毎年恒例Twitterでのファッション音楽騒動
昨日のTwitter。こんなツイートが回ってきた。
フェス男子って書かれてる事からも明らかだけど、こういう奴って音楽が好きとか、ジャンルの確固たる好みもなく流行りを雑に消費するだけして人が集まる盛り場としてのフェスが好きなだけの、灯に集まる虫と同じなんよ。あとメタル系を悪い例に出すな殺すぞ。 pic.twitter.com/WAhav08b7F
— 鉄分 (@daikyushi) August 5, 2019
数日前にはこんなツイートが。
ファッション野郎が「憂き目にあわないためにも」とか被害者ぶるんじゃねーよ。 pic.twitter.com/iKXkvgITD4
— Kenji (@nancy_k_s) August 4, 2019
正直、逐一これに反応するのも野暮なんですが、最初で最後、これを記事にして表明終わりにしようと思う。多分ブログで書かなかったらこれからもこのようなツイートを見る度にツイッターでグチグチ言ってそうなので。
私はわりとそうする派なのだ。「音楽に政治を持ち込むな」にしろ「music fmをぶっ潰せ」にしろ。もう一つきちんと意思表明し、「自分のスタンスはこれです」と明示しておけば、これから何があっても「あ、もう僕記事に書いたんで言うことないです」で済む。凄く建設的でエコだ。
まず言う。ファッションでバンT着て何が悪いのだ、と。私のスタンスは以下。
- オシャレでバンT着てもオッケー
- そのバンドの事を知らなくても良い
- むしろ知ってて好きで日頃から来てる人の方が個人的には苦手
はい。音楽大好きでいかにもそういうファッション感覚でバンT着る人を嫌う人間に見えるかもしれませんが、実は寛容派、というよりは推奨派です。
理由は、基本的にバンドTシャツはダサいからです。
目を覚ましてください。
あなたの好きなバンドのTシャツはダサいです。
みて、僕の世界一好きなバンドのTシャツを!
見て僕の世界に二番目に好きなアーティストのグッズを!!
ダサすぎる。ダサすぎて逆に好感度あがる。一円たりともお金を使いたいと思わせないこのスタイルがやっぱり僕の愛するバンドだ。
まあそれは個人の好みであり、じゃあ自分が好んで参考にしてる海外アーティストとかバンドとかラッパーとかそういう人たちのファッションが絶対的におしゃれなのかと聞かれると、はいそうですって話になるんだけど、やっぱり個人の好み。おいておこう。
そもそも自分のこのツイートに対する意見のツイートものっけておく。
こういう“灯に集まる虫”より、自ら音楽を愛してると自負しながら特定のものに固執する人たちの方がシーンを停滞させる“害虫”だったりするんだよな、という最近の所感。自分は前者と友達になりたいな。少なくともメタルT来た人はキツすぎる。オシャレでなくバンドが好きで来てる方がより増してキツい https://t.co/7rqusjxzn3
— ノベル (@otakatohe) August 5, 2019
そもそもファッションと音楽がなぜいつも対立するんだろう。同じカルチャーじゃん。自分の興味ある分野だけやたらに踏み入られるのを糾弾するの、すごく悪いオタクの部分出てて個人的に全然魅力を感じない。音楽好きな人、オシャレな人多いよほんと。アンテナ張りまくっててめちゃセンスいい。
— ノベル (@otakatohe) August 5, 2019
これが回答。そう、どうしてバンTを着ると怒られるのか。
上のファッション雑誌のコーナーに音楽ファンがキレるという構図は毎年恒例。フェスにオシャレしてくるなとか、そんな恰好は相応しくないとか。そんな奴モッシュで泥だらけにしてやれとか。
もちろん人様に迷惑をかけるようなファッションは論外だけど、例えばパンプスで行くことを薦める雑誌があったとして「そんなの危ないだろ!」キレられても、その記事を参考にファッションを組み立てる人なんか別にモッシュするわけでも人でもみくちゃになるところに行くわけでもないのだから杞憂に終わる話なわけで。
そもそも話し相手が違う。想定している物が違う。
もうすでにディスコミュニケーションが生じている。
反論はたくさんあるだろう。だから一つずつ精査していく。
バンT着ててバンド知らないのはマナー違反?
まずは2つ目に紹介した、バンド名の入ったTシャツをいじられたという”憂き目”に合わないためのコーデ術を書いた記事に怒っている人たちについて。
ファッション野郎が「憂き目にあわないためにも」とか被害者ぶるんじゃねーよ。 pic.twitter.com/iKXkvgITD4
— Kenji (@nancy_k_s) August 4, 2019
知らないのに着るな
そんなこと言われる筋合いはない。自由。ならスヌーピーT着てる人にも「お前スヌーピーの原作見たことあるのか!」とぶちギレてみればいい。
聴かないのはもったいない
その通りですね。優しく布教しましょう。
被害者面するな
シンプルにオシャレだと思って着たらいきなりがっついてきて知らないとなると勝手に怒られるというのはどう考えても災害級に迷惑。
オシャレに着るもんじゃない!意思表明だ!
お好きにどうぞ。ただ押し付けないでください。
安っぽく見える
作った側の責任だしロゴ提供したバンドの責任。知ってようが知るまいが。
音楽にリスペクトがない
だって洋服だから。別だとはいわないけど、物質的に別。
そういえば数年前に水曜日のダウンタウンでも「バンT着てる人そのバンドの音楽聴けばすぐわかる説」みたいなことやってたなあ。音楽への愛は分かるんだけど暴走しすぎてるし正義がねじ曲がってる。
気持ちはわかるんだけれどね。自分が好きで着ても、自分もファッション感覚に着てると思われるのが嫌だったり。
わかるんだけれど暴走しすぎ。
次に冒頭の。
ファッション編集者は音楽に愛がない?
フェス男子って書かれてる事からも明らかだけど、こういう奴って音楽が好きとか、ジャンルの確固たる好みもなく流行りを雑に消費するだけして人が集まる盛り場としてのフェスが好きなだけの、灯に集まる虫と同じなんよ。あとメタル系を悪い例に出すな殺すぞ。 pic.twitter.com/WAhav08b7F
— 鉄分 (@daikyushi) August 5, 2019
基本的にこの手合いの論点は、この記事を書いた人は音楽への愛が足りない、冒涜行為だ、といったもの。
そしてこの延長線上に「最近フェスでよく見かける”ジャンルの確固たる好みもなく流行りを雑に消費するだけして人が集まる盛り場としてのフェスが好きなだけの、灯に集まる虫”が嫌い」がある。
これはすごくわかる。こういうやつが偉そうに流行の音楽知ったかぶってバカに広めて自慢したがる。そしてセンスの悪い音楽ばかり愛したがる。
何のポリシーもなく、自慢したいがためだけに良さも分からず聴いている奴。大嫌いになる。
でもそれも自由なのだ。悔しいかもしれないが、むしろそういう人たちがいるおかげで新しい音楽が回っていく。真のインフルエンサーは彼らだ。情報が友達とテレビしかないごく普通の人たちは、インスタでクラブイベントをチェックなんかしないし下北沢でライブハウスは回らない。
どこから流行を取り入れるかと言うと、こういうセンスの悪いアンテナ張ってそうでクソ鈍感なバカからなのだ。でもこのバカのおかげでSuchmosいいねとか、kinggnuいいねとか、そんな風潮になる。
むしろこういう「流行りそうなら何でも飛びつく」人たちがおらず、いつまでたっても自分の好きなジャンルとアーティストしか愛さない偏狭なオタク共ばかりだったら、シーンは全然回らない。同じところをぐるぐる回る。現にそうだとおもう。どこのフェスみても今ちっとも流行ってもない20年バンドがいまだにメインステージにたりして。それは愛するファンが多い証拠だが、なにも進展していない一面でもある。
もっといえば、”灯に集まる虫”の数が足りない。フェスにはこの虫がもっと必要なのだ。メインに若者に人気の新人アーティストがいて、でもそれでも20年やってきてもまだ若者にも中高年にも人気のバンドもちゃんといて。それがフェスのだいご味でもある。
その年の世相を表すラインナップこそがフェスの良いところでもある。
それがないのはことごとくこうやって虫をひねりつぶしていくからだ。
それで自分たちの居心地の良い場所を確保している。実に愉快だし絶望的である。
もう一度言うが、基本的に気持ちは同じだ。そりゃ音楽に愛が足りない人に音楽どうのこうの言われるのは筋が違うし、いい気もしない。でもファッションと音楽っていつからこんなに仲が悪くなったんだろう。どっちも同じカルチャーなのに。本当は密接につながっていて、切っても切り離せない関係なのに。
ファッションと音楽の対立関係
ファッション好きな人って音楽も好きなイメージがある。実際にそんな人をたくさん知っている。私のツイッターのフォロワーにもたくさんオシャレでカッコいい音楽たくさん知っている人は山ほどいる。やっぱり同じカルチャーだし、そういうのに探求心ある人って多い。もちろんそうでなきゃならないってわけじゃないけど。
でもセレクトショップのオーナーさんだったり美容師さんだったり、俳優さんやスタイリストさんとかのインスタを見ててもやっぱり音楽好きなんだなって伝わってくる。そしてすごく今の音楽を知っている。そんな人たちがバンTをオシャレで着てる人がいたらなんていうだろう。「知りもしないのに着るな!!!」と言うだろうか。
私はそうは思わない。むしろ、そのバンTの着方をレクチャーしてくれる気がする。そして「知らないなら聴いてみたら?実はそれバンドなんだよー」とか言ってくれる気がする。少なくとも私ならそうする。
だってオシャレしながら音楽は聴けるし、音楽聴きながらオシャレはできる。
逆に音楽知らなくてもオシャレはできるし、オシャレは知らなくても音楽は聴ける。
音楽とファッションは対立構造にないんだよ。
だから、もう少し寛容になろう。あれはファッション雑誌で、誰に向けて書いている物なのか考えよう。音楽ナードじゃない。ちょっとフェスカルチャーに興味がある人たち向けなんだ。彼らは意思表明したいわけではない。オシャレにきこなしたいだけなのだ。
それなのにわざわざ首を突っ込んでガミガミ言ってくる。こっちはなんも言ってないのにひとりでにキレる。
それって本当に意味のあることなんだろうか。そんな格好フジでは死ぬぞ!ってそれなんの意味があるんだろうか。
フェスなめるな!ってそれは誰目線なんだろうか。だれが「フェスなんてちょろい」とか言ったのだろう。
本当にオシャレな人はちゃんと他文化へのリスペクトはあるし、それができない人は軽蔑する。あの雑誌にリスペクトがあるのかはわからないけど、でもあれはビジネスだしそう言う人に向けて書いてるものだし。
オシャレしてフェス行くことはなにも悪いことじゃない。
そして今の時代にドクロマーク付いたTシャツ着たらそりゃ雑誌社的にはアウトと言わざるを得ないでしょ、そういうファッション向けの雑誌でもない限り。ダサいダサくないの話をしてるのであってその音楽のディスでもなんでもない。
バンド知らないのにバンT着てたら、え、いーねーそれ好きなんだそのバンド着てくれてありがとう。くらい言えばいい。バンドに失礼ってのは意味不明。だれだお前。
まとめ
最後にまとめると
自分の好きなものがいつだって100%納得する形で使われてないと駄々こねるの、いい大人がするなよ恥ずかしい。みんな仕事でやってんの。消費者(ペルソナ)がいて、それに向けて必要な情報送ってるのだ。フェスはオシャレするところじゃないとかその格好はこけるとか一々言われなくても大丈夫。フェスの過ごし方は君達みたいなのだけじゃないから。後ろで雰囲気楽しむのも一つだから。
愛が暴走しないように。常にいろんなものに寛容でいたい。ただ自分の愛する文化が蹂躙されようものならしっかりと守りたいけどね。