1957年の名作を、いまになってようやく鑑賞。モノクロだし時代感はすごいので、この年代の映画をほとんど観ることなかったけれど、これはほんとうにすごい作品だった。おもしろすぎて、食い入るように見てしまった。複雑化した作品が多い中でこのシンプルな密室会話劇はセンスが研ぎ澄まされていて一瞬たりとも目を離せない。まあとくに映像がそんなに変わり映えするわけではないんだけど。

ニューヨークの裁判所。18歳の不良少年が実父殺害の容疑で裁かれようとしていた。12人の陪審員たちは評決の投票をするが、ただひとり陪審員8番だけが無罪を主張し、改めて審議が行なわれることに。それでなくても疲れきっていた11人は苛立つが、8番の説得によって次々と無罪に転じていく。はたして審議の行方は? レジナルド・ローズ脚本のテレビドラマを映画化。シドニー・ルメットがこの作品で映画初監督を飾った。

映画.comより

たったひとつ「有罪かどうかをきめるためにこのポイントが不透明だからそこクリアにならないと有罪とは言えないよ」という視点から、どんどん少年が有罪であるという証拠が揺らいでいく。大人たちの熱いバトル、罵倒、説得。12人の白人たちが言い争う映画は原点にして頂点と言っても過言ではなく、だれが演技が上手いとかそういうことではなく画面全体が支配されていた。まさにプロットがよければそれでよしを地で行くのだから凄みがものすごい。

名作と呼ばれることになんの疑いもない。