マットデイモンが絶妙な一般人を演じているのはなによりの安心感がある。「これこれ!」と言いたくなる小物感。ダウンサイズでのマットデイモンは一切特別な存在ではない。

「ファミリー・ツリー」「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のアレクサンダー・ペイン監督が、マット・デイモンを主演に迎え、人類が縮小可能になった未来社会を舞台に、社会風刺を交えて描くドラマ。ノルウェーの科学者によって人間の身体を縮小する方法が発見され、身長180センチなら13センチにまで小さくなることが可能になった。人口増加による環境、食料問題を解決する「人類縮小200年計画」が立ち上がり、一度小さくなれば二度と戻ることはできないが、それでも各国で小さくなること(ダウンサイズ)を選ぶ人々が徐々に増えていく。アメリカのネブラスカ州オマハでストレスフルな生活を送る、どこにでもいる平凡な男ポール・サフラネックは、少しの蓄えでも裕福で幸せな生活が遅れるという縮小された世界に希望を抱き、ダウンサイズを決意。しかし、土壇場で妻のオードリーが逃げ出してしまう。ポールは縮小された人間たちの世界で、ひとり寂しい生活を送ることになり、自暴自棄になるのだが……。

映画.comより

パーティーに参加している時のマットデイモンの挙動不審っぷりはこの映画のハイライト。そしてお人好しで、おっちょこちょいで、強く言われても言い返せないほどの男なのだが、なぜか愛おしくなる。

なにより、わざわざこんな突拍子もない近未来を描く必要などないのに、それを頑として守り続けるところに監督の強い意志を感じる。結局「自分とはなにか」「人生とは何か」を考えることに終始する主人公なのだが、そのために小さくなった世界を用意し、事態を複雑にさせた。それをナンセンスと捉える人もいるだろうが、私はそれがユーモアに感じられた。

おもしろいかどうかの判断は結構人によって分かれそうな作品ではあるし、私も「おもしろい」か否かの二択を迫られると答えに詰まってしまうが、それとは別に、趣深い作品だったと思う。深い、とか、重い、とはまた違う、趣深い。

マットデイモンの妙演に注目してほしい。あと後半は小さくなったとか関係なくなるので彼らが小人であることは完全に頭から消えてしまうので、そこにも注目です。

Ferria – Alabina (feat. Anissa)