音楽好きな人もそうでない人もいるだろうけど、音楽を一切聞かないって人はよほどの意思で拒んでいる人でない限りいないだろう。だれしも好きな音楽はある。そして、音楽は一種のファッションアイテム、自己表現のひとつにもなっている。それはファッションと同じ。どんな音楽が好きかでその人の人となりもわかるし価値観やライフスタイルもわかったりする。それを私たちは理解しているから、かっこいい音楽を知ってる大人でありたいと思う。音楽に詳しくなくてもいいから、まだ誰も知らないけどオシャレな音楽を知っていたい。それを彼女とのドライブでかけたい。みたいな欲求はある。それは時に音楽オタクたちを悩ませ苛立たせるのだが、その衝動は何一つ間違っちゃいない。
じゃあどうやって新しい音楽を知る?ちゃんと正しく最新の音楽情報にアップデートしておかないと2018年になって「Suchmosって知ってる?俺あれ好きだわー」とか言い出すイッタい奴になりかねない。もちろんSuchmosはいい音楽を鳴らすバンドだがそれを「俺最近注目してるんだよね」みたいなスタンスを2018年にする滑稽さは、そりゃもう死ぬほど恥ずかしいので避けたい。音楽オタクでさえも「まあたしかに最近キテるよね」と納得するくらいの最先端じゃないと、かっこよくない。つまるところ音楽にしろファッションにしろオシャレさんぶるのは難しい。
とまあダラダラ書いて結局言いたいのは、どうやって最新の音楽を、しかも流行る音楽を他人より早くゲットするか問題が存在するってこと。それは音楽オタクたちにとっても悩ましい問題で、この時代において好きな音楽を好きなだけかいつまむことは容易にできても、流行りそうな音楽を見つけるのはネットでは難しい。相当な情報量とアンテナが必要だ。世間の兆候をいち早くキャッチするのは私にとってもとても大変で苦労する。ならば、さすがにライブハウス入り浸るとか全音楽雑誌買うとか音楽ライター全員フォローするってのは難しくてできなくても、テレビ番組で最近音楽オタクたちが騒いでるバンドを知ることはできる。
テレビ?はあ?あんなのスポンサーのご意向と事務所のごり押しの遅れた音楽流してるだけだろ!
と思った人は少し待ってほしい。今の音楽番組、けっこう独自色出ていて、しかもわりと通な音楽流している。そりゃMステは格式高いからそれなりの認知度が必要だしMSUIC FAIRはゴスペラーズばっかり出てるかもしれないけど、深夜の音楽番組は結構頑張っている。なので、今放送されている音楽番組をメリットデメリットと共に紹介するので、新しい音楽を知りたいビギナーさんもテレビ番組を見くびってるオタクも参考にしてほしい。
※チャートの解説
トレンド性・・・どれだけ最新の音楽を紹介しているか
情熱・・・音響や企画内容のスタッフのこだわりや情熱
多様性・・・ジャンルの幅。
発掘力・・・まだ火の付いていないミュージシャンをどれだけ見つけて紹介しているか
ブッキング力・・・海外アーティストや大物日本人歌手など、どれだけブッキングの影響力があるか
LOVE MUSIC
系列:フジテレビ
曜日:日曜日
時間帯:24:30~25:25
司会:渡部健、森高千里
長所
フジテレビ系列で、年2回放送される「FNS歌謡祭」と連動しているので、舞台裏の放送がある。生演奏だったり音響を整えたり、音のこだわりは強い。バンド系から「LOVE MUSICなら歌いたい」という支持がアツいので、滅多にテレビで拝めないバンドがよく出る。ex.東京スカパラダイスオーケストラ、HEY-SMITH、Hi-Standardなど。トークが音楽にまつわる事だけなのでゲストの音楽ルーツがわかる。ゲストはアーティストに限らずCDショップの人や芸人、イベンター。俳優、作曲家、音楽プロデューサー、など様々。自主開催フェス、「LOVE MUSIC」がある。邦ロックバンド多め。
毎回スタッフが新人を選んで特集。界隈で話題になっているバンド、これから来そうなバンドをどこよりも早くフックアップしているので、ライブハウスを湧かせているバンドを知りたいなら迷わず全チェックすべき。KPOPのBLACKPINKがトーク込みで出たのはこの番組。
渡部健がかなり音楽に詳しいことが分かる。
短所
同じアーティストが多い。ロックに偏りがち。ナレーションのアイクぬわらのカタコト日本語がたまにうっとおしい。バンドの過大評価がある。森高千里が置物。
バズリズム02
系列:日本テレビ
曜日:金曜
時間帯:24:59~25:59
司会:バカリズム、局アナ
長所
最新の音楽に強い。ジャンルを問わない新譜紹介が必ずあり、スタジオライブもアイドルからロックバンド、JPOPユニットまで多岐にわたる。バカリズムが司会なのでトークがおもしろい。好きなアーティストの意外な一面が知れる。マギーがいたころは横山健がよく出演していたなど、司会者目当ての出演も多々あった。主催フェス、「バズリズム LIVE」がある。ロックバンドやJPOPアーティストが多数出演。楽屋訪問など裏トークあり。
「これはバズるぞランキング」がかなりリアルでよい指標になっている。業界にも大きな影響を与えつつある。若者の音楽シーンを早い所知りたかったらあのランキングは目を通しておくべき。
短所
どう考えても売れそうにもないアーティストが事務所のごり押しで特集されることあり。あまり最新トレンドは押さえられていない。無駄な企画が多い(番宣の俳優に新譜を聴かせて一番好きな音楽聴かせる/アーティストにファンが質問を一つするなど)。ジャンルが広すぎて薄い。
関ジャム 完全燃SHOW
系列:テレビ朝日
曜日:日曜
時間帯:23:10~24:05
司会:村上信五(関ジャニ∞)、局アナ
長所
テレビが取り上げてくれないようなマニアックな企画ばかり。裏方にスポットをあてたり、ギターについて語ったり、機材や音響で1時間特集したりとかなり攻めている。
音楽プロデューサーが目をつけているアーティストが分かる。毎年年間ランキングを数人に発表してもらっているがそれが普段テレビで言及されないのも多いので、ミュージシャンにとって人気に火が付く重要な役目を担っている。
洋楽もしっかり紹介してくれる。とにかくすぐTwitterでトレンド入りする。
短所
過大評価がはなはだしい。関ジャニ∞の仰々しいリアクションに耐えねばならない。関ジャニ∞のコラボ演奏がほとんどただのカラオケ。
いしわたり淳治のべた褒め番組になりつつある。全部褒めすぎていて差別化できていない。薄っぺらく聞こえる。番組冒頭の今日の番組紹介のVTRがほとんどその日の内容を放送しているので、それを見てしまうと同じのを二度見ているようでつまらなくなる。
シブヤノオト
系列:NHK
曜日:不定期
時間帯:24:05~25:00
司会:渡辺直美、徳井義実
長所
新進気鋭の若手アーティストばかり。NHK番組なので際どいこともなく兄妹家族で安心して観られる(エロ、下ネタなどはなし)。どうやって出演依頼に至ったのかもわからないくらいにニッチなアーティストを呼ぶときがある。
短所
意外とトークが盛り上がらない。司会に音楽的引き出しが少ないので話が浅い。
放送回数が少ない。
SONGS
系列:NHK
曜日:不定期
時間帯:23:00~23:30
司会:大泉洋
長所
さすがNHK、とんでもない大御所を出演させる。若手アーティストにとっては紅白への布石になりうる。SONGSならと喜んで出る非メディア出演バンドも多い(BUMP OF CHICKEN、RADWIMPS、松任谷由実など)。音楽に特化したとても丁寧な番組。納得の出演ばかり、実力派が多い。おふざけなしで音楽だけにフォーカスしているのでアーティストに好かれている。
短所
とくになし。1回につき1アーティストなので興味のない回は全く見る価値が見いだせない時あり。最近なぜか大泉洋が進行を務めているのでアンチにはしんどい。
MUSIC STATION
系列:テレビ朝日
曜日:金曜
時間帯:20:00~20:54
司会:タモリ、局アナ
長所
いわずとしれた長寿番組。ここに出るのが一流アーティストになるための登竜門。スタッフの音楽へのこだわりは熱い。生放送でできる限りの事はしてくれる。ジャニーズが必ず出演してくれる。海外アーティストを引っ張ってきてくれる。タモリがたまに楽しそうに音楽の裏話きいているのが見ていて微笑ましい。貴重なコラボあり。アーティストが全神経注いでパフォーマンスしてくれる。
短所
当てふりは多いが、生放送という特性上避けられないことも考慮すると仕方がない。余計なVTR企画がとにかく多い。見知らぬ素人が思い出ソングを語る時間は地獄。ジャニーズ枠が必ずあるのはファン以外には余計であることも。タモリが半分寝てる。ダンスにフォーカスしがち。歌以外の要素が多く、演出過多。番宣が多い。
COUNTDOWNTV
系列:TBS
曜日:土曜
時間帯:24:58~26:08
司会:CGキャラクター3人
長所
オリコンランキングが分かる。番組の贔屓に影響されにくい。
メジャーなアーティストの新譜を知るには一番手っ取り早い。年始にある特別番組「COUTDOWNTV年越しライブ」がある。そこではテレビ初出演のバンドなどが深夜に出演している。
歴史ある番組なので貴重な資料が多く残っている。
短所
そもそもオリコンランキングが機能していないので、一定の参考にはなれどシーンをとらえるほどのトレンド力はない。番組の発掘力も全くない。大手事務所とメジャーレコード会社の宣伝の場になっている。
公式サイト
MUSICFAIR
系列:フジテレビ
曜日:土曜
時間帯:18:00~18:30
司会:軽部真一、加藤綾子
長所
実力派のシンガーが多数出演。高齢向けの番組のため、他番組ではあまりみない歌謡歌手や演歌歌手などジャンル的な棲み分けができている。往年の名曲が聴ける。コラボ多め。実力派シンガーなら若手でも突発的に起用されることあり。
短所
バンドは少ない。同じアーティストの使いまわしが極めて多い。司会の軽部真一と加藤綾子がフラットすぎて会話が薄い。トレンドは全く抑えられない。
番外編
スッキリ
系列:日本テレビ
曜日:月~金
時間帯:8:00~10:25
司会:加藤浩次
長所
音楽番組ではないが、海外アーティストを高確率でブッキングしてくれる。近年はMUSICSTATIONよりもよく出演に成功している。出演しているコメンテーターたちが大抵音楽好きなので往年のロックバンドとかが来たら興奮している。たまに泣く。
短所
音楽番組でないため、スタジオが音楽用でないことによってほぼ当てふり。披露時間も短め。
+music
系列:MBS
曜日:月曜
時間帯:24:59~25:30
司会:三戸なつめ、角淳一
長所
音楽オタクの角淳一が稀にアツく興奮する。一組のアーティストをゲストに呼び、その人の好きな音楽のプレイリストを公開する企画がメイン。マニアックな音楽から古い洋楽まで、そのひとの音楽ルーツが見えるのでおもしろい。お笑い芸人が多数出演。
短所
関西ローカルなため視聴できる地域が限られている。以前のMBS SONG TOWNから大幅変更し、マニアックさが激減。毎回異なった特集もなくなり画一化。アーティストもバンドシーンからははるかにかけ離れていて、音楽シーンのトレンドはつかめない。アイドルの贔屓がすごい。三戸なつめが全然音楽について語れない。演奏シーンがあまりない。
公式サイト
以上が主な地上波音楽番組である。新聞も一紙だけでなく複数紙読むことで日本社会全体が分かるように、どこかの番組の言うことを鵜呑みせずいろんな番組を見ることでシーン全体が俯瞰できるようになるのでは。あとはテラスハウスとかアナザースカイのようなオシャレな番組で使用されている音楽をチェックするとかなりセンスのいい洋楽が見つけられると思うのでそれも一つの手として活用してほしい。いかがでしたでしょうか!でアフィリエイトサイトでまとめられそうなものを、先にまとめてやった。あんな愛も何もない奴らのサイトよりも私見まみれだけど毎週チェックしている私の意見を信じてもらいたい。おわり。
COUNT DOWN TVは2017年4月から集計ベースをビルボードに変えて、ストリーミングや動画再生SNSの動向も参考するようになりましたよ。
2017年4月以前もオリコンに加え有線のランキングやHMVのセールスランキングを合算していたので、厳密に言えばオリコンのランキングを紹介する番組ではなかった。
コメントありがとうございます。
すみません、完全に言いたいことありきでその事実は知っていたにも関わらずすっかり忘れていました。すぐ訂正いたします!ご指摘ありがとうございます!