瑛太の魅力って何だろう。と時折考える。イケメンか?イケメンだ。だけどそれが自分の中で好きな理由じゃない。それなら松坂桃李とか妻夫木聡の方が個人的に顔は好きだ。生田斗真なんかは奇跡的な男前だと思う。でもそれ以上に魅力がある。どこからともなく漂う色気と絶対に大丈夫って言ってのける自信があるくらいの安定感。なにより演技力だ。どんな役でもちゃんとこなせるしいい意味で瑛太のオーラを消せる。今回は元プロボクサーで妻と子供を持つ旦那役。未練もあるしだらしないし、でもそこに嫌味が無くて、大げさな場面もなく淡々と彼のパーソナリティが映しだされていく。そうだ、彼にはくどさがない。次のシーンで彼はちゃんと消えてくれる。半端なダサさも優しさも強烈にそのシーンでは存在感を放つのに、ふと場面が変わるとその残り香を消し去ってくれる、不思議な役者さんだ。

ドラマ「リーガルハイ」で知られる人気脚本家・古沢良太のオリジナル脚本作品。新垣結衣と瑛太がダブル主演を務め、卓球を題材に、男女混合ダブルス(ミックス)を通じて巻き起こる人間模様を描いた。幼い頃、卓球クラブを経営していた母のスパルタ教育により、天才卓球少女として将来を期待された多満子だったが、母の死後は普通の人生を歩んでいた。ある時、恋人を会社の新人社員に寝取られたことをきっかけに、逃げるように田舎に戻った多満子は、いまや赤字経営に転落した卓球クラブを立て直すことになる。そのために全日本卓球選手権の男女混合ダブルス(ミックス)部門への出場を目指すことになった多満子は、クラブに通う落ちぶれた元プロボクサーの萩原とコンビを組むのだが……。監督は、同じく古沢のオリジナル脚本作品「エイプリルフールズ」を手がけた石川淳一。2016年のリオデジャネイロオリンピックで男子シングルス銅メダルを獲得した水谷隼をはじめ、石川佳純、伊藤美誠ら本物の卓球選手も登場する。

所感としては、とにかくまとまりのいい、テンポ感のよい映画だった。程よく笑えてほどよく切なくて温かい。笑いもくどくなくて全体的にあっさりしていた。新垣結衣をどう使えば程よく面白くて可愛くなるかのバランスもよかった。
映画とはこうやって撮るんですよ、と教えてくれているかのよう。教本になるのでは。変に凝ったこともせず絶妙な編集とカメラワークでベタに撮っている。ベタなのにサムくならないのは新垣結衣と瑛太のおかげの他ならない。正直遠藤憲一夫婦も広末涼子サイドストーリーもそんなに重要じゃないしどうでもいいんだけど、それがまたいい具合にメインの二人から遠ざけてくれる休憩材料になっていてよい。

映画として後世に語り継がれることはないだろうけど、個人的には「ハッピーフライト」の後釜として、なにかあったらとりあえずこれテレビで流す、ってパターンに着地してもいいんじゃないかと勝手に思ってる。

主題歌はSHISHAMO。大抜擢だ。

正直この曲をミュージックステーションで聴いた時は「ちょっと映画のためと意識しすぎじゃない?」と凡庸な曲調に眉をひそめたりしたんだけど、こうやって映画と共に聴くとなるほど、と納得する出来だった。曲単体の力はあんまりないけど、映画にちゃんとフィットしているからすごくいい感じ。


「ミックス」は、暇なら観て損はないと思う。でも期待しすぎないくらいがちょうどいいかも。