感想

アメリカの青春ムービーは数多くあるが、その中でも屈指のテンポ感を誇る。たまたま字幕ではなく吹き替えでみたからかもしれないが、延々と冗談と本気を繰り返しやりとりしている。会話と会話の応酬。
サクラメントの地理的特徴とサンフランシスコの気候が度々揶揄されているが、それがわからないと少し彼女たちの心情も分かりにくいかもしれない。ただ、地元を出たい、という10代の女の子の気持ちはどこにいっても変わらないと思う。親との確執もたびたび起きるし、それはいつも誰が悪いとかもなくてそのたびに悪者が変わる。ただ父親だけはいつも穏やかで”事なかれ主義”ではあるけど、とても信頼できる人だった。タバコに憧れたりセックスに幻想を抱いたり、携帯電話を持たせてもらったり、どこにでもある風景を断片的に描いている。
この映画の肝はやっぱり母親と娘の愛情であり、そこには単純には測れない複雑な要素が入り混じっている。だからケンカしたのちに娘が大学へ通うために遠くに行くとき、一度は無視したのに溢れる思いをこらえきれずに旦那の元まで涙ながらに駆け寄ってしまう。

「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画。「フランシス・ハ」や「ハンナだけど、生きていく!」などでは脚本も手がけ、「Nights and Weekends」(日本未公開)では共同監督を務めた経験もあるガーウィグが、初の単独監督作としてメガホンをとった。カリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いた。主人公クリスティンを「ブルックリン」「つぐない」でアカデミー賞候補にもなった若手実力派のシアーシャ・ローナン、母親マリオン役をテレビや舞台で活躍するベテラン女優のローリー・メトカーフが演じた。第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になった。

あまり示唆的な難しい描写も少なく、きちんと丁寧に描いてくれているのでとっつきやすい。ただスピード感が凄いのでぼーっとしてると話が飛んでしまうかもしれない。ラストが凄く良い終わり方だったと個人的に思う。ありそうでなかった新しい感覚の青春映画だった。基本、最後までこじらせ続ける主人公のレディバードなんだけど、最後の最後に少しずつ変化の兆しが見えてくる。そこも含めてリアルなんだけど、この映画はそこまでで終わっていて続きは描かれていない。終わった後も彼女の事を考えてしまう不思議な作品。

 

 

 

最後に名台詞飛び出たので是非使っていきたい。
「うわこれ全部ベストアルバムじゃん!趣味悪っ!!」

 

 

音楽

音楽は登場順に紹介している。

John Hartford – This Eve Of Parting

 

Alanis Morissette – Hand In My Pocket

 

Bone Thugs-N-Harmony – Tha Crossroads
Reel Big Fish – Snoop Dog,Baby
Dave Matthews Band – Crash Into Me

Love – Always See Your Face