これぞ邦画だと言いたくなる作品。もうどこを切り取っても邦画。空気感もキャストも演出もセリフも音楽も映像も全部。語るべきことは多くあるけど、大事なことはいくつかに絞れる。
一つ一つの所作に何か意味を見出すことは中々難しいけれど、それでも感じ取れるなにかを大事にしたくなる作品。

  • ポイントその1 江口のりこの無駄なベッドシーン
    もっと貴重なシーンで観たかった

 

  • ポイントその2 若い新井浩文
    若い。そして今の方が断然怖い。怒鳴らないのにもっと怖い。

 

  • ポイントその3 ハネないことを知らないライセンスがいる

あまりにトークがつまらなさ過ぎてイケメンと騒がれても浜田の腰ぎんちゃくになっても結局売れずじまいのライセンスが見れる。

とまあ冗談はそこまでにして、障碍者物のストーリーにもかかわらず、とくに病気になったりケガをしたりと大きな事件性はない。しかも最後には二人別々の道を歩むという日本人らしい、いじらしい(?)展開になるのも、ほぉと頷いてしまう。

後半の二人での旅行はハンディカメラのような撮り方で、音声もわざとすべて拾わない工夫でホームビデオ感が出ている。主人公が最後逃げてしまう所も、「障碍者のくせに」と言ってしまうことも、雀荘での会話もどれも生々しく、ヒリヒリしたものを隠すことなく映し出している一方で、映画的な表現を好み、リアリズムとは少し離れた美と構成に委ねられている部分もありそれらがうまく混在して完璧に仕上がっている。この作品を史上一番の映画だと断言することはできないが、邦画っぽい邦画が見たいとリクエストする人にはこの作品を送りたいと思った。

個人的に気になったのは、エンドロールで「スタイリスト 伊賀大介」というクレジットを見たときだ。
「あ!伊賀大介!」と声を出したんだけれど、たぶんスタイリストに思い入れのあるやつってそういないと思う。なぜ私が伊賀大介に反応したかというと、彼が麻生久美子の旦那だかだ。
くっそ、伊賀か。くそったれめ。俺の麻生奪ってんじゃねえよ、ってクレジットだけで憎しみがこみ上がってきた。

最後に音楽。くるりの「ハイウェイ」。
最近の音楽にはくるりのような文学性のあるバンドが少ない。小難しい哲学的な歌詞は増えたけれど、「ハイウェイ」のような、何気ない日常をつぶさに語っていくスタイルってあまりない。なぜなら一歩間違えば陳腐になるから。哲学的な難しい歌詞の方がよっぽどそれっぽくなる。だからこそ誰かこの「ハイウェイ」のような世界観にトライしてみてほしい。

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