子役らしさ

子役が注目されるのは、その愛らしさである一方で、子供らしからぬしっかりとし立ち振る舞いも重要になる。芦田愛菜や寺田心や本田望結はその点に優れているし、しかし谷花音や小林星蘭は大人っぽい表情を持ちつつも言動は子供らしいというギャップに世間からの好評を得ている。そして鈴木福などは素朴な少年感がウケている。

理由は様々だが、日本にも世間に知られている子役は多い。







そんな子役は決まって子供らしさを求められる。バラエティに出た時はその愛くるしい笑顔が必須だ。それは何も不思議な話ではないのだが、子役に対する大人たちの姿勢に少し違和感を感じる。

常に近所の子供みたいな扱いをする大人の演者たち。「あーかわいい!!」とか「好きな食べ物はなんですか」とか、カンペなのは分かっていても、その終始子供扱いをし、一切プロフェッショナルであることは無視されるのは不思議だ。彼らは子供でありながら演技のプロであり、事実映画に出たからその宣伝としてテレビに出てるのであり、そこは無下にされつつ普段の子供らしさのみ求められるのは不憫だ。

当の子役たちがそれに不満を持っているとはあまり思えないが(子供だし)、それが正しいエンタメカルチャーの姿かというと少し違う気もする。



アメリカの例

極端な例を出すと、アメリカでブルックリン・プリンスという子役女優がいる。2000年生まれ、当時7歳で映画「フロリダプロジェクト」で一躍有名となり、賞も受賞した。まずその受賞シーンをどうぞ。



まぁなんともしっかりした子供である。そして周りに感謝を述べるところも大人びていてびっくりする。次にその映画のインタビュー動画を見てほしい。



わずか7歳の女の子にインタビュアーは演技に関する質問を次々にする。そしてそれにまっすぐ答えるブルックリン。決して終始子供扱いし「好きな食べ物は?」「最近ハマってるアニメは?」などと馬鹿みたいな映画と無関係な質問ではなく、大人と同じ扱いをする。プロフェッショナルとしてリスペクトしているからだ。彼女を役者として認識しているのだ。

あくまで一例で、これを元に「だから日本は」と簡単に言うつもりはないが、少なくともエンタメカルチャーの歴史の土壌の違いを知る一つの手がかりになりはしないだろうか。

ちなみにこのブルックリンプリンス、なんと現在映画監督として活動中で、「Colours」というタイトルで撮影中とのこと。(https://www.google.co.jp/amp/s/amp.natalie.mu/eiga/news/314989)

これに対する賛否の声は知らないが(というか否定的な声があったとしても意味がわからないが)、これが堂々とできるってプロとしての実力を試されているからではないか。
少なくともランドセル背負わせて他の一般人の子供たちと同じような扱いにした上でくだらない童謡を歌わせるような事だけが素敵な事だとは思わない。




最後に、アメリカで有名なトーク番組、ジミーキンメルライブに出演した際の動画をどうぞ。これをみて私は子供との接しかたを考え直した。


ジミーキンメルは、終始ブルックリンに対して紳士だ。目線を下げて赤ちゃん言葉にしたりしない。話の内容はそりゃ合わせて学校の話とかもするけど、常にトーンは大人だ。
アメリカ人だって子供は大好きなわけで、ちょっとでもチャーミーな動きをすると「アーァン🖤」と感嘆の声を漏らすが、プロにはプロ。素人には素人、と使い分けがある。
個人的にはこっちの方が見ていて気持ちがいい。

プロ意識を持つ

子供は無条件で可愛い。だけれど彼らは仕事でやっているのでありお金をもらって演じているプロなのだ。プロなら年齢は関係ない、と息巻く重鎮役者は、それなら子供役者の接しかたを改めてもいいと思うし、見る側の我々も求めるものを少しずつ変えていった方がいいのではないか。