ジェニファーローレンスが絶叫する映画は面白い、というと語弊があるがどんとルックアップも例にもれず面白かった。

レオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスが主演し、彗星衝突という地球の危機を察知した落ちこぼれの天文学者と教え子が、世界中にその事実を伝えようと奔走する姿を、「バイス」「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のアダム・マッケイ監督が描いたコメディドラマ。落ちこぼれ気味の天文学者ランドール・ミンディ教授はある日、教え子の大学院生ケイトとともに、地球に衝突する恐れがある巨大彗星の存在を発見し、世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと躍起になる。仲間の協力も得て、オーリアン大統領とその息子で大統領補佐官のジェイソンと対面する機会を得たり、陽気な朝のテレビ番組「デイリー・リップ」に出演するなどして、熱心に危機を訴えてまわる2人。しかし人類への警告は至難の業で、空回りしてばかり。そのうちに事態は思わぬ方向へと転がっていき……。ランドールをディカプリオ、ケイトをローレンスが演じるほか、大統領役のメリル・ストリープ、テレビ司会者役のケイト・ブランシェット、補佐官役のジョナ・ヒルをはじめ、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、マーク・ライランスら豪華キャストが集結した。Netflixで2021年12月24日から配信。それに先立つ12月10日から一部劇場で公開。

映画.comより

ディカプリオの作品はあまりのめりこんだことがなくて、それは多分小難しい作品が多いからだと思うが、この映画は逆にすがすがしいほど単純だ。単純でバカしかいない。バカしかいないから本当に見ていて頭を抱えてしまう。アメリカ人…と情けなくなるのと同時に、日本の政治家も同じようなものなのか…と苦笑いしてしまう。

なによりジョナヒルがポンコツすぎるので終始イライラするのと同時に、ちっとも人の話を聞かない(しかもそれは意図的に)番組の司会者たちも、事の重大性を理解しない人間ばかりでしんどい。この映画をよく「現代社会の風刺だ」と評する人がいて、明らかにそれを狙って作られていもいるが、これを笑いものにできるのは、あくまでディカプリオたちが明らかに正しいことを主張しているということをメタ的に理解できているからだ。現実はそう簡単ではない。

確かに大統領も補佐官もテレビの司会者も腹立つくらいにあほだが、もし仮に今ディカプリオと同様に「地球が滅亡する!!」なんて言い出した科学者がいたとして、そしてそれが真実であるかどうかの検証が難しかったとして、それは簡単に「そうなのか!!」と納得できるだろうか。

事実、グレタトゥーンベリが地球の気候変動について危機感を募らせたメッセージを発していることに対して、多くの人が心無いバッシングを浴びせている事実があるのも、気候変動による世界の滅亡(とまではいわなくても)が100%起きる確実なことと言えないからだ。100%起きることだと映画のように理解していたら誰もグレタに文句は言わないだろう。

という観点ばかりでなく、映画そのものに目を向けると、ブラックユーモアももちろんだがやりとりの応酬は後日とんでもない気持ちにさせられた「大怪獣のあとしまつ」にも通ずる上滑り感がずっとある。最高におもしろい作品というまではいかなくても、休日にフフっと笑いたいならぜひ見てほしい作品である。

では音楽です。

slowthai, Mura Masa – Doorman

George Strait – Troubadour

The Mills Brothers – Till Then

Four Tops – Bernadette

Bon Iver – Second Nature