ハリウッド版「ゴジラ」シリーズの「GODZILLA ゴジラ」(2014)、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(19)と、「キングコング:髑髏島の巨神」(17)をクロスオーバーして描く「モンスターバース」シリーズの第4作で、ゴジラとキングコングという日米の2大怪獣が激突する。モンスターの戦いで壊滅的な被害を受けた地球。人類は各地で再建を計り、特務機関モナークは未知の土地で危険な任務にあたりながら、巨大怪獣のルーツの手がかりを掴もうとしていた。そんななか、ゴジラが深海の暗闇から再び姿を現し、世界を危機へ陥れる。人類は対抗措置として、コングを髑髏島(スカルアイランド)から連れ出す。人類の生き残りをかけた戦いは、やがてゴジラ対コングという未曽有の対決を引き起こす。監督は「サプライズ」やNetflix実写版「Death Note デスノート」などを手がけたアダム・ウィンガード。出演はアレクサンダー・スカルスガルド、レベッカ・ホール、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」から引き続き登場するミリー・ボビー・ブラウン、カイル・チャンドラーほか。また、「GODZILLA ゴジラ」「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」で渡辺謙が演じた芹沢猪四郎博士の息子・芹沢蓮役で小栗旬が出演し、ハリウッドデビューを飾った。

映画.comより

前作の「キングオブモンスターズ」の仕上がりはばっちりだった分、期待は上がっていくが、シリーズ化すればするほど薄っぺらくなってくる。

ゴジラシリーズには欠かせない”科学”だが、それがどうにもチープに見えてしまう。あえて壮大な科学をもっともらしく語り合うだけだ。

基本このゴジラvs○○構図は往年のゴジラファンならワクワクしちゃうタイトルだが、実際はコングvs○○の構図で、ゴジラの敵がキングコングではなくキングコングの敵がゴジラだという結果に。まあキングコングはアメリカ人にとっての戦前から親しまれてきた最初期の怪物で得ある。彼らにとってのヒーローであるキングコングを悪者にしたりなどありえなく、ゴジラには戦う理由はなくても、キングコングには戦う理由がある。しかしこの非常にデリケートな2キャラクターの戦いの結末の落としどころとしては非常によかったと思う。

一応前作の続きで、渡辺謙が演じた芹沢博士の息子役に小栗旬が登場するが、その英語力の低さにセリフを与えなかったのか、そのかわりにヒスパニック系の色っぽいよくあるお姉さんが追加された。引き続きミリーボビーブラウンも出演するが、すっかり陰謀論者になっており(結果的に真実にたどり着いているのでいわゆる”陰謀論者”ではないが)そのキマッた顔つきは立派なものである。そういえばこいつの母親も「怪獣が世界をよくする!」みたいなこと言うやっべえ奴だったので、あの母親あっての娘だ。

時空のゆがみのシーンはちゃんと面白く作られていたので(あっさりだったのが丁度良かった)、バックトゥザフューチャー感があってよかった。そしてたどり着いた先はジュラシックワールド。主人公の風貌がクリスプラットなのもあいまって余計にそう見えてしまう。

無呪力体験をするコングを見ていると、まるでColdplayかKaty PerryのMVかと見間違うほど神秘的。もちろん褒めていない。

途中からミリーボビーブラウンはひとりストレンジャーシングスを始めだすし、この映画のアイデンティティはすっかり失われている。

後半には世界一ダサいメカゴジラが登場。アメリカ人のセンスはよくわからない。ただ、目が完全にヤベエのでサイコ感は半端ない。完全に敵キャラの様相。事実敵キャラになるが。

大体ゴジラは前半戦でキングコングをやっつけられなかったのが問題である(それだと映画が終わってしまうけれど)。海中戦に加えキングコングは手足が縛られているとかいう圧倒的有利な状況で勝ちをするりと手放してしまうなんて、ネット住民のおもちゃにされてしまうだろう。

そして最後に、ゴジラのいつもの「当たり判定出ない限り窓ガラス一つ割れないビル群」の演出は見事だった。

作中で流れた楽曲。

Elvis Presley – Loving Arms

ザホリーズ – The Air that I Breath

相変わらず思うのは、ゴジラみたいなSF大作ですらこうやって既存ポップスを使用できるこの懐とセンスを商業心やましい日本の映画製作会社も見習ってほしい。映画が出来たら新しい曲を売るチャンスって思うからいつも誰かに大したことない曲を無理やりエンディングに使うことになる。名曲を使えばいい。