同性愛差別が強い時代に、ゲイカップルが育児放棄されたダウン症の子供を育てようとする話。決して明るくない話であり最後まで心が痛む話なのだが、だからといって目をそらしてはならない気がする、そんな映画。

同性愛に対して差別と偏見が強く根付いていた1970年代のアメリカでの実話をもとに、育児放棄された子どもと家族のように暮らすゲイカップルの愛情を描き、トライベッカやシアトル、サンダンスほか、全米各地の映画祭で観客賞を多数受賞したドラマ。カリフォルニアで歌手になることを夢見ながら、ショウダンサーとして日銭を稼いでいるルディと、正義を信じ、世の中を変えようと弁護士になったポール、そして母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年マルコは、家族のように寄り添って暮らしていた。しかし、ルディとポールはゲイであるということで好奇の目にさらされ、マルコを奪われてしまう。

映画.comより

はっきりいって名作に値する作品だと思う。虐待されている子供を守る、育てる、たったそれだけのことがどうしても許されない。そんなばかげた話があるのかとこちらまで胸が締め付けられる。

悲しくなるポイントの盛り合わせみたいなシーンの連続なので人によってはしんどさもあれば劇的すぎてくどさを感じる人もいるかもしれない。それでもこの映画から感じられることは誰しもがしっかりと受け止めねばならないし、これが1979年のアメリカだということに甘んじてはならない。時代も国も違えど、こういうことは起こりうる、そんな意識は必要だと思う。

ラストでルディが「I Shall Be Released」を歌うシーンはこの映画の全てを物語っている。