2020年最悪の幕開け

オーストラリアで山火事が収まらない。人間の横暴によってか、異常気象が続く世界で、オーストラリアの山火事は一報によると8000頭のコアラを焼き殺し、5億匹の命が奪われている(24人も亡くなっている)そうだ。

一方で中東に目を向けると、イランとアメリカが一触即発の緊張状態に陥っている(現在は何とかそのピークは越えた)。

 

 

新年早々とんでもない世界情勢の中、多くの人がそこに声を上げているのも事実。

オーストラリアに関してはここでもまとめたので見てほしいが、”第三次世界大戦”か、とも言われるこの緊張状態においても、当然戦争反対を声高に叫ぶ人は後を絶たない。


ミュージシャンの政治的発言

政治的発言が避けられがちな日本だが、それでも戦争反対と言うのは難しくない。しかし、よくよく見てみると、そんな発言をしているのは一部のインデペンデントな活動(出自がネットだったり大手メディアに頼らず売れた人たち)を中心とするミュージシャンや、自身がブランド化し、何を発言しても受け止めてもらえるミュージシャンばかり。割とまだオールドファッションな売れ方をしている人達は沈黙を保ったままだ。

そこで今回は、私がなんとなく感じた「若者に人気のバンドマンほど政治的な発言を避けている」ことを確かめるために、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019に出演したアーティストの中で、メインステージに立ったアーティストにしぼり、今年に入ってそのような趣旨の発言をしたかどうかチェックしてみた。今回はTwitterだけを観測対象とし、インスタやブログ、その他SNSは対象外とする。
グループによってはTwitterをしているメンバーとしていないメンバーがいるので、グループ内で一人だけTwitterしている場合のみその旨を書き、それ以外はしているメンバーもしていないメンバーもひっくるめて書いている。少しわかりにくいと思うが、簡略化のためのご理解をいただきたい。

ゆず→アカウントなし
ゴールデンボンバー→全員言及なし
フレデリック→全員言及なし
sumika→全員言及なし
ヤバイTシャツ屋さん→全員言及なし
THE ORAL CIGARETTES→全員言及なし
SEKAI NO OWARI→全員言及なし
欅坂46→全員言及なし
NICO Touches The Walls→アカウントなし
04 limited sazabys→GENのみオーストラリアの件のリツイートあり
サンボマスター→山口は西日本豪雨や難病に関するツイートあり
Perfume→アカウントなし
WANIMA→KENTAのみアカウントあり、言及なし
10-feet→タクマは台風復興のリツイートあり
モーニング娘。20’→アカウントなし
キュウソネコカミ→全員言及なし
KANA-BOON→全員言及なし
クリープハイプ→全員言及なし
UNISON SQUARE GARDEN→アカウントなし
あいみょん→言及なし
BUMP OF CHICKEN→チャマのみアカウントあり、言及なし
ももいろクローバーZ→アカウントなし
KEYTALK→全員言及なし
Mrs.Green Apple→全員言及なし
きゃりーぱみゅぱみゅ→オーストラリアに関する言及あり
[ALEXANDROS]→アカウントなし
マキシマムザホルモン→ナヲのみアカウントあり、言及なし
UVERworld→アカウントなし
MONGOL800→キヨサクのみアカウントあり、言及なし
スキマスイッチ→アカウントなし
東京スカパラダイスオーケストラ→全員言及なし
エレファントカシマシ→宮本のみアカウントあり、言及なし
ポルノグラフィティ→新藤のみアカウントあり、言及なし
スピッツ→アカウントなし



以上が結果となり、非常にまとめやすい。34組中2組、フォーリミのGENときゃりーぱみゅぱみゅだけが今年に入ってその類の発言(あるいはRT)をしていることになる。
別に発言をしない事を叩くつもりはない。発言する人を褒めるべき(褒めるべきというのも変だが)であって、発言しない人を軽蔑するのは本質ではない。
ただ、今回このタイミングで調査をしたのは、アメリカイランの緊張状態、そしてオーストラリアの火災と、比較的発言のしやすいタイミングだ思ったからだ。
たしかに日本の政治を批判したりするのは多少難しいかもしれない。どちら側に立ってもその意見に偏りが生まれ批判が生じるからだ。ただ、今回は海外の話。しかも火災から動物を救うためのアクションや、戦争反対は批判やアンチを生じないほどに普遍的なスタンスだ。もし戦争反対に噛みつくアンチがいたらそんなものはファンおろか人間失格か、頭のおかしい逆張り野郎なので問答無用でブロックして通報すればいい。そんなものバンドのブランドに全く関わらないからだ。つまり、マイナスな事は何もない。

にも関わらず、今年に入って宣伝ツイートはすれど語らないバンドはどれくらいいるのだろう。と思ったのが今回のきっかけだ。

とはいえ人のスタンスは様々

今回は1/1〜1/8の間での発言であり、過去の発言までは拾っていない。なので、ここで言及なしとなっているからといって決して「今まで発言したことがない」とみなすわけではない。また、スタンスも様々で、リツイートしかしない人とか宣伝用のアカウントとかもう稼働していないアカウントとか、その人の意向もあるので、繰り返すが個人を責めたりするつもりもない。あくまで単なる一観測だ。

あまりにいじわるな観測なので、もう少し言い訳(擁護)すると、サンボマスターや10-feetのように、普段から地元など、身近なことに関してとても積極的で発言も多い人たちは、それがスタンスであり、オーストラリアひとつ言及しなかったからといって軽率に扱うことなどとんでもない話だ。何度も言うがこれは単なる現時点の結果であり個人のパーソナリティやスタンスなどを否定するものではない。

それにこれはロッキンのメインステージに出る人たち”だけ”をつるし上げる意図もない。じゃあミスチルやサザンやスピッツやB’zや松任谷由実や浜崎あゆみはどうなんだと問うこともできる。彼らよりもうんとキャリアのある人間ですら閉口してるんだから彼らだけを責めるなんてお門違いである。(同様に上述のベテランたちを責めているわけでもない)


影響力がある人だからできること

ただ、間違いなく”今回たまたま”つぶやいていないだけ、の人ばかりでないのも事実だ。今回は計測していないが、このオーストラリアやイランアメリカの緊張状態のみならず、どんな政治的な汚職が起きても、災害があっても、自分にゆかりがあるとかその地にフェスやライブで行く用事があるなど自分に関する事でない限り、無言を貫く人は多い。むしろこんなに発言しやすい今回のタイミングでしないのなら今後一切するつもりもないのだろう。

すこし考えてほしい。あなたがたミュージシャンは30を超えた(あるいは迎えようとしている)一人の立派な国民であり大人だ。そんなあなたが、バンドの公式アカウントのほかに、個人の名前でアカウントを持っている。それは確かにビジネスマーケティングのうえで欠かせないツールなのかもしれない。そこでの気軽なファンとのふれあいこそがファン拡大の一手になるのだから。でも、どうしてあなたがアカウントをもっているのだろう。そしてどうしていい大人のあなたがアイドルでもあるまいし、事務所に発言の制限をかけられているのだろう。仮にも表現者を名乗る30過ぎの大人が戦争反対の一言も言わせてくれないというのは歪ではないだろうか。

これからもあなたたちはファン獲得のために楽しげなライブ後の写真をあげることにまい進するのだろうか。酒におぼれた写真は載せても、戦争反対ともオーストラリアの募金を呼び掛けることも、殺処分される犬を救うよう発言することもしないのだろうか。もちろんそれでかまわない、個人の自由であり、それを押し付けることほどの緩慢な偽善はない。

でも、あなたがたはROCK IN JAPAN FESTIVALのメインステージに立つ人たちだ。多くの若者に多大なる影響を与え、妄信的にあなたがたを信じている若者をたくさん抱えている。
そんなあなたがたが、たった一言「募金しよう」「選挙いこう」「みんなで考えよう」「戦争反対だよね」と言ったとしたら。寄付サイトのリンクをシェアしたら。どれだけ多くの若者がそれに感化され募金するだろうか。その考えに賛同するだろうか。あるいは友達に話すだろうか。

それを鑑みたとき、やってみようとは微塵も思わないのだろうか。
そんな個人アカウント楽しいんだろうか。

そんなことないと思うが、もし「俺はそんなキャラじゃない」とか思っている人がいたとするなら、即刻ミュージシャンなんかやめて社会人ちゃんとやり直した方がいいと思う。大学生じゃあるまいし。

まとめ

妙な誤解と揚げ足取りに合わないように言い訳がましくなってしまったことを謝ります。
日本の政治に関することはナイーブになるのは理解する。自分だってやっぱり「友達にめんどくせーなーとか思われないかな」とか考えてしまう。
でもそんなに難しい話だろうか。これからたくさんの問題が起きる。台風で、津波で、地震で、多くの人が助けを必要とする。災害だけじゃない。不誠実な出来事がある。信じられないくらい痛ましいこともある。許されないこともある。世界で気候変動を訴える16歳がいる。それを嘲笑しようがなんだろうが知ったこっちゃないが、海外では気候変動に対してアクションを起こしているミュージシャンがたくさんいる。ここは日本、とか気取ってる場合なんだろうか。そんなの誇らしげに語らないでほしいと思うのは私だけだろうか。

戦争反対くらい言ってみたらどうだろう。そんなことも憚られるような華奢なブランドなら捨てても構わないのでは。