いよいよサマーソニックが近づいてきました。今年は売れ行きの調子も良いらしく、東京では売り切れの日もでているとか。去年がかなり今の洋楽シーンを反映した攻めたラインナップで集客面ではスベッただけに、今年は邦楽に力を入れている、とか言われています。

私も今年は三日間すべて参加するつもりです。地元大阪で、家から三日通いで楽しむので、大阪のサマソニに参加する人はぜひノベル(@otakatohe)と仲良くしてください。たこ焼き一個あげます。

そんなサマソニには思い入れが強すぎて、きっと誤解を招く表現をしてしまう。なので、そんな発言をしてしまう前に、先に弁明の場を用意しておこうという目論見です。もしかしたら誤解ではなく単なる不快な表現になってしまう可能性もあるので、慎重に話を進めていきます。



まずはサマソニというフェスについて。
私はライブにあまり行かない。それは仕事柄夜が遅く、平日のライブに行けないことが原因だ。また、ライブにそんなに行きたいと思わない、というのもある。
決してライブに興味が無いわけではないが、誰でもいいからライブでまず見てみたい、ではなく、自分が心底ライブで観てみたいなと思った時しか基本的にはいかない。今自分の中で単独ライブが見たいアーティストは日本だと10組もいないかもしれない。

もっとハードルを低くして、いろんなライブハウスをめぐって、フェスに行きまくる人もいる。それはその人のスタンスであり、どちらが素晴らしいとか正しいとか、そんなものは一切ない。当然だ。

でもだからこそ、サマソニがいかに自分にとっての年に一度のお祭りかを察してほしい。そんな人も多いと思う。普段洋楽の話なんてできるわけなく、多少音楽が好きな若者と出会ってもヤバTの話を笑顔で「いいよね!」と相槌を打つ(ヤバTが嫌いなわけではないが)だけに終始する日常に、一筋の光を照らしてくれるのがサマソニだ。

同じ洋楽フェスのフジロックは値段も、行くための心のハードルも高いが、サマソニは自宅から通ってその日のうちに自宅に帰れる。こんな気楽な、しかも大好きな洋楽が、単独でもほとんど見られないようなバンドやラッパー、シンガーが見られる、そんなサマソニに心ときめかせているのだ。年に一度の祭典である。

私はサマソニに何を求めるのか。それは非日常である。普段どこに隠れ潜んで生息していたのかと問いたくなるほどに、サマソニには多種多様な人が集まる。パリピなお兄ちゃん、ほぼ裸のお姉ちゃん、ちょっとオタクっぽい男性、昔から音楽大好きなおばさん、本当にいろんな人がいる。また、外国人が多いのも特徴だ。私はその客の多種多様性もこのフェスの雰囲気を作っていると思う。まるで自分が異国の地に来たような、そんなカオス感がたまらない。

そして、普段そんなフェスに行きまくって暴れまくってるわけでもなさそうな普通のお兄ちゃんとかが感極まって踊りだしたり叫びだしたりする。ここにいるみんなが日常を捨てて音楽にどっぷり浸かっている様子が好きだ。そして自分もそうだ。

その分、その景観が少し変わると、つい文句が出てしまう。遠回しにせず、批判覚悟で言うと
「いやいや邦楽フェスでいつでも見られるような集団ばっかかよf×××」
とか言いだす。

これは良くない。どんな人が来ようとそれは自由だし、そういう鎖国的なことを言うのは本望ではない。そんなこと言うから洋楽ファンが嫌われがちなのも知っているし、市場が狭くなっているのも分かっている。
また、邦楽が嫌いなわけでもない。それは普段から当ブログを見ていただいてる方ならわかってくれるはず。世界で一番好きなバンドはRADWIMPSだし二番目はBUMP OF CHICKENだ。

ただ、普段の生活でもちらほら邦ロック好きはいて、ロッキンに行けば、ラッシュボールに行けば、CDJに行っても、まあとりえず大多数がその”制服”をまとった人たちがいて、いつものようにこなれた感じで集合写真撮っていつものように誰かが仕切ってサークルモッシュ起こしてて。それはもうどこでも見かけられて、見慣れた光景になっている。
そんなよく見る光景が、一連のお約束が行われる光景が、なんとなくサマソニっぽさがないなって感じてしまうのだ。

これは問題提起でも批判でもなく、ただの私のバカな愚痴のいいわけである。つまりこんなバカの愚痴に異論を唱える意味などない。でも、同時に、きっとそう思っている人も少なくないと思う。
初めて19歳でサマソニに来た時、いかついお兄ちゃんたちとThe Strokesを一緒に観てみんな関係なくおっさんも外人もひっくるめてみんなで乾杯して合唱してハイタッチしたりして。自分なんか暴れ慣れどころかライブにすらほとんど行ったことなかったのに、分け隔てなくニコニコとハイタッチしてくれたりして、すごく思い出に残っている。

一部の噂では、今年は邦楽目当ての人が多いと言われている。それは構わないし、その是非の話をしに来たわけでもない。ただ、そんな思いの人、きっといるからその人たちにだけでも共感できればと思っているだけだ。だれかを排除しようとかそんな意図はない。
みんなで楽しみましょう。私も邦楽アーティストで期待している人はたくさんいる。



最後にParamoreの「Misery Business」のライブ映像を見ていただく。いつも彼らはこの曲の大サビを観客に歌わせる。ステージに一人上げ、ソロで歌わせる。もちろん去年の日本のサマソニでもやっていて、それを目の当たりにして、なんて”エモい”んだと感激したのだが、その中でもとびっきりに好きなライブがある。

この時壇上にあげられたのはレインコートを羽織った眼鏡の女性。決して派手でもなく、暴れに来たわけでもなさそうな女性が、ソロパートに入ると眼鏡をはずし頭を振り回すのだ。
個人的にこれが最高の音楽体験だ、と感じる。やりにいこうとおもってやるのではなく、感情が高ぶって出るヘドバンは美しい。国民性もあるんだろうけど、楽しそうだ。こんなの見せられたら嫉妬もないし、ただただ微笑ましい。

今年も夏が来る。また笑ったり泣いたりするんだろうなあ。
どんな楽しみ方も制限しないし、本当の楽しみ方とかそんなのクソッタレだと思う。洋楽が最高とか邦楽はつまらないとかそんなくくりで音楽を見ているときっともったいないし、むしろこういうアウェーで世界的なビッグミュージシャンの前で演奏ができる邦楽バンドをかっこよく思う。
でも私のみたい景色はロッキンじゃなくてサマソニなんだよな、って気持ちはぜひわかる人にだけ理解してほしいなとわがままを言わせてもらう。