痛快。この一言に尽きる。

どうしても警察学校をやめたい主人公と辞めさせるわけにはいかない教官のガチンコ対決。嫌がらせに次ぐ嫌がらせもなんなとかわす(たまにしっかりお仕置きされるところもキュートである)主人公が人間臭くて楽しい。

アメリカンコメディーと日本のコメディの性質は、当然ながら異なる。そもそも主語動詞と続く英語と、述語を一番最後にもっていく日本語では笑うポイントが違うからだ。
例えば、仕事場の休憩室で、同僚二人が嫌いな上司の悪口を言っているとする。「あの上司ってさ、たばこ臭いし、すぐおこるし、セクハラするし、ハゲてるし…」と言ったところで、後ろでずっと上司が聞いていたことを二人が知ったとする。そうすれば発言者はとっさに「…..っていう所も含めて素敵だと思う!!!」と急に方向転換するだろう。この手法は述語を一番最後に持ってきて修飾語を間に挟む日本語ならではだと個人的に感じている。これをよく利用しているのが、東京03。あの態度の豹変ぶりなどは本当に面白いし大好きだ。
一方英語なら「私はあの上司が嫌いだ」と言い放ってからその具体例を言うので、あとから取り返しがつきにくい。

もちろん今のはあくまで極端な例なので、フレンズなんかをみてると東京03的なノリは多く散見されるが、ひとつの違いのサンプルとして語っておく。
そう考えると、アメリカンコメディーの楽しみ方というものも、なかなか奥深くなってkる。ただ日本語字幕を読むだけではその言葉遊びが分からなかったり、英語の文法を活かしたジョークが効きにくくなってしまう。まあ翻訳者はそれも見越して多くの伏線を貼ってうまくまとめているのだが。
なので映画って結局は英語を知っていることに越したことはないわけで、日本語字幕を読みながら英語を聴く、まあこれぐらいができれば映画の楽しみ方は数倍変わってくると思う。

と、偉そうに語ったところでじゃあポリスアカデミーはどうなのよって話なんだけれど、そういう事抜きでも楽しめる作品だった。下ネタも笑えるほどに軽快で誰かを嫌な思いにさせない。嫌われ役の教官は最後にはスッキリとお仕置きまで待っている定番スタイル。これぞコメディの王道だと胸張っておススメできる、往年の名作だった。

ポリスアカデミー (字幕版)