韓国のアイドル、IZ*ONE。ただ他の韓流アイドルとは違うのが、秋元康が噛んでいるところ。要するにAKBが絡んでる。事実メンバーにAKBが紛れ込んでいる。
韓国でも大きな話題を呼んで人気もある。
ただ私は他の韓国のアイドルのように好きになれない。理由は秋元康が噛んでいるから。秋元康が嫌いだとか、そういう理由ではない。嫌いだけど。だって欅坂は好きだし乃木坂も好きだ。でもIZ*ONEは苦手だ。

IZ*ONEはとても良くできたアイドルである。そこに異論はない。そして曲のクオリティも、パフォーマンスもそしてプロモーションも完璧である。だからこそ、そこに違和感がつきまとう。

IZ*ONEは韓国と日本では全く楽曲が異なる。
素人の私でも知ってるような韓国と日本の差異をちゃんと丁寧に理解し差別化している。その企業感が苦手さを増幅させる。
たとえば韓国では完成されたハイパフォーマンスのアイドルが受けること、日本では未熟さがウケること、の違いを当然秋元側が理解して日本と韓国では趣向を変えている。そんなの当たり前なのだがその当たり前がちゃんとこなされている。
ビジュアルもスタイルも服装も、そして日本盤の曲の振り付けのかったるさも全部戦略的だ。いわゆる言われがちなアイドル論に理路整然と従っている。だから当然ウケる。女子にウケる。自分から音楽の情報もアイドルも追いかけない人にもってこいのアイドル。だから人気が出る。AKBのメンバーも入れて既視感を取り入れる。全員新人ではないことで安心感が生まれる。そして既存のファンがついてくる。これは別に取り立てて言うほどでもない普通の戦略だ。ただそれが露骨に見える。露骨に見えたら一歩引いてしまうのが私だ。

ときめかない。ワクワクしない。あ、そう、としか思わない。やっぱりポップスは大衆に迎合するのではなく大衆を引っ張っていく存在であってほしい。見下されている気分になる。ほら、お前らこれくらいなんが好きなんやろ?みたいな秋元康の高笑いが聞こえそうだ。
それが悪だとは思わないしIZ*ONEになんの罪もないのは承知しているが、これはもう応援する対象ではないなとMUSIC STATIONを見て感じた。こんなあからさまなゆるいダンスと軽い楽曲で喜んでもらおうという精神が酷く胸やけを覚えさせる。

彼女たちがBLACKPINKやBTSのような存在になれるのかはわからない。TWICEのように日本との癒着を強める者もいれば、国連のスピーチを任され世界的に主要なフェスに呼ばれる者もいる。そこの差異はきわめて大きいがプロモーション一つで変わってしまうのも事実だ。もちろんIZ*ONEの世界戦略も着々と行われている。Jonas Blueの楽曲に参加するなど、しっかりとそのシーンに割って入ろうとしている。しかし日本でのIZ*ONEは非常に保守的だ。全く革新性はなく、日本で売れるための鉄則に忠実である。ここでしっかりと固定ファンを持っておいて保険を抱えた状態で世界に挑む。秋元の理想通りといった展開か。

日本特有のワンテンポもツーテンポもトレンドから遅れたシーンにぴったりと合う楽曲をわざとされていると知ったらどうしても及び腰になってしまう。それでも随分日本の音楽らしくないハードな楽曲になっているので十分と言わざるを得ないのも悲しい状況ではある。まだデビューして間もないので、これからに注目したい。