「スパイダーマン」「X-MEN」などで知られるマーベル・コミック原作のヒーローアクション大作。第2次大戦下、病弱のため兵士として不適格とされた青年スティーブは、軍の極秘実験「スーパーソルジャー計画」の被験者第1号になる。強じんな肉体と破壊不可能なシールドを武器に戦うヒーロー、キャプテン・アメリカとして生まれ変ったスティーブは、レッド・スカル率いるヒドラ党との戦いに挑む。主演は「ファンタスティック・フォー」のクリス・エバンス。監督は「ジュラシック・パークIII」「ウルフマン」のジョー・ジョンストン。

映画.comより

マーベルシリーズ、フェーズ1のアベンジャーズにつながる最後の作品、キャプテンアメリカ。いよいよここまできたか、と感慨深いが、まだ5作目。ハルク、アイアンマン、マイティ・ソー、そしてキャプテンアメリカ。その間に様々なサブキャラが登場してきたりもしたが、今まで名前と輪郭しかわからなかったキャラクターの性質や出自、そもそもアベンジャーズとはなにかという本質的なところまで理解できたのは、なにか長年の謎が解けたような爽快さすらある。マーベルシリーズなんて世界中で観られているが、いまだにこうやって新鮮に驚けて楽しめている人間がいることをきっとうらやましく思っているひともいるに違いない。

で、キャプテンアメリカはこの作品だけ時代設定が古く、そういった点でも見やすさとのめりこみやすさがある。なによりアイアンマンの父が登場するので、そこでも発見と驚きがある。まさかアイアンマンの父親そんな重要人物だったとは、と約10年の時を経て驚いている。

トミーリージョーンズはでてくるわ、ヒューゴ・ウィービングは悪役で登場するわ、メンインブラックとマトリックスが直接対決でもするんじゃないかという勢いで、その中から滑稽な姿をしたニューヒーロー、キャプテンアメリカは登場する。

今まで出てきたキャラクターより明らかに劣るのに、最も愛着持って見届けられるのは彼の直向きな姿勢(戦争を肯定するわけではないが当時の価値観を鑑みれば彼の気持ちは買いたくなる)とその虚無感だろう。ピエロとして演じ続けることが彼の望んだ国への貢献ではなかったはずなのに、少し気をよくしたりするところはトニースタークに通ずる部分もあるが、根底にあるまっすぐな愛国精神はヒーローシリーズとしては非常にシンプルで入り込みやすい。

とはいえあまりに時代とマッチしない世紀末的な武器と立ち向かうので、思わず「みなさん相手の武器奪って戦ってくださいねー」と野暮なツッコミを入れたくなる。

ボスと恋愛関係になるトップガン的な要素もあまり羨ましくも思えず、世が世ならプロパガンダに使えそうな映画だと思った。