地上600メートルの超高層鉄塔に取り残された2人の若者の運命を描いたサバイバルスリラー。

山でのフリークライミング中に夫を落下事故で亡くしたベッキーは、1年が経った現在も悲しみから立ち直れずにいた。親友ハンターはそんな彼女を元気づけようと新たなクライミング計画を立て、現在は使用されていない超高層テレビ塔に登ることに。2人は老朽化して不安定になった梯子を登り、地上600メートルの頂上へ到達することに成功。しかし梯子が突然崩れ落ち、2人は鉄塔の先端に取り残されてしまう。

「シャザム!」のグレイス・フルトン(グレイス・キャロライン・カリー)とドラマ「マーベル ランナウェイズ」のバージニア・ガードナーが主演を務め、2022年版「スクリーム」のメイソン・グッディング、ドラマ「ウォーキング・デッド」シリーズのジェフリー・ディーン・モーガンが共演。「ファイナル・スコア」のスコット・マンが監督を務めた。

映画.comより

こういうシチュエーションスリラームービーは後を絶たないが、それくらいやっぱりワクワクさせるし期待値は上がる。そして数あるこのジャンルの映画の中でも、このFallは満足度が高かった。まず着眼点からおもしろいのと、高くてヒュンとなる”アレ”は好きじゃないけどくせになる。ジェットコースターと同じようなものだと思う。そして次に大事なのは、そのシチュエーションになる合理性だ。主人公のトラウマ克服、というか亡くなった夫を忘れる、そして弔うためにもう一度登ろうって話になって、めちゃくちゃヤバそうなタワーに上る。で、途中で崩れてやばー!となると思いきや登り切ってから帰り道を失うという非情さ。むごい。

でも取り残された二人はケンカもちょっとしかせずに助け合って知恵を絞ってなんとか気づいてもらおうとするけど、それで気づいてもらえないのがこの映画の宿命。そして水と食料問題はつきもの。さらに今回は眠ることすらままならない。棺桶の中とか海の上とか、まだ水平を保てるところならばいいものの、座るのが精いっぱいのスペースだと眠ったら落ちてしまうリスクもある。形態が通じなくなる魔法もきちんとかかってる上に、それを利用して話の展開も進む。

後半にはどんでん返しも用意され、衝撃の事実!的な展開になり、そこからは怒涛のラストに。助かるか助からないかって言えば、こういう映画で誰も助からなかったら地獄なのでそんなことにはならないが、ラストが分かっていてもそこまでをどう楽しむかがこの映画の肝なので、そういう意味ではこの映画は非常に楽しませてくれたと思う。ハゲワシに勝ったのが一番すごい。

そんな二人をずっと励ましてくれるのはWarrantのCherry Pie。なんとも悪趣味だがちょっと気がまぎれる。1990年リリースの楽曲だそう。調べたらソースは不明だが本人たちは最大の汚点とも言っているみたい。最近映画「バービー」でケンたちが浜辺でバービーたちに歌うあのひどい歌を想起させる。

時代ですね。