前日の疲れを残したままそれでも果敢に挑むサマソニ2日目。あいみょんもBiSHもいない大阪だけれど気を確かに。大阪だけのNINもノエルのせいで見れないことも気を確かに。落ち込んでいられない。
今日はシャトルバスのチケットを持っているので、悠々と。8:05にコスモスクエア駅到着、8:15にシャトルバスの待機列に並ぶ。この時で150人くらい並んでいた。8:30にシャトルバスに乗り込み会場へ。8:51に到着するとすぐに入場。グッズのために並ぶ。8:56に並び始めて、グッズ売り場にたどり着いたのは9:04。すぐに入れた。けれどほしいグッズが無くて結局買うことなく断念。
というところ。
ではアーティストの所感を述べていく。
11:10 The Sherlocks
去年から注目していた期待の若手バンド。久々に気持ちの良いロックを奏でてくれるバンドなので、ワクワクしていた。一番大きなOCEAN STAGE。サマソニ開始のカウントダウンから始まり、颯爽と4人が登場。ロックバンドって今は結構向かい風だよね、と語られがちではあるが、そういうまとめ方は簡単にしたくない。事実ではあるが、でもこうやって王道ロックを鳴らしている人たちがいる。結局キャンセルになってしまったが、グレタヴァンフリートのようなレッドツェッペリンをリスペクトしたバンドが話題になったり、スタークローラーのような新たな形のカリスマが登場してきている。私たちはうっかり、90年代のオアシスやニルヴァーナのような、00年代のストロークスのような、それをそのままトレースさせたスターを望むものではない。グレタのようなパターンを過剰に持て囃すぐらいなら(グレタ自身が過剰評価だとは思っていない)ロックなんてそりゃ流行りっこない。そう思う。
ちょっとシンプル過ぎてときに単調かなと思うこともないが、際立ったメロディとアンセム感のある楽曲たちはこの大きなステージに映える。たしかにこれはマウンテンでは物足りない。一番大きなオーシャンがいい。あとは本人たちのパフォーマンスの向上を期待する。兄弟と兄弟の組み合わせというなんとも珍しい構成ではあるが、そのロックに対する姿勢は真っすぐでシンプルで本物だ。ファンの呼びかけにも気さくに応える。ラストの「Chasing Shadows」はこのバンドがビッグになった時に相応しくなる曲だろう。The Killersの「When You Were Young」を想起させた。もっとキャリアを積んで、そしてぜひ日本でトリを。そのスケール感は持っている。
セトリ
- Last Night
- Escapade
- Will You Be There?
- Magic Man
- Nobody Knows
- Live for the Moment
- Chasing Shadows
12:30 Pale Waves
なんとなく懐かしさを感じるようなサウンド。90年代、どこかで聞いたような、そんな気がする。ゴシックスタイルで結構ゴリゴリなバンドかと思いきや、めちゃ軽快なポップス。そのギャップにやられた。MOUNTAIN SATGEは新人バンドがよく登場するので、思い出の多い場所だ。
登場した時、ジーンシモンズが登場したかと思った、というベタなつっこみはひとまずおいといて、このバンドよく売れたなとびっくりする。いや、いい意味で。見た目と音楽のギャップもそうだけど、このthe 1975の女性バージョンみたいな音楽を日本まで届けていることに素直に感心する。パフォーマンス自体は突飛なこともなく、きっちりと丁寧に歌い上げていく。炎天下の日本をうらんでいるのだろうかと勝手な邪推をしながら観ていた。しっとりとした歌い方なんだけどすごく芯を感じる熱いライブだった。時に髪を振り乱してドラムに近寄って歌ったり、客の声援にこたえている。でもどこか明るく振りきれない切なさが残るメロディは日本人との親和性も抜群な気がする。とりあえず新人バンドの中でもっとも”商品”としてクオリティが高かったのは彼女たちだった。
関係ないけど、Pale Waves始まってすぐどこかへ行ったユニフォームを着た5、6人組は一体何をしに来たのかわからなかった。明るいノリのパリピは大好きだけど、ああいう音楽に興味のない人たちを見ると少し萎える。マシュメロ大好きお姉さんなら大歓迎なんだけど。知っている音楽の深さじゃなくて、音楽を楽しもうとしている姿勢がうかがえないとちょっとね。
セトリ
- Television Romance
- Heavenly
- Kiss
- My Obsession
- Noises
- The Tide
- Eighteen
- New Year’s Eve
- There’s a Honey
13:10 Billie Eilish
Pale Wavesをそこそこにして、SONIC STAGEへ。こちらも超大型新人、ビリーアイリッシュ。弱冠15歳にして世界中を騒がせた完全なる新しいセンスと圧倒的な存在感を放つニューカマー。これは数年後はフェスのトリを務める存在だと勝手に期待している。いまこのステージで見られることを幸せに思う。
サマソニは結構こうした新たな歌姫をいち早くフックアップして来日にこじつけるのに長けている。去年のデュアリパにしろ過去のレディーガガにしろ。まあ彼女はそれらに比べてかなりディープな楽曲を多く作るタイプの歌手なので、ティーンにまでウケるとはいかないかもしれないが、もうすでに耳の早い日本のリスナーからも絶賛され始めている。
謎のアニメのリフレイン映像が流れている中、1DJのスタイルで登場。ソニックステージは私がこの二日間見ていた中で最も低音が腹の底にまで響く空間になっていた。彼女の透き通った歌声と裏腹に強烈に刻まれるビート。「踊りたいように踊って!」と彼女が促すように、この空間はどこまでも自由。こんな女性アーティストが出てきて平気で受け入れられてちゃんとトップセールスのアーティストとコラボして、ってできるそのシーンの環境を本当にうらやましく思う。ビリーアイリッシュが受け入れられるシーンってなんだ?と考えてしまう。「you should see me in a crown 」では激しいダンスを繰り広げる。モモ上げダンスも上下運動もなんでもあり。私たちもそれに従ってサビでは激しく踊る。この音楽を大音量で生で聞けていることが一番尊い。非現実感を加速させる。キャッチーでポップに疲れた私を浄化してくれるような、そんなステージだった。全員でしゃがんでからのジャンプだったり、楽しませることを忘れない彼女もキュートだった。次は単独で。絶対にきてほしい。なにがなんでも行く。天才のそれに出くわした私たちは幸運だったとしかいいようがない。女性アクトでナンバーワン。圧倒的ナンバーワン。期待を遥かに超えていった。
セトリ
- bellyache
- idontwannabeyouanymore
- watch
- &burn
- Bored
- bitches broken hearts
- Hotline Bling (Drake cover)
- party favor
- you should see me in a crown
- lovely
- ocean eyes
- my boy
- COPYCAT
14:30 IAMDDB
女性ラッパー。凄く今っぽい。正直あまり知らなかった。だからほとんどこれが音楽的にも初対面。ビリーアイリッシュに引き続きSONIC STAGEで。涼むのにもってこいだ。
先に結論を述べると、彼女は逞しすぎた。そして音楽を愛しすぎている。はっきり言って客の入りはイマイチだった。裏にマーモゼッツやゴールデンボンバーが控えているせいか、決して多いとは言えない状況だったのは確か。しかし彼女は前半からぶっ飛ばす。新世代ジャズとして名高い「アーバンジャズ」を先んじて自称する彼女のパフォーマンスは紛れもなく本物だった。ポルトガル語を丁寧に英語に翻訳し説明してくれるし客の反応にも応える。人が少なくてもずっと笑顔で「赤く照らしてちょーだい」なんて言いながら自由自在にステージを作っていく。チャーミーでお茶目。なんだかこの人柄にどんどん惹かれていく。途中で抜けようかなって思ってたのに彼女のキャラクターに魅せられてしまう。「応援したい!」て思わせる。ミュージシャンは大前提として良い音楽である必要があるが、やっぱり人間性、その人の持つ魅力というのも大事な要素の一つなんだと気付かされる。
無事終わってステージ袖にはけた後も、ずーっと踊ってた。脱いだTシャツを着ようと手にかけたまま。はよ着ろよと思わず笑ってしまう。音楽が好きなんだなぁって。あんまり反応がなくても、反応があった時を見つけて喜んでくれる。プロだな、なんて思っていた。まだまだ日本単独は大変かもしれないけど、私はとてもよいアクトを見たと思っている。日本の印象どうだったんだろう??
セトリ
分かり次第載せます。
14:55 The Bloody Beetroots
MOUNTAIN STAGEに戻り、今度は一転してゴリゴリのダンスミュージックを。とはいってもEDMほど単調でもなく、テクノほどディープでもない、程よくメロディアスでちゃんと緩急のついたロックに近い音楽だ。スティーブアオキとの共作、「WARP」はもう最高に好きなのでそれを聴きに来た。のにもう終わっていたようだ。ガッカリ。
でも「WARP」がなくても非常に楽しい音楽だった。この真夏のクソ暑い中、レスラーマスクを被って走り回るボーカル。キーボードしたりマイクパフォーマンスしたりと大忙し。生バンドとエレクトロの融合が想像以上に激しさを生む。客を最大まで煽ってサビで落とす。なんでもありのガラガラドッシャーンな感じの音楽はフェスにあう。細かいことはいいからとりあえず盛り上がろうぜ、という心意気を感じた。最後の「My Name Is Thunder」をワンコーラスだけ聴いて退場。そこまで暑くはないが、やっぱりこれだけ熱気のあるライブの中にいると体力的にも結構消耗する。
セトリ
分かり次第載せます。
17:35 Marshmello
一番大きなステージであるOCEAC STAGEへ、朝一発目ぶりに帰ってきた。彼は被りものをしているので、よく知らない人が見れば「あ!苦手なタイプ!」と思うかもしれないが、もう彼(?)は完全にただのポップス。超美メロを奏でる最強DJ。いまはメロウなEDMが流行りだしね。
とか言ってるけど、本当はEDMの良さを分かっているわけではない。別にMarshmelloじゃなくてもよかったし、彼ならではの個性とか良さとかを理解しているわけではない。こんなもん、もうノリでしょ笑
後半30分くらいを後ろの方で聴いていたけど、あまりその魅力を発見できなかったのが正直なところ。有名な楽曲をかけてどんどんあげてそして落とす、と言う単純作業を2分に一回くらいしていて、すぐに飽きてしまった。ケンドリックラマーもダフトパンクも単純なEDM垂れ流しになってしまった感があって、あまり響かなかった。有名曲多かったので歌えたりしたのは楽しかったけど。
セトリ
分かり次第載せます。
19:25 Noel Gallagher’s High Flying Birds
Friendly Firesも見たかったしFlying Lotusも3D鑑賞できるっていうし、悔しすぎる。それにノエルなんてまた単独で来るじゃん!!!だけど、、、だけどやっぱり見ずにはいられないんだ。次なんて期待しない。明日死ぬかもしれないのなら今一番良い選択をするんだ。去年のアルバム「Who Built The Moon?」も過去のソロ2作よりも好きだったし、もちろんオアシス時代の音楽も大好きだし、なんてったってひとつくらい大トリは観ておかないと。昨日のBeckは一瞬だったし。
最前のエリアに突っ込んでノエルを待つ。去年、リアムを待った時を思い出した。初めてのフェスでストロークスが見たくて同じように最前に突っ込んで、待ってるだけで死にそうになったことも思い出す。でも体感だけど、あの時のようなおしくらまんじゅう感がない。みんな余裕で立ってるし。時代は変わったのかな。
当然、「Fort Knox」から始まる。女性コーラスとノエルの掛け合いがこのアルバムの雰囲気を作っている。ノエルはコーラスを3人連れてきた。音も多重で音楽的にとても豊かなアーティストだ。リアムが荒くて生々しいのに対し、ノエルはとても洗練されていてゴージャス。でも「Holy Mountain」のようにみんなで歌えて、リフが気持ちいい曲はオアシス時代と変わらない。その後も新アルバムからの曲が続く。おそらくオアシス時代の曲を求めてきた人も少なくないだろうが、なんといってもこのアルバム自体が素晴らしいことは忘れないでほしい。その後も新アルバムからの楽曲が続く。「Keep On Reaching」などはやっぱりコーラスが欠かせない。後ろに流れる綺麗な映像もオアシス時代には見られないセンス。伸びのある中高音域は本物のノエルだって気づかさせてくれる。一方でローなテンションを長くキープする「It’s A Beautiful World」は私をさらにノせてくれる。途中で流れるアテンションコールもしっかり流して、グッと曲のボルテージが上がる。聞かせる楽曲ではあるが、思わず前のめりになって聴いてしまう。もちろん他のソロアルバム2作からも曲を披露。とくにファーストソロは大好きなので「Dream On」なんかはテンション上がった。この曲は「The Importance of Being Idle」を想起させるような雰囲気を持った曲。ラストはみんなで合唱できて楽しかった。
オアシス時代の曲は「little by little」から。歌詞も含めてグッとくる。サビ頭の「リルバイリルー」は鉄板。次の「Whatever」は日本でも人気の高い曲。個人的にそこまで思い入れのある楽曲ではなかったけど、いざ生で聴くと感動する。メロが抜群にいい。とても日本と相性の良い、セツナ系メロ。ちょっと歌いにくいけど。みんな頑張って歌ってた。その後も「Half The World Away」をやってからの「Wonderwall」。去年リアムで聴いて以来、2年連続2回目の「Wonderwall」。しかも兄弟コンプリート。この曲はもともと大好きだったけど、映画「Mommy/マミー」を観てからより一層好きになった。曲の使い方も映像もその映画自体も素晴らしくて、私の映画ランキング第1位である。ぜひ観て欲しい。それを観たら二度とWonderwallを泣かずに聴けなくなる。もう少し語ると、このWonderwallが劇中で流れる時の字幕が最高なのだ。この訳が最高で最強。だから決めた。自分が結婚するときは絶対この曲を歌う。どんな形でも。You gonna be the one who saves meって言いたい。他の誰がなんと言おうが人生の一曲なんだから。死ぬまで愛する、この曲は。普段は趣味とか合わなくてもいい人だけど、この曲だけは理解してくれる人が理想だなぁ。結婚するならの話。
セトリ
- Fort Knox
- Holy Mountain
- Keep on Reaching
- It’s a Beautiful World
- In the Heart of the Moment
- If I Had a Gun…
- Dream On
- Little by Little(oasis)
- Whatever(oasis)
- She Taught Me How to Fly
- Half the World Away(oasis)
- Wonderwall(oasis)
- AKA… What a Life!
- The Right Stuff
- Don’t Look Back in Anger(oasis)
- All You Need Is Love(The Beatles cover)
20:30 Tame Impala
SONIC STAGEみたいなこんなちっさなステージに彼らがいること自体がレアである。海外ならヘッドライナークラスの彼らがトリとはいえサブステージで。ノエルの野郎のせいで彼らを最初から見ることはできなかったが、ノエル終わりに途中から会場は入った時からもう熱気であふれていた。
激しい光線と研ぎ澄まされた音楽。彼らをそこまで聴き込んだわけではないが、彼らの存在がいかなるものか、よくわかるステージだった。人は多くないかもしれない。でも今日一番の湧き上がりだった。みんなテームインパラを待ち望んでいたことは簡単に汲み取れる。彼らも決して手を抜かない。今やれる事をちゃんとやりきった。それは見た人間なら全員わかるはず。「大阪の方がナンバーワンダンサーだぜ!」と言っていたのはリップサービスか本音か、どちらにせよ彼らは本気でやってくれた。最後の最後に現在進行のロックの形を示してくれた。オアシスからテームインパラへ。この流れはとても恣意的だ。サイケデリックでありながら王道。途中からで偉そうに申し訳ないが、Tame Impalaをちゃんと追いかけていればロックなんて余裕で安泰じゃね?とさえ思った。アリーナもスタンドも巻き込んで大団円で締めた彼らのライブは、個人的な思い入れが無くても最高だったと言えるものだった。
セトリ
- Nangs
- Let It Happen
- The Moment
- Mind Mischief
- Sestri Levante
- Elephant
- Yes I’m Changing
- The Less I Know the Better
- Eventually
- Alter Ego
- Apocalypse Dreams
- Feels Like We Only Go Backwards
- New Person, Same Old Mistakes
二日目をおえて
やっぱりノエルはノエルだった。最後の最後までノエルかNine Inch NailsかFlying Lotusを見るかで迷っていた。でもノエルにしていて後悔はない。ラストのThe Beatlesのカバーで「All You Need Is Love」をやってくれた時、自分の尊敬するアーティストの尊敬するアーティストの曲を一緒に歌えるってすごいことだなあって感じた。世代も国も違うし社会的な立場も違うけど、聴いている音楽は同じで方法に差はあれど何らかの形でビートルズを聴いて歌詞を覚えてそしてこうやって日本で披露して。それを自分が一緒に歌えて。とても魅力的な時間だった。私はノエルの方が音楽として好きだ。彼の作る曲は本当に綺麗で物語性がある。でも人として、生き様やファッションはリアムの方が好き。オアシスなんてベタなアーティストをいつまでもありがたがっているなんて、自分でも古くさいロックおじさんかと思ってしまうときもあるけど、それでも手放せないのだから仕方がない。ヒーローは古ぼけてもヒーローだしまだ古ぼけてもいない。
1日目に比べてどうしても人の少なさには言及せずにはいられないのは事実。屋台も並ばず買えたり移動で混雑とかも全くない。たぶん人気邦楽アーティストの野外ワンマンとかの方が混雑するだろう、と思うくらい。洋楽離れって本当なんだろうか、と本気で考えてみたり。国内でこれだけロックが盛り上がって充実したらそりゃまあ海外の音楽なんて興味ないかとちょっと納得してしまったり。だけどこのブログはとことん洋楽にもこだわっていきます。邦楽と同じ熱量で。
ちょっと寂しさもあるけど快適さもあったサマソニでした。