成仏できない女性の霊が、声しか聞こえない霊媒師の助けを借りて自らの死の真相を解き明かしていく姿を描いた新感覚の心霊ホラー。人里離れた一軒家に取り憑いている亡霊エミリーは、自分が死んだことに気づかないまま、淡々とした毎日を繰り返していた。そんなある日、彼女の耳にどこからか女性の声が聞こえてくる。シルビアと名乗るその女性は霊媒師で、エミリーを成仏させるためにやって来たのだという。エミリーはシルビアと一緒に、自分がなぜ死んだのか、そしてなぜ成仏できないのかを探ろうとする。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。

映画.comより

ホラー映画は幽霊が出てくるものだが、この映画はタイトル通り幽霊が主人公である。冒頭のリフレインは不気味でかつ謎めいているが、少しずつ理解が深まっていくと、物語は一気に進行していく。ホラーではあるが悲しみもあり、辛さも感じつつ、ストーリーありきなので見ていて退屈しない。映像の質感や部屋の草食なのは古き良きホラーゲームの様相だが、そこにさえなじめば全く気にならないし、映像の見せ方やカメラワークの細かさも非常に豊かで打算的だ。

着眼点のおもしろさだけでホラーは十分成立しうると思っているが、それに加えて近年ホラー映画を見ることができるようになったのはそのストーリーと作品に込められた社会的なメッセージだ。「私はゴースト」には社会的なメッセージこそ少ないが、ストーリー自体は非常に精密さがある。なおかつ抽象的になりすぎないで順だって説明してくれるので戸惑うことも少ない。比較的短い映画ではあるが、十分にその内容を満喫することはできると思う。

で、この予告編を見たら思うのが「え、お前が幽霊じゃないの?お前ずっとびっくりしてんじゃん。。。」という謎構成。それも踏まえてどういうことか見てみてほしい。