いまでいう毒親、いや、そんな矮小化した単語で表せられるものでもなく、醜悪きわまりない両親のもとで育った才女の話。寓話的で道徳的。

純粋な魂を持つ天才少女が大人社会の矛盾に突き当たりながらも、健気に自分の場所を勝ち取っていく姿を描いたメルヘン調の物語。『あなたに似た人』などの著作で知られ、「ジャイアント・ピーチ」など映画化作品も多い幻想文学の作家ロアルド・ダールの同名児童文学を、「ローズ家の戦争」「ゲット・ショーティ」のダニー・デヴィートが監督・製作・出演の3役をこなして映画化。脚本と共同製作は「水曜日に抱かれる女」のニコラス・カザンと、「若草物語」(95)のロビン・スウィコードの夫妻。製作はデヴィート、彼のパートナーで共にジャージー・フィルムズを設立したマイケル・シャンバーグ、ジャージー・フィルムズの社長ステイシー・シェール、原作者の妻リシー・ダールの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーは「殺したい女」のマイケル・ペイサーと「カリートの道」のマーティン・ブレグマン。撮影は「バットマン リターンズ」「エド・ウッド」のステファン・チャプスキー、音楽は「ジングル・オール・ザ・ウェイ」のデイヴィッド・ニューマン、美術はTVドラマを多数手掛け、これが初の劇場用映画となるビル・ブルゼスキー、編集はリンジー・クリングマンとブレント・ホワイト、衣裳はジェーン・ラーム、特殊効果監修は「キャスパー」のマイケル・ランティエリ、視覚効果監修は「ウォーターワールド」のクリス・ワッツがそれぞれ担当。主演は「34丁目の奇跡(1994)」のマラ・ウィルソン。

映画.comより

完全に児童虐待、ネグレクト、育児放棄というレベルを超えた仕打ちを受けていて、逮捕されてもおかしくない完全純真な悪として両親が描かれている。少しでもなにか情状酌量の余地があるのかと期待するも完全に裏切られ、とことん汚い親である。そのあたりも寓話的な要素を強めていて、紙芝居を観ている感覚にも近かった。

主人公マチルダを演じたマーラ・ウィルソンは本作の撮影中に実母を亡くしたり性h外に苦しんだりと、非常に苦しい時代を過ごしたせいで映画の出演はあまり多くないそうだ。どうしてもまだこの時代は(とはいえ今も劇的に良くなったとは言えないが)性被害も多かっただろうしそれにたいする自浄作用を声を上げる業界の力も弱かっただろうから、この時代の子役は本当に苦労している人たちが多いイメージがある。むしろハリーポッターの役者たちが本当によくやっていると感じるくらいだ。

これを機に本作を演じた役者をみていると、校長を演じたパム・フェリスが全く印象の異なる優しそうな人で、役者ってすげえなあと感心した。ちなみに両親を演じたリー・パールマンとダニー・デヴィートは本当の夫婦らしい。そう思うとすばらしいクソ親コンビネーションだったなと思い出す。

今見ても、家族の在り方の多様性を訴えるような作品で、だれとでも安心してみられる良い映画だと思う。