いつものフジロック

FUJI ROCK FESTIVAL2022。紆余曲折あり、向かい風あり、キャンセルありと完全体とはいかないまでも、「いつものフジロック」を銘打った今回は、洋楽フェス復活ののろしを高々にあげたメモリアルなフェスだったことは間違いないだろう。

私はさんざん悩んだ挙句、諸事情あって初参加は来年以降に持ち越したわけだが、しっかりと配信で楽しむことにした。

本来ならば3日間フルでみるつもりだったのだが、休みはとれず。ただ、不幸中の幸いか、月曜日に自分が濃厚接触者となったためテレワークに切り替えることができた。ということは、仕事しながらおうちでフジロックができるということだ!!

結果から言えば、金曜日は一日中誰かと電話していて、ゆっくり音楽を聴ける状況ではなかった。それでも昼ご飯の間や、わずかな作業中の合間を縫って、しがみつくように観ていた。

土日は当然家にこもってフェス。PCR検査キットでも陰性(低リスク)判定で、ゆっくり落ち着いて楽しめる。断酒をしていた(深い理由はない)自分もさすがに2年ぶりくらいに自宅でお酒を飲む。

今年はいろんな思いが錯綜するなか、とにかく客側がスペシャルな感情を特に持っていたように思う。2年以上海外アクトから遠ざかった音楽ファンのいてもたってもいられない焦燥感はツイッターからも伝わってくる。そしてアーティスト側も同じだ。特に日本のアーティストはフジロックというものがどれだけの思いで続けてきたのかを知っているから、なおのことだろう。初出場でホワイトステージに立って「しんじられない」と何度も口にしたkroiは、自身もフジロックによく通っていたと話す。10数年前は運転手としてフジロックに来て、こんなところで歌える日が来るのかなと淡く希望を抱いていたら本当にたつことができたと感慨深げに話すPUNPEE。8月以降のオーストラリア公演をメンタルヘルスの問題でキャンセルすることがきまっているのに最大限のパフォーマンスをしてくれたTom Misch。音響トラブルにも負けないVampire Weekendや大量の観客をステージに上げ祝祭感を演出したSUPERORGANISM。初のフジロックを完全にジャックした鈴木雅之。Black Country, New Roadは直前にフロントマンのIsaacが脱退し、既存曲を捨て全て新曲で挑み、最後にはTyler Hydeが号泣しメンバーに連れられて去った。Night Tempoは矢川葵やBONNIE PINKを引き連れシティポップで沸かし、2日目のトリであるJack WhiteはWhite Stripesの代表曲であり、世界中のアンセムソングである「seven nation army」を披露し、会場の大合唱を生んだ。

他にも挙げればキリがないが、個人的に特に話しておきたいアクトに絞っていくつか列挙してみる。

観たアーティスト

Michael Kaneko/DOPING PANDA/幾何学模様/WONK/木村充揮ロックンロールバンド/JPEGMAFIA/Night Tempo/Awich/HIATUS KAIYOTE/SYD/VAMPIRE WEEKEND/BONOBO/The fin./石橋英子/BLOODYWOOD/CreativeDrugStore/FOALS/DINOSAUR JR./ARLO PARKS/JACK WHITE/kroi/奇妙礼太郎/JAPANESE BREAKFAST/Elephant Gym/ROUTE 17 Rock’n Roll ORCHESTRA/BLACK COUNTRY, NEW ROAD/PUNPEE/SUPERORGANISM/MOGWAI/Tom Misch/ハナレグミ/Halesy/Mura Masa

1日目

初日のハイライトはDOPING PANDAかもしれない。昔どっぷり聞いていたってほどのバンドでもないが、再結成はやっぱりうれしいし、憎たらしいほどキャッチーでかっこいいギターはDOPING PANDAの真骨頂。余すことなく代表曲をやってくれて、「Miracle」や「Transient Happiness」も最高だった。初めて生演奏(配信だけれど)をみれたのもうれしかった。ちょうどお昼時だったので小躍りしながら観ていた。

TOYOTAのつなぎをきていたJPEGMAFIAもさすがの一言。途中でcall me maybeを歌ったり、日本語通訳を介して「暑くてfackだ」という名言を残すなど、完全にフジに爪痕を残していった。なかなか難しいだろうけれどまた日本に来てほしい。

VAMPIRE WEEKENDは冒頭から音響が完全に狂ってしまって一時中断してしまうほどだったけれど、再開してからはさすがの一言だし、なにせ演奏力が桁違いに良い。世界のバンドってこれくらいさらっと圧倒的に打ちのめしてくるの忘れていた。

2日目

なんといってもFOALSだろう。とにもかくにもそれに尽きる。大好きな1FOALSは2020年3月に単独ライブが決まっていたのに直前で流れてしまった。その雪辱を果たしに来てくれた。新しいアルバムを引っ提げて。最高の。メンバーは一人脱退して3人になったが、サポートメンバーも含めて、一切変わらない迫力でプレイしてくれた。すこしボーカルのヤニスののどの調子が芳しくないようだったが、精いっぱいの歌声を届けてくれた。本当に観られて幸せだった。「My Number」「Inhaler」といったライブ映えする楽曲も、雄大で力強い「Spanish Sahara」など、初期曲から新作まで惜しみなくたっぷり披露してくれた。

他にもいろいろあったけれどこれだけはもうFOALSのみについて書くにとどめておく。悔しい点としてはうっかり爆睡してしまってsnail mailを完全にスルーしてしまったことくらいだ。

3日目

奇妙礼太郎の声量とエネルギーに圧倒されたし、本当にいい人なのが伝わってくる。音楽に関係ないと思われるかもしれないが、そういうのも十分に大切なのだ。

Elepghant Gymは日本語でしっかり思いを伝えてくれるし、みんなかわいいし癒されるし楽曲が始まった始まったでキレッキレで最高だった。Chilldspotの比喩根もゲスとボーカルとして登場するなど、とても上質なライブだった。秋のツアーも楽しみだ。

SUPERORGANISMはラストで観客をステージにあげる暴挙に出てカオスに。ハーモニカ奏者を探し始めたりと自由でどっしりとしたパフォーマンスは前回のフジロックより増している。

BLACK COUNTRY, NEW ROAD(以下BC,NR)はまさに圧巻で、打ちのめされた。壮大な映画音楽を体験しているような、この完成度とクオリティと張りつめた緊張感のようなもの。だからすべてが終わった時、放心した。なんてものをみたんだとドン引きした。なかなかしないと思う、音楽聞いてドン引きすること。

そしてMogwai。当然存じ上げている轟音バンドだが、生配信で観るのは初めて。まあうるさいのなんのって。そして最後の楽曲「Mogwai Fear Satan」での静から爆音への転換のあの瞬間。バーーーンってスピーカーが爆発音出してた。聴いたことない音。スピーカーも出したことない音だったと思う。ふざけんなよ隣からクレーム着たらどうすんだ。「だってMogwaiが急におっきな音出すから….」で通用すると思ってるのか。でもなんだろ、もうその音の凶暴性はある種のセラピーみたいなもので、サウナで整うのと同じ感じなのかな。わからないかもしれないけれど、爆音でしか得られないものってあるんだ。

Mogwai終わりにハナレグミを見始めたら、もう楽し過ぎて、美し過ぎて釘付けになった。もしかしてこのフェスのハイライトになるのでは?というくらいに多幸感がある。どの曲が、というよりはステージングひっくるめて史上最高にハッピーだ。Halesyの配信時間になっても全くチャンネルを変えることができない。(結果的にHalesyの配信はまだ始まっていなかったのだが)

Halseyは数曲しか配信されなかったがそれでも十分すぎるくらいにカッコよさは伝わったし、よく直前で配信してくれたなとおもう。

MURA MASAはもういうことなし。最高!!!!

まとめ

いうことなんてないです。自分のつぶやきがすべてなので最後にはっつけておしまいにしたいと思います。来年は参加するぞ!!苗場!!

配信のなかったアーティストもどんなんだったのか、ゆっくりツイッターで感想を追いかけることにしよう…