シリアスで淡々とすすむ映画ではあるが、各キャラクターが自分のポジションを明示してくれるので、今何の意見を交わし、どういう流れで動いているのかが非常に見やすい、優れた会話劇だと思う。

「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」「テイク・ディス・ワルツ」など近年は監督として手腕を発揮するサラ・ポーリーが、架空の村を舞台に性被害にあった女性たちが、自らの未来のために話し合いを重ねていく姿を描いたドラマ。2010年、自給自足で生活するキリスト教一派のとある村で、女たちがたびたびレイプされる。男たちには、それは「悪魔の仕業」「作り話」だと言われ、レイプを否定されてきた。やがて女たちは、それが悪魔の仕業や作り話などではなく、実際に犯罪だったということを知る。男たちが街へと出かけて不在にしている2日間、女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。原作は、2005年から2009年にかけて南米ボリビアで実際にあった事件をもとに執筆され、2018年に出版されてベストセラーとなったミリアム・トウズの小説。主演は「キャロル」のルーニー・マーラ。クレア・フォイ、ジェシー・バックリー、ベン・ウィショーらが共演し、「ノマドランド」「スリー・ビルボード」のオスカー女優フランシス・マクドーマンドがプロデューサーを務め、出演もしている。第95回アカデミー賞では作品賞と脚色賞にノミネートされ、脚色賞を受賞した。

映画.comより

どの意見も彼女たちにとって死活問題だからこそ生まれ対立していく。フェミニズムの極地ともいえるこの作品には宗教観も根強く絡まっている。赦し、祈り、そこに現代的なフェミニズムが絡まり、唯一の男性であるオーガストが建設的な意見を投じたり自分が口を出せることではないとひっこんだり。だからこそラストの彼の気持ちを想い図ると涙が止まらない。

彼女たちのセリフはひとつひとつが非常に重たく、見返して確かめたくなる。

ただ、時代設定はもっと古いものかと思ったら2010年ごろの話(国勢調査がやってきてそんなことを言っていた)というのには驚いた。