大阪のダンススクールで結成された4人組バンド、SCANDAL。4人全員のルックスの高さと硬派なロックバンドっぷりが若者を中心にウケて、女子高生バンドとして大きな話題を呼んだ。初期はとにかく売れるために必死に性を切り売りしていた印象があり、あまり好意的でなかった。MVでびしょ濡れにさせたり制服とバンドの組み合わせをさせたりと、あざといバンドだと感じ、彼女たち本来の実力やセンスをみることもなかった。事実今見ても「ああ、まあ若さゆえだな笑」と思ってしまう。まだまだ未熟で表現力の甘さが目立つ。もちろんそれは当然の部分だが。

こういうバンドは大体すぐに飽きられ消費され捨てられる。そして売れなくなるとメンバー交代や外注、音楽ジャンルの変更を余儀なくされる。制服が着られる年齢を過ぎると、ガーリーさで女性からの支持を得るか、エロ路線で男性ファンを増やすか。しかし彼女たちは、海外への挑戦を選択した。海外での武者修行は、彼女たちを常にハングリー精神へと追い込み、スキルの上達を促した。

とまあそれなりに彼女たちを肯定的に書いてきたがそんなファンでもない。むしろブルボン地獄だったころのSCANDALには正直がっかりしていた。LOVE ME DOが悪いわけではないけれど、そんなつまんないことしちゃうんだ、もっと攻めてほしいのに、と思って仕方がなかった。
しかし去年配信限定でリリースされた「恋するユニバース」で久々に彼女たちの音源を聴いた時に、やっと納得できた自分がいた。前作「YELLOW」とは違い、全曲の作詞作曲をSCANDALで手掛けたアルバム「HONEY」は、どこをきっても真っすぐなロックナンバーが揃っている。MVからも見てとれるように、大人の色気を存分に出している。過激な映像もちらほらあるが、それは逆に彼女たちの音楽性の純真さを取り戻したシンボルのようにも見える。

一曲目の「プラットホームシンドローム」のギターから最後の「恋するユニバース」まで、これでもかというくらいにシンプルなギターロックで攻めてくる。こんな2018年という時代に真っすぐなロックをするバンドはあまりみない。どこかメタファーみたいな空気感や、ギターロックを面白さというコンテンツで話題性を持たせたりなど、一切の武器無しでちゃんとギターロックしているバンドってベテランを除いてどれくらいいるだろうか。
彼女たちには幸運にも”性”を売り物にすることのできる、美人ぞろいのバンドだ。語弊のある言い方かもしれないが、確かに彼女たちには飽きられやすいギターロックを3分半やり続けても最後まで画が持つ”力”を持っている。だからここまでそぎ落としたサウンドを届けられる。そういうのを利用しているガールズバンドは多いが、彼女たちはそこにプラスで個々の演奏力が加わる。技術云々ではなく、魅せ方が非常にうまい。ライブバンドであることの何よりの証明だろう。



だから私たちは今SCANDALにドキドキしなければならない。
ドキドキしてワクワクしてどんなバンドよりかっこいいロックだって思わなきゃならなん。さもないと損だ。
サビが多少クサメロだったりもするのがやっぱりSCANDAL(というかジャパニーズロック)だなと感じる部分もあるが、それを加味してもやっぱり「HONEY」は通して聴いた方がいい。


そして最後に、ギターのMAMIが今一番かわいい。「恋するユニバース」のMVのMAMIが日本で一番美しいギタリストである。津野米咲、すまん。君は芸術点で一位だから許してくれ。

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