ウルトラマンを人より詳しいとは思えないが、人並みにはウルトラマンを観て育ち人形を集めていたのできっと楽しめるはずだと確信し、劇場へ。

日本を代表するSF特撮ヒーロー「ウルトラマン」を、「シン・ゴジラ」の庵野秀明と樋口真嗣のタッグで新たに映画化。庵野が企画・脚本、樋口が監督を務め、世界観を現代社会に置き換えて再構築した。「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる謎の巨大生物が次々と現れ、その存在が日常になった日本。通常兵器が通じない禍威獣に対応するため、政府はスペシャリストを集めて「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」を設立。班長の田村君男、作戦立案担当官の神永新二ら禍特対のメンバーが日々任務にあたっていた。そんなある時、大気圏外から銀色の巨人が突如出現。巨人対策のため禍特対には新たに分析官の浅見弘子が配属され、神永とバディを組むことになる。主人公・神永新二を斎藤工、その相棒となる浅見弘子を長澤まさみが演じ、西島秀俊、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、早見あかり、田中哲司らが共演。劇中に登場するウルトラマンのデザインは、「ウルトラQ」「ウルトラマン」などの美術監督として同シリーズの世界観構築に多大な功績を残した成田亨が1983年に描いた絵画「真実と正義と美の化身」がコンセプトとなっている。

映画.comより

映画として最も優れているのは、元ネタや背景、あらすじなど事前知識がなくてもちゃんと理解できてちゃんと楽しめることだ、という持論がある。もちろん知っていればより楽しめる前知識みたいなものはある。このシンウルトラマンでも同じことが言える。過去の怪獣や有名なシーン、あるいはシンゴジラを踏まえたジョークなど、ちりばめられたリスペクトによるオマージュは様々だ。

ただ、シンウルトラマンが優れていたのは、私のようなそこまでウルトラマンに詳しくない人間でも十分に一つの物語として楽しめた点である。

あらゆる知識人や専門家、オタクたちがこぞって解説し庵野秀明ならではの手法に着目する人など様々だが、それぞれ個性的なキャラクター、そしてウルトラマンの描き方と終わり方は秀逸というほかない。

なにかあると人のケツを、ときには自分自身のを叩いてカツを入れる昭和ガテン系の浅見(長澤まさみ)も、船縁(早見あかり)が「~わよ」みたいな古臭い女性言葉を用いるのも、意図的なんだろうなと思わせる。その方が「昭和」を彩ったウルトラマンの空気管や世界観を表せるから意図的に描いているのだろう。

米津玄師による主題歌「M八七」も、ヘッドホンで聴いた時よりも劇場で聴いた時の方が圧倒的に良かった。そこまで見込んで設計されていたのだろうと思わせるサウンド。完全に打ちのめされた。すごい音楽だった。