死にたいとき
ひと思いに死んでしまいたい!と考えるのは人間の性。
自殺をするのは人間だけだと言われているが、その自殺理由もさまざまだ。いじめや家庭内暴力、過労や失恋、もっと原始的な人生への悲観など、人の数だけ悩みは存在する。死にたいなあと漠然に思うこともあれば、どうやって死のうかと具体策を練るときもある。今こうやって文字を書いているわけだから無事存命なのはわかっていただけるとおもうが、考えることはいくらでもある。みんなもあるだろう。
ならばどの死に方がいいのだろう。苦しいのは、痛いのは、それぞれの死に方によって感じるものは違うはずだ。ならば多数の自殺行為や他殺行為を映像作品で行ってきた天下のイギリスのバンド、Radioheadに訊いてみようじゃないか。
彼らのMVから最良の死に方を学ぶ。
溺死
溺死は一番しんどい、と聞く。さて死人が天国で議論して出した結論でもないので真偽は定かではないが、おそらくしんどいでろうというのはバカでもわかる。この曲は「No Surprises」といい、1997年に発売した3枚目のアルバム「OK computer」に収録されている。みろこのトムヨーク(MVに終始アップで映っている男性でありこのバンドのボーカル)の辛そうな顔!カエルみたいな顔つきから一気に開放されたときの
ップォォォフオォォォオオ!!!!
という生命感あふれる表情。
やっぱり溺死はまずい。天下のトムヨークさんですら悶絶のこの死に方は相当ハードそうだ。
凍死
昔カナダに留学していたので寒さの恐ろしさは理解しているつもりだ。-30度とかになると学校は休みになるし外歩くと鼻水は凍るし雪はかったいし散々だ。この曲は「Daydreaming」といって、9枚目のアルバム「 A Moon Shaped Pool」に収録されている。なんだか不思議なMVで、トムがあっちこっちの扉を開けて通っていく。まるでDaydreaming(白昼夢)になったかのように彷徨うトム。だれに相手されるわけでもなく、ただ足取りは軽快に。最後は晴れた雪山にたどり着き、ひたすら歩みを進める。そのまま洞窟に入ると笑っているのか歌っているのか、そのまま静かに目を閉じる。
ちなみに最後のに「ムオーンムオーン」と訳の分からない低音で唸っているのは逆再生であり、「Half of my Life」といっているそうだ。
うーん割と幸せそうだぞ。寒いだろうけど静かに眠りにつけている。そして二度と起きることもない。そこにたどり着くまでには中々大変かもしれないが、良い感じの洞窟さえ見つけられればアリかもしれない。
八つ裂き
これは彼らの代表的な曲「Paranoid Android」。こちらも「OK computer」に収録。問題のシーンは後半に、電灯によじ登った主人公を下ろそうと斧を振り回すおっさんが誤って自分の四肢を切断してしまう。そのまま海に落っこちて,,,と続いていき、とても示唆的で宗教も絡んだアイロニックな映像になっている。というか主人公も途中で天使にヘリコプターで連れてかれてるしもはや何が生命体で何が死体なのかさっぱりわからない。とりあえず痛々しいのでナシかな。おっさんはすごく平然としているけど。
轢殺
「Karma Police」も「OK computer」に収録。このアルバム大体ヤバイのばっかりで怖い。
そして散々轢き殺そうと追いかけまわしていたら最後の最後に逆転される。車が炎上。まあトムはその時にはもう車内にはいないんだけれども。という事でこのMVは轢殺でなく、焼死にあたる。いやあ焼けるのもちょっと困る。ていうか、あれだけチンタラ追いかけまわしてるトムが悪い。さっさと轢き殺せばよかったのに。ああいう弄びをするから相手にスキを与えてしまって逆にやられるのだ。トムヨークはすぐにでもヤッターマンでも見た方がいい。余裕を見せた方が負けるのだという事をきちんと教える必要がある。
樹木化
もはや人間のできる領域を超えてしまっているが、これもなかなか辛そうだ。意図しないタイミングで樹木化されたら遺書もかけない、やり残したこともたくさんある、と不服の多い死に方の一つだ。だいたい森に吸い込まれるように足から根っこが映えてくるとかなんの地獄か。これは自殺というよりも天罰とかその辺に入りそうなジャンル。ちなみに曲名は「There, There」といって、冒頭のドラムの音が印象的な曲。2003年発売の6枚目のアルバム「Hail To The Thief」に収録されている。そしてこれがライブ定番曲の一つであることは、多くのファンでない人たちを驚かせるだろう。「え、これが!?」と。
最後に
とはいえやっぱり自ら命を絶つのはあまりに寂しい。私の周りの人で自殺する人なんかでたらもう罪悪感と悲しみで満ちてしまうだろう。
どんな理由であれ止められるものなら止めるべきなのが自殺で、個人の尊重も大切だけれど、少なくとも自分の周りの人たちだけは自分より長生きしてほしいななんて思いながら、死ぬまでにもう一度Radioheadを、今度は単独で観たいものだと思い続けている。
そういえば人って死ぬときはスローモーションになるっているけれど、こんな感じなんだろうか。