菅田将暉さん、ご結婚おめでとうございます。

溺れるナイフを見返したくなるところをグッと抑えて、1ヶ月ほど前にみた映画「CUBE 一度入ったら、最後」をレビューしようと思う。

謎の立方体に閉じ込められた男女6人の脱出劇を描き、低予算ながら世界的ヒットを記録したビンチェンゾ・ナタリ監督の密室スリラー「CUBE」を、菅田将暉、杏、岡田将生、田代輝、斎藤工、吉田鋼太郎のキャストによる日本版としてリメイク。突然、謎の立方体=CUBEに閉じ込められた男女6人。エンジニア、団体職員、フリーター、中学生、整備士、会社役員と、年代も職業もバラバラな彼らには何の接点もつながりもない。理由もわからないまま、ひたすら脱出を試みる彼らに、熱感知式レーザー、ワイヤースライサー、火炎噴射といった殺人的なトラップが次々と襲う。脱出するためには仕掛けられた暗号を解読しなくてはならないという極限状態の中、それぞれの人間の本性が徐々にあらわになっていく。監督は齊藤工プロデュース作「MANRIKI」を手がけた映像クリエイター・清水康彦。

映画.comより

キャストは〇。演技も〇。題材も〇。原作「CUBE」の静けさと狂気ぶりをそのまま引き継いでくれればあとはどう転んでも面白くなるはず、、だったが。。。

どうしてもドラマ要素が欲しくなる、というかドラマ要素がないと商業映画としてお金が降りてこないのか、いらん感動の涙がずっと続く。次第にCUBEのトリック、ゲーム性については二の次になり、原作のような小難しいことは完全に放棄し、「とりあえず外でられるっぽいぜ!」のノリで進んでいく。バタバタと人が死ぬところは躊躇なくて良かったが、セットはなんだかチープで、まったく奇妙な世界観にはみえない、アトラクションのよう。

なにより杏があまりに無気力なので、中盤からすでに「こいつ何かウラがないとただのサイコパスだぞ」という結論に誰でも達せてしまう。見えてしまったゴールと、オチをある程度知っているリメイクもあいまって、期待値は徐々に下がっていく。原作の方が脳裏に焼き付くシーンはたくさんあるのに、こちらは菅田将暉の執拗な弟回想シーンしか思い出せない。あの全く同じ回想シーンで15分くらい尺を使っていたような気がするが、それを削ってもっと膨らませるところなかったのか、、、といつも通りの回想シーンモリモリ邦画にうんざり。そうとう観客を下に想定しているなと勘ぐってしまうほど。

主題歌は星野源の「Cube」。楽曲は相変わらずハイクオリティで非常に面白いのに、絶望的にエンディングとして浮く。いや、まさか星野源ともあろう人がこんなエンディングでフィットするなんて思うはずがない。なにか別の意図があるに違いない、わかっていないのは自分の方だ、と今は思うようにしている。でなきゃ説明がつかない。

原作の「Cube」を見ればそれで十分だろう、なんて野暮なことはいっちゃいけない。杏の久々のスクリーンでの躍動は見るに値する。