難解すぎる

おじさんみたいなこと言ってみる。

最近の歌詞が難しすぎてよくわからない。

もともと歌詞にあまりフォーカスするタイプではないし、高い文学的な素養や読解力を持ち合わせてるわけでもなく、読み解く根気もまるでない。

ので、この話は結論「てめえの読解力不足だ」「あほを晒しているだけだ」「ちゃんと読む力つけろ」で済む話である。

歌詞については過去にも色々書いてきただが(を参照)、近年、歌詞というものが非常に抽象化してるなあと感じる。それは良いことでも悪いことでもなく、単なる傾向の話だ。

米津の作品から感じる難解さ

例えば米津玄師の登場は私にとっては大きな壁を感じさせるものだった。特にまだ世間的にヒットする前の、ハチ時代の名残がある頃の米津初期作品は非常に難解だ。例えば「ゴーゴー幽霊船」なんかも典型的な例だろう。

電光板の言葉になれ/それゆけ幽かな言葉探せ/沿線上の扉壊せ

今実際にネットで調べて歌詞をタイピングしてみると、まあ確かに前後の文脈から理解できないことはないなとは正直思ったが、それでもやはり意味が分かりにくい。そもそものテーマもわかりにくいし、少なくとも音楽を聴いて理解できるレベルじゃないような気もする。一度書き起こして言葉を検索掛けて引用元を探すと言った作業が必要になりそうだ。

そんな作業は別に今に始まったわけでもなく、昔から常にあったことではあるが、個人的に米津にはその妙な、別角度の難解さを感じさせてしまう。特に今の米津の歌詞と比べてもその難解さの種類は全く別物だと思う。

そしてボカロ文化、ネットミュージックに明るくない自分には、この米津的な歌詞の組み立て方が今のネットミュージックシーンの基盤になっているような気もする。だれが発案者かは勉強不足でわからないが、少なくとも似た傾向を感じるのは間違いじゃないと思う。

要点がつかめない

たとえばずっと真夜中でいいのに。はいつ何の曲を聴いても要点がつかめないというか、視聴後「で、なにがいいたかったの?」という置いてけぼり感を強めてしまう。

会っても癒えない世界で/匿名の自分に なって/誰を批判しなくたって/発散できる言葉 探してる/hip hop 蹴って/濃いめの愛闇 拭って/誰を批判しなくたって/発散できるファッション 探してる

しっかり読んでようやく全体がボヤっと浮かんでくるけれど、愛闇という聞き慣れない言葉の使用や、彼らの音楽にはつながりのわるい名詞と助動詞が接続されたりなど、すっと耳で聞いて理解しづらい複雑さがある。

単純な応援ソングはやはり苦手だし、それは昔からずっと言い続けてきて、逆にいまこうやって世間で受け入れられている曲が、一応「難解で文学的な歌詞」として認知され広まっているのは一時期に比べれば改善されている喜ばしいことだが、どこか自分が世代との隔世を感じてしまう。皆さんには知ったこっちゃない話だ。

情報過多な作風

卑怯だって構わない/祈っておいてそれはない/飾っていた饒舌が/墓穴を掘って焼ける様/負い目どこまで/灰色 被害者ヅラしたって

また、MVの映像が全く別のストーリーを描いていて、歌詞とリンクしないことがあるのもこのシーンの特徴かもしれない。つまり二つの物語が同時進行し、最終的に読みとけばシンクロするという、非常に複雑で、かつ時間をかけて楽しむことのできる情報量の多いコンテンツである。

思えばボカロ曲の中でも認知度の高い作品である「脳漿炸裂ガール」からして、漢字を読める人すらいないと思う。

結局はこの文化から登場したアーティストの歌詞は独特で、同じ文学性を持った難解な歌詞を書く他のミュージシャンと比べても、別の読解スキルが必要なんだと思う。そんな話。