マツケンサンバ再興

最近マツケンサンバがなにかと話題になっている。。というのが私の観測範囲内の感想だ。
きっかけはテレビ番組でヒャダインが絶賛していたことに始まる、のではないだろうか。
サンバとか言ってるけどサンバじゃないし、オ・レはフラメンコでボンゴはサンバで使わない。といったクレイジーさをズバッと言い放ち、以前から話題になっていた部分の指摘ではあるが、あらためてそのヘンテコぶりが「確かに!!」を促した。私もサンバでないことは知っていたが、オ・レがフラメンコなのは盲点だった。確かに!!

<参考>
「マツケンサンバ」が突如トレンド入り きっかけは「関ジャム」のJ-POPベスト30 選出したヒャダインも「やったー!」

 

その後サブスクも解禁され(意図的か偶然か)、いよいよ簡単に何度でも楽曲を聴き直せるようになり、自分も速攻リピートした。すると湧き出るように気付くユーモア性と王道性。ちょっと整理したいなと思って並べてみる。(今回マツケンサンバと呼ぶのはいわゆる世間的にヒットしたマツケンサンバⅡのことを指す)

 

 

ヘンテコ①金ピカ侍がサンバ

最も注目すべき点であり、誰もが初めに抱く違和感は、これだろう。狂った発想とそれを全うする松平健の神経を疑う。曲がりなりにも時代劇の主演を長年務め、侍を演じさせたら俺!にまで上り詰めた人間が試みたのがオレ!というのは理解ができない。よほど遊び心のある人かマジでねじが飛んでるか脅迫でもされているのか。

 

 

ヘンテコ②長い前振り

2000年代のJPOPにおいてこんなに長いイントロは必要なのか(制作自体は90年代中頃)。印象的なイントロが流れ、テーテッテー!の後にまだ続く間奏。ワンコーラス分しっかりと聴かせる。さっさと歌えばいいのに。そしてようやく始まったかと思えばサビ後の「叩けボーンゴ!」から始まる意味不明さ。YOASOBIならブちぎれられてる。マツケンサンバ言えよ。そしてAメロに戻る。

 

 

ヘンテコ③完成されたリズムとサウンド

そのクセに全く外れたことをしないサウンド面。王道を貫き、有無を問わない完成度。あまりのキレイなメロディ展開にJPOPの神髄が詰まっている。宮川彬良が携わっているのは有名な話だが、これが90年代の曲というのは納得がいくようないかないような、あまりに時代性と乖離したテンションと編成で不思議な気分になる。

 

 

ヘンテコ④奇奇怪怪なダンス

続編のⅢに比べればアグレッシブさはないが、この奇奇怪怪な、というか、絶妙な緩さのダンスは、武士の袴姿でも踊れる配慮だが、それが結果的に抜群に可笑しみを生んでいる。真島茂樹が世間に注目されるのもこのころだったと思う。私も中学生の頃よく彼をテレビで見ていた。関係ないが、あの当時が「オカマ」的なワードで人を笑う最後の時代だったのかもしれない。

 

 

ヘンテコ⑤ダサいMV

絶体にやってはいけないダサMVのパターンというのはいくつかあるが、その多くは「カラオケスナックで流れるような古くささをまとってしまうから」という理由に起因していると思う。マツケンサンバのMVはそれを見事に踏襲している。でもそれにとどまらず、そのダサさを超越するマツケンの主張と迫真性はもはやコントの領域で、おもわず「こっちみんなwwww」と脳内ツッコミを入れてしまう。今っぽく言うと「マツケンこっち向いてきて草」かな。レコーディング風景も最後の花火も分からないし、あとこのライブ映像はなんなんだって気分にもなる。

 

 

まとめ

と、5つざっと挙げてみたが実に理解不能で、ただこれが明らかに作為的なものであることは察することができる。よくわかっていない10代の若者がふざけた結果の作品ではなく、高い教養と深い造詣と知識を備えたハイパフォ―マンスな大人たちが寄ってたかってわざとふざけているのがマツケンサンバだ。このバランスは誰にでもできるはずがない。キャッチーさヘンテコさが前面にありつつ、その裏を覗けば洗練された無駄のないサウンドと展開がある。だからこそ今こうやって高い評価を受けている。単純に「ああ懐かしいなあ。」という理由でみんな適当に褒めているのではない。ふざける中にはハイクオリティを。これは遊びの鉄則である。全部ふざけてもしょうがない。だからJPOPは面白い。