2019年の最重要作品のひとつ。
監督は「グエムル-漢江の怪物-」でも大ヒットを飛ばしたポン・ジュノ。主人公も「グエムル-漢江の怪物-」と同じソン・ガンホを起用している。なにより去年から随分と話題で、もう日本でも今か今かと公開を待ちわびている人であふれていた。そして満を持しての公開。私は公開2日目に行ったが、朝一番の9時半開始の時間帯に行ったにもかかわらず、9割が埋まっていた。よほど公開前の評判が功を奏しているのだろう。しかしジョーカーといいこのパラサイトといい、なんだかダークな世界観がナンバーワンヒットレベルなのはおもしろい。

「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した作品。キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。共演に「最後まで行く」のイ・ソンギュン、「後宮の秘密」のチョ・ヨジョン、「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチェ・ウシク。

韓国の映画はまだ数えるほどしか見たことがなくて、役者もあんまりわからないのだが、この文を読んで、チェウシクという人物が、「新感染」での野球部の少年だったと知る。あの時はあんまり何とも思わなかったけど(まさか両方死ぬとはね)、今回は抜群の演技だった。演技をする演技って難しいと思うんだけど、そこの使い分けが非常に面白かった。あくまで主人公はソンガンホではあるんだけど、この物語を動かしていくのは彼で。彼の妙演が光っていたし、エンドロールに流れる歌も彼が歌っている。いい曲なのでぜひ。

この映画をみるにあたって、知っておきたい知識があるので、まだ見てないよって人は先にこの記事を見ておくと良いかも。

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(『寄生虫』)をより楽しむための韓国文化キーワード7つ(ネタバレなし)

それにしても久々に、脚本だけでなく、撮影にまで目がいく映画だった。特徴的な撮り方も多くて、ああなんてリズム感のよい映画なんだと、2時間を超えてもまったく長さを感じない。

もうひとつ感じたのは、土足厳禁文化って楽しい。家の中で隠れたり忍び足をしたりすることは海外の映画も往々にしてあるんだけど、靴を履いたままだとやはりあまりスリル感がない。靴を脱ぎ(しかもそれを手に持って!!)そーっと歩くことで極限まで足音を消すことができる。これで見つかることはまずない。海外では隠れる側に負のあったシーンが、一気にフェアに。それこそが土足厳禁文化の醍醐味だと感じた。

他にもたくさん見どころはあるのだが、この記事公開した時はまだ上映中なので、静かに口を閉ざしておこうと思う。