好きな映画は美しい映画です。
内容ももちろんですが、やっぱり映像美が大切です。内容だけなら小説で済むのですから。
と言い放ったのはマリリンモンローでもグレースケリーでもソフィアローレンでもない。私ノベルです。
やっぱり美しい映画が見たいじゃないですか。それは別にカット割りとか風景とかコントラストとかそういう技法だけの話じゃなくて、ファッションとか所作とか表情とか、そういうところも含めて美しさが欲しい。私にとってその美しさは大抵イギリスにある。イングランドの労働階級の人たちのセックスアンドドラッグは美としか形容できない儚さとスタイリッシュさと自暴自棄がある。だからあのファッション、たばこ、ヘロインやマリファナに焦がれる。その次は黒人たちを描いた映画だ。彼らの生き様やファッション、タトゥーや黒人なまりの英語が大好きである。ヒッピホップに最近傾倒しているのも大きな要因かもしれない。そして3大美しい映画としてもう一つ挙げられる要因があるとするなら、アメリカ(ニューヨーク)だろう。マンハッタン、ブロードウェイ、タイムズスクウェア、エンパイアステートビル。他では補うことのできない圧倒的な破壊力。邦画ももちろん大好きだが、正直美しさはどうあがいても勝てない。日本の良さは間とシナリオと余韻だと勝手に認識している。
さて美しい映画が見たいと言ってもそう簡単に見つかるわけではない。一番楽に見つけられる方法は、「名作を観る」に限る。昔に観た記憶はあるんだけれどオチすら覚えていない「レオン」を観ようと思い立ったら吉日。すぐに借りてきて観た。今更だが良いものはやっぱり良いし、綺麗な映画だった。ナタリーポートマンに熱狂する意味が分かった。
あまり普段映画を「知識」や「歴史」として見ない人にはおもしろさが分からないだろうが、ここにナタリーポートマンと当時無名のジャンレノを起用したところがツボである。映画は必ず映画スターを生み出す。映画スターは映画以外からは生まれない。当たり前の話を何言ってんだと思うかもしれないが、これは大事なことだ。エドワード・ファーロングだってリヴァー・フェニックスだって必ず名作映画と後に呼ばれるものに出演していた。ナタリーポートマンはこれがデビュー作であり後の「ラックス!スーパーリッチ!」を連呼するアミダラおばさんである(いやバカにしてないよ、マジで)。
基本この映画にはロクな奴が出てこない。売人からヤクをくすねるクズおやじに、エアロビ狂いの姉、麻薬取締官なのにバリバリにキメて売りまくるヤバイやつ。キレたらおっさん一人に対し国家権力を使ってSWATを動員させ部屋をぶっ飛ばすキ○ガイ。でも同時に、同情をしてしまったがゆえに不器用ながらに愛してしまうレオン、したたかで大人びているけどとても寂しがり屋のマチルダ。殺しの任務をレオンに与えるトニー。そういった一筋縄ではいかないけど心優しい人がいる。その両極が混在する同一世界線上。それが楽しみを増幅させている。まあジャンレノはのちにMajiでKoiする5秒前の女を守った後にタケコプターで空を飛ぶ大躍進を果たすんだけどね。リュックベッソンも中々渋いことやるよ。
レオンの音楽と言えば思いつくのはやはりエンディングに流れるStingの「Shape of my heart」だ。いわずもがなSting自身の代表曲の一つとなったこの曲はそれ相応しい、らしさ溢れる完成度の高い楽曲になっている。と、偉そうに言ってるがなにをもって完成度が高いのかさっぱりわかっていない。でもただ「おおお、沁みるぅぅぅぅ」ってエンディングでなってるからこの映画にピッタリなんだと感覚で理解している。