日本が都度都度ロックだパンクだと映画内で語られていくのと同じように、海外では、とくにイギリスではいまだにビートルズ愛を映画にしたためたがる。「イエスタデイ」もビートルズにとりつかれた少年たちの話だ。ノルウェーの小説家が1984年に発刊した作品を映画化したもので、a-haのメンバーが映画監督を務めるイギリス人泣かせの映画である。
ビートルズが世界中に大旋風を巻き起こしていた60年代半ば。オスロに住む高校生4人組は“スネイファス”というバンドを結成し、自分たちもビートルズのように有名になりたいと夢を見ていた。そんなある日、ベース担当でポール・マッカートニーに心酔するキムは、見ず知らずの女の子ニーナと映画館で出会う。別れ際、ニーナに突然キスをされたキムは、彼女がどこの誰かもわからないまま、想いだけを募らせていった。一方、キムのクラスにセシリアという名の転校生が。その美少女のピンチをキムが救ったことで、2人の距離は縮んでゆき・・・。
引用元: 『イエスタデイ』公式サイトより
恋と音楽と思春期の組み合わせほどキラキラしたものはない。40代オッサンだったら大抵地獄絵図だ。恋と音楽にうつつを抜かす主人公。彼女につきまといキスまで行くけど酒を飲んで自殺未遂までしてパーティを滅茶苦茶にして彼女に「付き合ってないわ」とかまで言われる始末。なかなかこの主人公の煮え切らない、そして身勝手なスタイルに苛立たしさも覚えるがそれもふくめて10代なんだろう。
でも思い返せば同じことだ。私は彼らのように実際音楽をすることはなかったけど、むしろ楽器なんてしなかったからこそロックスターを妄想した。目の前には観客が押し寄せていて4人でロックを鳴らしていることを夢見ていた。そして身近に憧れがいた。この映画では友達の兄貴がそうだった。ちょっと悪くてちょっとイケない香りのする人はロックに魅了された人なら誰だって憧れたはずだ。できるわけもないのにヤンキーになりたかった。タバコを気怠そうに吸いたかった。吸える年齢になってもほとんど吸わなかったのだけれどね。今でも機会があればファッションで吸いたくなる。それこそがタバコの正しい使い方だろ、とも思う。生活の一部になって辞めることができなくなったとき、それはタバコとしての魅力が半減している証拠だ。かっこいいから吸う、くらいがいいような気がする。吸わないけど。
音楽について少し。
もちろんビートルズの楽曲が流れるのはもちろん、それだけに限らず当時の時代を表すようなBGMが使われていたので紹介する。
Magne Furuholmen – I see it Clearly now
楽曲はYoutubeで見つからなかったんだけど、ニーナとの出会いのシーンで流れていた曲。
Leonard Cohen – Suzanne
劇中でも触れられていた曲。去年惜しくも亡くなってしまった歌手。名曲のひとつ。
Magne Furuholmen – Come Together
こちらも参考楽曲音源なし。ちなみにこの記事書くためにこの名前調べるまで「Mange」だと思ってた。卑猥な言葉を連想させていたので申し訳ないと「Magne」さんに謝っておく。
もちろんビートルズ楽曲も紹介する。
冒頭の「She Loves You」、映画タイトルでもある「Yesterday」、世界の名曲「Let It Be」は言うまでもないだろう。
ビートルズ好きのための映画というよりは、10代の頃にイケないロックに憧れちゃった大人たちに観てもらいたい映画。