行くことが無くて疎遠がちだったけど、行ってみたら本当に多才な人が多い。よく考えれば今の高校生が聴く音楽って、米津玄師にあいみょんにゲスの極みでしょ?

 

 

 

 

 

いや、豊かすぎん!!!???

 

 

 

 

こんな豊饒な音楽シーンのど真ん中でいられるって相当幸福だと思う。明らかに10年前よりシーン自体の質は底上げされている。私が中高生の時はORANGE RANGEとかゆずとかコブクロとか。いや、悪くない、悪くないけどすごく音楽が限定的だったし参照元がなかった。10年前のロッキンジャパンフェスを見ても同じことが言えて、今じゃサブステージすら残れないようなバンドが平気でメインとか2番目に大きなステージにいたりして、ロックって言葉にずっと縛られてた時代だったと思う。ロックかそれ以外か、みたいな。でも今はもっと選択肢があって、みんなジャンルに囚われることなく自由にジャンルを横断して聴いてる。それをたまに変化に乗り遅れた人たちが「○○はロックじゃない!」と怒るのだが、あまりにそれは虚しい叫びで。もっと今の豊かな音楽シーンを楽しむべきだと思う。もっと洋楽っぽい音楽を平気でやってのけてそして支持を集めているバンドがたくさんいることに目を向けるべきだと思う。今の日本の音楽はとても面白いと思えるし、CDJももっともっと多岐にわたる人を呼んでほしい。メロコア多すぎでしょ問題もまたいつか語ろうか。

今回友人がチケット一枚余ったという事で誘ってくれて、お邪魔する形で4人でいったのだが、元々そんなに前のめりでライブを見るタイプでもなかったので、一緒に行く人たちがゴリゴリたらどうしようとか色々考えていたけど、実際会ってみたら自分よりも引いて観てたので逆にびっくりした。

2019年は5本はライブにいきたい。来年CDJに行くかは未定。