年間アルバムベスト50の発表です。要するに1位は当ブログの”最優秀アルバム賞”ということです。改めて対象作品の確認です。 1.2024年11月~2025年10月にリリースされたシングル以外のEP、ミニアルバム、オリジナルアルバム、カバーアルバムが対象 2.各月の「月間アルバムランキング」にて各アルバムを評価したものに加え、聞き漏らしていた作品、全150作品が対象 3.各月の「月間アルバムランキング」では「曲 構成 ノリ メロディ 中毒性 後味 表現力 好き」の8項目で各10点、計80点で採点しているが、それらは参考であり本ランキングとは直接的な関係はない 4.ミニアルバム・EPよりフルアルバムの方を高く評価してランキングを作成

ランキング外

それでは、まずベスト50に入らなかった100作品を50音順で紹介します。ここに記載のないものは私の未聴作品となります。

[Alexandros] – PROVOKE
androp – hooray
ano – BONE BORN BOMB
ayutthaya – epoch -EP
BABYMETAL – METAL FORTH
betcover!! – 勇気
BLUE ENCOUNT – Alliance of Quintetto
CHAMELEON LIME WHOOPIEPIE – Whoop It Up
Charisma.com – ERROR40
Cwondo – Memoride 1
EIKO – Count on me
ELAIZA – fantasy
ExWHYZ – iD
FINLANDS – HAS
flumpool – shape the water
FLYING KIDS – 希望のシッポ
Galileo Galilei – BLUE
Hana Hope – Between The Stars
Hey! Say! JUMP – H*
HY – TIME
in-mark – I
ISSA – I SING
iVy – 混乱するアパタイト
JP THE WAVY – WAVY TAPE 3
Keishi Tanaka – Like A Diary
KERENMI – interchange
KREVA – R.P.P.B.G.M.
LAGHEADS – Who is “LAGHEADS”?
LISACHRIS – City – EP
Little Glee Monster – Ambitious
Little Glee Monster – Break out of your bubble – EP
Manaka – Pretty Machine Gun
MIKADO – HOMUNCULUS
No Buses – NB2
NOT WONK – Bout Foeverness
Number_i – No.Ⅰ
okkaaa – 汽笛モノローグ
Omoinotake – Pieces
One Boiling Point – マテリアル / 耳
PandaGolff – 愛ゆえに
PEDRO – 意地と光
Qrion – We Are Always Under The Same Sky
Saucy Dog – ニューゲート
SOCKS – 大人気大人気
STUTS & ZOT on the WAVE – STUTS on the WAVE – EP
SUKISHA & カニエちゃん – Peach Pie
Superfly – Amazing
syudou – 愛憎
tamanaramen – punk cake -EP
TAMIW – Farewell Party
Tele – 「残像の愛し方、或いはそれによって産み落ちた自身の歪さを、受け入れる為に僕たちが過ごす寄る辺の無い幾つかの日々について。」
Texas 3000 – Weird Dreams -EP
the Wulongs – Videodrome
toconoma – ISLAND
Tohji – zero-one
tuki. – 15
Various Artists – Salyu 20th Anniversary Tribute Album “grafting”
yahyel – In Amber
YAJICO GIRL -EUPHORIA
yama – ; semicolon
アイナ・ジ・エンド – RUBY POP
青葉市子 – Luminescent Creatures
蒼山幸子 – かがやきの虜
青山吉能 – Fluctus
あっこゴリラ – キメラ
池貝 峻 – Black River, Far East
石丸幹二 – with FRIENDS
江本祐介 – ありがとう
大橋トリオ – GOLD HOUR
大比良 瑞希 – After All, All Mine
小田奈都美 – 月光 -EP
香取慎吾 – Circus Funk
カネヨリマサル – 昨日を生きない私達へ
草刈愛美 – Garden Studies
クリープハイプ – こんなところに居たのかやっと見つけたよ
黒田卓也 – EVERYDAY
研ナオコ – 今日からあなたと… Starting today, with you
こけつまろびっツ – ぺ天使
サザンオールスターズ – THANK YOU SO MUCH
サニーデイ・サービス – サニービート
三四少女 – 恋してる・コンティニュー
柴田淳 – 901号室のおばけ
女王蜂 – 悪
スカート – スペシャル
関取花 – 悪くない
千葉雄喜 – 億万長者
唾奇 – Camellia
土岐麻子 – Lonely Ghost
ドレスコーズ – †
蓮沼執太 – +1P – EP
秦基博 – HATA EXPO -The Collaboration Album
八十八ヶ所巡礼 – 八+九
春ねむり – ekkolaptómenos
フィロソフィーのダンス – ラブ・ミー・モア
星街すいせい – 新星目録
布袋寅泰 – GUITARHYTHM Vlll
マカロニえんぴつ – いま抱きしめる 足りないだけを -EP
ゆうらん船 – MY CHEMICAL ROMANCE
緑黄色社会 – Channel U
綿菓子かんろ – リサージュの風景

ではベスト50の発表です。

50位~21位

50位 KEIJU – N.I.T.O.
49位 有田咲花 – 鯨
48位 xiangyu – 遠慮のかたまり
47位 鈴木実貴子ズ – あばら
46位 The Burning Deadwoods – Life for Others
45位 一十三十一 – Telepa Telepa
44位 go!go!vanillas – Lab.
43位 KEN THE 390 – Last Note
42位 OKAMOTO’S – 4EVER
41位 藤井 風 – Prema
40位 大橋トリオ – MONO-POLY
39位 the pullovers – きみだけがしってる
38位 梅井美咲 – Asleep Above Creatures
37位 yeti let you notice – hontounokoto
36位 ハンバート ハンバート – カーニバルの夢
35位 眉村ちあき – うふふ
34位 礼賛 – SOME BUDDY
33位 Age Factory – Sono nanika in my daze
32位 フレデリック – CITRUS CURIO CITY
31位 indigo la End – MOLTING AND DANCING
30位 Creepy Nuts – LEGION
29位 adieu – adieu 4
28位 TOWA TEI – AH!!
27位 WONK – Shades of
26位 エイプリルブルー – yura
25位 ボタニカルな暮らし。 – S’more – EP
24位 maco marets – Wild
23位 ラッキーオールドサン – mad&cute
22位 DYGL – Who’s in the House?
21位 野口文 – 藤子

20位~11位

20位 NiziU – AWAKE
19位 上白石萌音 – kibi
18位 中村海斗 – Invisible Diary
17位 奇妙礼太郎 – オールウェイズ
16位 川島明 – アメノヒ
15位 KM – Ftheworld
14位 TENDRE – TENDRE
13位 青山テルマ – EASY MODE
12位 KREVA – Project K
11位 ONE OK ROCK – DETOX

10位~1位

10位 CRCK/LCKS – まにまに

9位 小袋成彬 – Zatto

8位 Laura day romance – 合歓る – walls

7位 Homecomings – see you, frail angel. sea adore you.

6位 kanekoayano – 石の糸

5位 揺らぎ – In Your Languages

4位 笹川真生 – STRANGE POP

3位 羊文学 – D o n’ t L a u g h I t O f f

昔から誰かが怒られている空間に自分がいる時、その帳尻を合わせるように自分が笑ったり誰かを笑わせようとしたりしてしまう癖がある。その空間に負のエネルギーが蓄積されると、それに負けじと正のエネルギーを混ぜようと試みる。それで誰も救われるわけではないかもしれないが、あくまで自分の居心地の良さを確保するためだ。そうやって、すぐに中和しようとする。

笑って誤魔化すな、と羊文学は訴える。どきりとする。こちらを向いて喉元に突きつけるようなキツさがある。しかし、これは自分たち自身に向けた言葉でもあるという。

──「笑ってごまかさないで」というタイトルの意味も含めて、この半角スペースの指定にも何かあるのかと深読みしてました。

塩塚タイトルの話で言うと、友達がやってるラジオを聴いていたら、番組の中でリスナーに感謝を伝えていて。相方の人が「最後まで『ありがとう』を言い切れて偉いね」と言っていてハッとしたんです。私はLINEとかでも文章の最後に全部「笑」を付けちゃうタイプだから、笑わずに言い切れるのって気持ちに嘘がないんだろうなって。例えば「ありがとう笑」と打つ場合、ありがとうを伝えるのが少し恥ずかしいと思ってるわけじゃないですか。それって結局、心の中で自分をごまかしてるみたいだなと思うんです。いいことも悪いことも人に対してはごまかして言ってしまうけど、できるだけ自分のことはごまかさないようにしたいと思ってこのタイトルを付けました。

羊文学「D o n’ t L a u g h I t O f f」特集|ままならなさ、不完全さに宿るオリジナリティ – 音楽ナタリー 特集・インタビュー

きまりがわるくなると笑う人、恥ずかしくて笑うこと、よくある事象である。でもそうやって自分を、相手をごまかす行為は、伝えたいことが正しく伝わらなかったりだましたり裏切ったりする行為にもなる。だから笑わない。女性はかつてそうやって笑ってごまかすことを強いられてきた。ホフディランは”スマイル”で

いつでもスマイルしようね 深刻ぶった女はキレイじゃないから

と意図してかせずか非常にエッジーなリリックを残したが、とにかく社会は(というか男性は)女性に対して笑顔でいることを望んだ。

羊文学は決して無意味な笑顔を見せない。もちろん二人とも笑顔の素敵な人ではあるが、それを強要されたりしないし、インタビューを読んでも自分が嫌なこと、やりたくないことなどは赤裸々に語れる部分は語っているように見える。

世界の帳尻をあわせてしまう自分にはあまりにぐらつかせる言葉だ。真っ直ぐな目で羊文学は語り掛けてくる。

塩塚「don’t laugh it off anymore」みたいな曲を入れたのも、このアルバムだからだと思います。あと基本的にバンドと趣味で作る音楽は別だけど、前回のアルバムの1曲目の「Hug.m4a」は弾き語りだったし、それと何が違うんだろうとも感じていて。うちらってさ、しょぼさが大事じゃない?

河西わかるよ。

──しょぼさ?

塩塚ままならなさというか、「音楽です! 成り立ってます!」というものより、少し崩れてるところが羊文学らしいと思うんです。それがロック感なのかオルタナティブ感なのかはわからないけど、そういうのを欲していたのかもしれない。だから私がうまくできないことをアルバムの最後にやることで、いい作品になるんじゃないかって予感がしたんです。

ままならなさを受け止める。前作で「hug」をモチーフとした彼女たちはそのふわふわとした自分たち自身の状態をhugする。どうしてそうなるのだろう、どうしてそんなこと言うのだろう、という抱えきれないモヤモヤをいったん飲み込んでみる。バイト先で怒られている人に簡単に引きずられないようにして見る。その漂う負のエネルギーを抱え込んでみる。どうしてか、それが少し世界をよくする一手な気がしてきて仕方がない。

2位 RADWIMPS – あにゅー

“筆舌”を聴いているとぽろぽろと思い出を語り始めたくなる自分がいる。生きてりゃいろいろあるよな、と言われると「そうだよね」と言いたくなるような年齢に自分がなったことに気づく。誰にだってその人の生きた年月の分だけの語りがある。その語りはゴワゴワしている。どうしても型に収まりきらずあちこちで尖った部分が突起している。さわれば怪我をするし、こちらからやすりをかけてあげることもできる。でもとにかく不格好だ。その物語は「例え1ページで終わるような命も1000ページにも及ぶ命も比べられるようなもんではない」とかつて語るように、厚みで価値づけをしようとしない姿勢が一貫してある。手触りの悪さを無闇に磨こうとしないぞといつも思う。厚みがどうであれそこを大切にしたいと思う。

どうしてRADWIMPSはこのアルバムを20年という周年で作ったのだろう。アニバーサリーはベストアルバムなりなんなりとやることが多く、振り返りに力を注ぐこともある。だけれど彼らは前進することを選んだ。前作から今作の間に脱退したギタリストはあまりに不躾で不道徳な言動が一般のファンからみても感じ取られ、彼らはそれを排除しなければならなかった。だからこのアルバムにはかつてのギタリストは一切参加していない。唯一脱退する前に制作した”大団円”すらリテイクしたものだった。この仕切り直しはバンドにとって大きな意味を持つと感じた。そして英断だと思う。皮肉にも原点回帰しギターロックのおもしろみを充満させた楽曲が前作より増え、本来であれば彼の出番だったのだが、彼の脱退がなければ、そもそもこのアルバムの形にもならなかっただろう。社会に違和感を抱き、その限界を知り、人生へと帰着する流れは彼らのお手の物であり、そして多くのフォロワーがその模倣を試みてきたが、やはり本家本元の言葉選びはあまりに秀逸でそのフォロワーたちとの格の違いを見せつける形となった。

 

1位 星野源 – Gen 

我が家のルールに、ゲームは1週間に1時間だけというものがあった。今思うととんでもなく厳しいルールではあったが、ポケットタイプのゲーム機がまだ出始めた頃の話なので、今よりかは幾分現実的な、実行可能なルールだった。小学1年生の冬にサンタクロースからもらったNintendo64は自分のゲーム人生の原点であり、長く愛するハード機だった。スーパーマリオ、スターフォックス、マリオテニス、実況パワフルプロ野球99、みんなでたまごっちワールド…愛すべきソフトは10近くを数え、それでも最後まで手に入らなかった大乱闘スマッシュブラザーズは悔やまれるが、私はそれなりに幸せだった。毎週金曜日は姉がピアノのレッスンに母と出掛けるので、その間はゲームを隠れてする時間だった。耳を澄ませて外で車の音がするのを聞きつけ、聞こえたらすぐに電源を切ってグランドピアノの下の引き出しに64をしまう。そして小学生の男の子が到底収まるはずのない”夕方7時にテレビもつけず漫画も読まずリビングで正座してじっと待っている”という極めて不自然な形で母と姉の帰宅を迎えていた。どう考えてもバレていたはずだが、一度も母はそれを責め立てることはしなかった。

のちにゲームボーイカラーを買ってもらい急激にゲームとの距離が近くなり1週間に1時間というルールはうやむやになってしまうが、それでもそのルールのおかげか、ゲームというもの自体への距離感は他の同級生のかれらよりずっと遠かった。

星野源の「Gen」の一曲目はスーパーマリオブラザーズの35周年を記念して制作された”創造”だ。シングルバージョンとは少し異なるアルバムバージョンとして今回収録され、やはり何度聴いても狂気とも言えるレベルのリファレンスとオマージュ、そしてサンプリングの数に全身で痺れを感じる。私はゲーム自体に強くないのでその全てを理解することは不可能だが、それでもマリオのBGMや効果音、ゲームキューブの起動音など、10代前半の思春期の胸の高鳴りを思い出させるギミックに打ち抜かれてしまう。

2020年代の彼は常にシリアスと表裏一体だった。それほど社会が緊迫しており、そして彼は彼のやり方でその社会を解きほぐそうとしてきて、また同時にその理不尽なバックラッシュに耐えてきた。何かの問題に巻き込まれて、言及しろと問い詰められる彼を見るたび心が張り裂けそうになる。Superorganismとともにfuckと叫び、PUNPEEとともにその中指をしまい孤独と向き合った。本アルバムでもUMI、Camilo、Luis Coleといったそうそうたる面々とともに曲を作り上げ、作品の幅を広げてきた。何よりも彼は音楽人であるということを忘れないようにするかのように。

彼は音楽を愛したいだけなのだろう。胸踊るゲーム音楽を駆使し、目まぐるしくコード進行が展開する”Star”を披露したのち、後半ではうってかわってアコースティックな曲が連なる。抽象的な表現が増え、キラーフレーズは影を潜める。

悲しみに勝った 息をするそれだけで その証拠なんだった (Eureka)

この作品を持って眠りたい。あの頃の自分を思い出しながら。ふーっと64のソフトに息をかけ、3回リセットボタンを押し再度電源を入れるとうまく起動すると信じていた自分を。真っ暗なテレビ画面に一瞬白い線が入れば起動した印だと知っていた自分を。温もりと諦めと緩やかな連帯が詰まったこの作品をどうしても離したくない。そして楽しそうな星野源が見たい。この世の中は悪くないって信じている星野源でいてほしい。

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