去年の話題作、ただのラブロマンス系かとおもいきやいい意味で裏切られた作品だった。
いかにもな主人公の設定(根暗でクラスからのはみ出し者)はもはや21世紀のラノベの典型ともいえるが、この映画に関してはその主人公の設定がきちんと生かされているし意味があるので、むしろこれでよかったと思う。そしてなにより脚本がしっかりしとる!!!よくできた作品だ。
不治の病シリーズだけれど、当の本人はいつだってポジティブで、そりゃ悲しくなって泣くこともあるけどでも絶対に今を噛み締めて生きてやろうって意思がある。まるで「きっと、星のせいじゃない。」に通ずるものがあった。だから思わず泣きそうになったのは「きっと、星のせいじゃない」を思い出してしまったからだ笑
膵臓が悪くて死ぬことが決まってる山内咲良のあざとく小悪魔的な演技を見事にウザったく演じていた浜辺美波にも拍手。上手いとか下手とかじゃなくて、ちゃんと求められたことができている点に意味がある。まぁ多少二人以外のキャラになんかそんなに感情移入できなかったのは、自分が薄っぺらい人生を歩んでいたからなのだろうか。自分の親友がインキャにとられてそんなキレる?とは思うんだが、まぁ女子の考えることは到底理解しえない事を学んでいるのでそっとしておこう。この映画のキモである「人はいつか死ぬか分からない」をどうやって見せるか。それを、[wpex more=”ネタバレ” less=”閉じる”]「不治の病なのにその直前で殺される」[/wpex]と設定した原作者はちょっと頭イカれてるに違いない。なんだ慈悲ってもんがないのか。しかも通り魔ってところが、、、残虐ったりゃありゃしない。私怨ですらないってのがね。すごい脚本だわ。
北川景子はほんと美人だなぁって高校生の時に深夜のドラマ「モップガール」を見たときに思ったんだけど、近年その美貌より演技のチープさに苛立ち始めてる。いや、でも美人だから許し……ムリかな笑。今回の役はまぁ真っ当な泣き役だからそんなに問題はないんだけど、やっぱり小栗旬の後に出てこられても違うドラマを見せられてるのかってくらい空気感が変わる。監督の見せ方にも限界があった。
あと小栗旬が生徒になんで突然自分語りをしてるのかが謎。そんな人柄にも見えないし、必然性も感じないし、最後の方で話を聞いてた生徒が「咲良さんって最後になんで質問したかったんですかね」って聞いてきたことに関しては、どうやって小栗旬がその辺の話をストーリーテラーとして聞かせたのかが想像できないのもモヤモヤ。再現ドラマを生徒が我々と同じように見ていたのならともかく。
でも脚本はいい。自分の趣味の撮り方じゃないし映像美も音楽も好みではなかったけどありあまるほどに十分満足である。
もうひとつ言うなら、最後になんて質問したかったかをネタバラシしないでほしかった。いやーあそこってどっち(言うにしろ言わないにしろ)でも成立するだろうけど、個人的には言わないで欲しかった。その伏線と遠回しに伝えておくに留めてくれたらちょっと余韻が伸びた、私はね。
Mr.Childrenのひまわりはこの映画でより輝いた。イントロからよくできてる。Aメロらへんは「いっつものミスチルじゃねえか」って思ってたけど、やっぱ映画とセットで見ると違って聞こえるね。
意外とミスチルが一番ロックというスタンスから逃れられていないバンドなのかも、と思ったりする。いい悪いの話じゃないけど。小林武史から独立してからよりシャープな音楽が増えたのと、サウンド面じゃなくてもっとメンタルな部分で壮大さが生まれたような気がする。ミスチルを語るにはあまりに知識も聴き込みも足りないけど、思わず語りたくなるところが彼らの魅力でもある。
最後に。この映画のように、回想で物語が進むパターンは昔からいくつもあるのだが、今回は06年に高校三年生だった二人の話。06年って。中学三年じゃん。携帯おんなじじゃん。ていう、古さを全く感じない、いよいよ回想シーンが同世代という残酷な年代に片足を踏み入れたのかと思いぞっとした。怖い話ですか?これ。ほんと怖い。勘弁してくれ。私にとっての映画の回想シーンの相場はバブルとポケベルなんだよおおお!!!