ロックインジャパンに行こう

夏フェス予習回、今回はROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024を予習していきましょう。

今年はちょっと特殊なロッキン。千葉の蘇我で行う通常のロッキンと、かつて(コロナ前まで)行っていた茨城のひたちなかのロッキンと二つ開催される。先に蘇我の通常ロッキンが8月の3、4、10、11、12の5日間にわたって行われる。こちらはもうお馴染みとなったロッキンの形で、4ステージが同時並行で様々なアーティストの演奏がある。ひたちなかの方のロッキンはまた機会があれば書いてみようと思う。

1日目(8/3)

一番大きなステージに櫻坂46、INI、DISH//と、いわゆる雑誌ロッキンオンに馴染みのあるバンドではないアーティストが並ぶ1日目。2番目のステージのGRASS STAGEにBE:FIRSTがいてくれるだけまだマシだったかなと思うほど。もはや今までの当たり前にいたロックバンドも安泰ではないんだなと感じる。行ったことないのでわからないのだが、このLOTUS STAGEと GRASS STAGEはほとんどサイズ的には同じでステージ同士の上下関係はないということだろうか。いまいちその関係性に言及しているサイトがなかったのでぜひ経験者の意見が聞いてみたい。

あとは前述のBE:FIRSTに加えBMSG POSSEにNovel CoreとBMSG所属アーティストが多数出演するのも注目点。ばらけさせないのは運営側のナイス配慮だと思う。

PARK STAGEのトリにFRUITS ZIPPERが抜擢されていて、なかなか珍しいんじゃないかな、と思っている。

FRUITS ZIPPERの出演を見るにロッキンはとっても権威主義な気がする。特にステージが多かった昔ならその分多様なアイドルも積極的に出演させていたけどここまでアーティストを絞ると当然アイドル枠も少なくなり、自然とこうした賞をとったアイドルが優先的にブッキングされるのは、過去の多種多様なアイドルを見せてくれたロッキンを知っている身からすると寂しい思いもある。

SHISHAMOは先日このような記事を書いたこともあり、気になるアーティストのひとつ。被りも少ないのでかなり動員はありそうな、午前一番のアクトとしてはかなり大きなアーティスト。

もう一組絶対観たいのはBREIMEN。同時期に売れ出したkroiと双璧を成すようで異なるアプローチで活動する彼らはここに来てキャッチーさに執着しない音楽性を展開しているのがアツい。まだデビューして数年なのにコンスタントにアルバムをリリースしているので楽曲数は豊富だし音楽性の幅も広い。夏フェスといえばどでかいステージでどデカい音で大盛り上がりするイメージかもしれないけれど、BREIMENのような聴かせるアーティストもぜひ楽しんでほしい。私も観たことないのでこれは想像だが、結構ライブではハネると思うんだよなあ。ベースにバシバシやられたい。

2日目(8/4)

初日の女性アーティストが24組中4組(そのうち2組はアイドル)だったのに対し、この日は8組と倍を数える。LiSA、ano、鈴木愛理といった力と勢いを持ったソロアーティストも注目だし、いわゆる”ガールズ”ロックバンドはベテランのSCANDALから新進気鋭のChilli Beans.まで揃っている。

そんな中でやはりまず気になるのはそのChilli Beans.だ。フジロックで見た時からその並外れたステージングはスターのオーラすら感じる。オルタナティブでもありガレージやエレクトロポップな趣まで器用にこなすのが彼女たちの強みで、それを堪能するにはまず”School”、”aaa”などをきっかけにしてもらいたい。コーラスワークが本当に秀逸なのでそこにも注目。

もう1組、今更説明するまでもないが、Vaundyはさすがに見ておきたいアーティスト。おそらくこのフェスにおける最大の山場になるであろう”怪獣の花唄”よりも、ダウナーで音数を絞った音楽の方が素敵な曲が多いと感じている私は(あれは単純にロッキン系でウケるためにある非常にシンプルなギターロックな気がして面白みは感じない)、”踊り子”とか”1リッター分の愛をこめて”なんかが聴きたい。”走馬灯”もよい。やっぱり”東京フラッシュ”が原点にして最高点かもしれない。

3日目(8/10)

iriは間違いなく観たい!でも最近楽曲が非常にユニークでシニカルな歌詞も見られる緑黄色社会も気になるところ。女性トリとなったあいみょんも見逃せない。

また、礼賛はライブ映えがどれくらいするのか気になる。かなり難しい歌ばかりなので「音源の方が安定してるな」となるのか、乗りこなしてオーディエンスを盛り上げるのか、見てみたい。

iriやあいみょんはもう全く心配いらないし。絶対盛り上げてくれるし心をグッと掴んでくれる。iriは”Roll”、”moon”を最新アルバムからは聴きたい。あいみょんは”会いに行くのに”でドラマ”アンメット”を思い出させて涙ほろりとしたいところ。

iri、礼賛、あいみょんの3組を見る一日になりそう。

4日目(8月11日)

まずはなによりNumber_i。全編ラップで度肝を抜いてきた”GOAT”は間違いなく2024年のハイライトとなる楽曲。3人とも生き生きして踊って歌っているのがいつも嬉しいし妥協も媚もなしで会場をぶっちぎってほしい。

個人的に面白いなぁと思うのが宮本浩次。エレファントカシマシだとしてもびっくりするのにソロで一番大きなステージで(しかも彼のブームはここ数年ずっと続いてる)行われるというのが本当にこのフェス、界隈ならでは。世間との乖離が最も顕著なアクトでは。すごい。

その宮本のすぐ後にGRASS STAGE GRASSではこれも今年ナンバーワンの人気ソングになりそうな”Bling-Bang-Bang-Born”を引っ提げてCreepy Nutsが登場する。

本音を言えばsumikaとCreepy Nutsは世間のイメージと勢いを考えれば反対でもいいくらいにCreepy Nutsがものすごいことになっているが、ここはさすがにロックインジャパン。

5日目(8月12日)

最終日の5日目。新しい学校のリーダーズ、羊文学、indigo la Endと絶対観たいアーティストが立て続けに並ぶ午後一番。この5日間の中でも特に男臭さが強いこの日はいわゆるロッキンぽさがある。前半のオルタナティブな雰囲気から一転、フレデリック、KEYTALK、キュウソネコカミといった御用達のバンドからSPYAIR、MUCC、UVERworldといったところまでちゃんとロックインジャパンフェスらしさが満載なので、貴重なフェス体験ができるかもしれない。このカルチャーを知りたい人にはうってつけの日だ。

まあでもやはり復活のサカナクションは外せない。トリのアーティストは1時間というのが通例みたいだが、サカナクションにはそれが短すぎるのではないかと思うくらいに、多分いま充実したライブをしてくれるだろう。

https://youtu.be/uPPcRa_eNIw?si=czvXaJuh_ZstbuDD

まとめ

毎年アーティストラインナップでなにかと賛否両論巻き起こりがちなフェス、ロッキン。特に近年は「こんなのロックフェスじゃない」という言葉も目立つ。ただ、名前が「ロック」とはついているもののそれは会社が「ロッキング・オン・ジャパン」だからそうなっているだけで、彼らが日本のロックシーンを総括するフェスだと自認したこともだれかに押し付けられていることもない。あくまでこれはロッキング・オン・ジャパンという会社が開催するフェスなので、当然アーティストはロッキング・オン・ジャパンにゆかりのあるアーティストになるだろうし、あるいはこれから推していきたいアーティストにもなるだろう。なのでそういう視点でみればどんなアーティストがでようが、全くロックシーンを包括していたかろうがなんら問題はないように思う。問題があるとすれば、これを「日本を代表するロックフェス」みたいな物言いになることくらいだろうか(正しくもあるが語弊もある)。ここをきっかけにいろんなアーティストへ広がっていく、そんなフェスになればいいなと思う。若い人が多いフェスなので、もう少しリベラルな視点があればいいのだけれどアーティストがそれを引っ張っていかない部分もあるので致し方ないところでもある。