ビートルズはほとんど聴いてこなかった。

理由はたまたまそうだったとしかいいようがない。

強いて言うなら、ビートルズファンとかが嫌いそうな”いかにも”な邦楽ロックからの入りだったから。

よく俳優とかタレントが「昔から音楽がすきで。父親のレコードをよく聞いていました。ラモーンズとかビートルズとかフランクシナトラとか」みたいなことを言っているのをみる。かっこつけたいのか本当の話かは知らないが、私にはそんな環境はなかった。家にレコードはあるが全部倉庫で20過ぎるまでその存在にすら気付いてなかったし。父親は歌謡曲好きで、母親こそ洋楽が大好きな人だったけど、私生活に音楽を持ち込むような人ではなかった。もちろん息子である私に音楽の強制もしなかった。小2でバンプの天体観測をリアルタイムで知って以来ずっとバンプと19(ジューク:2人組ユニット)だけ聴いていても特に何かを言うわけではなかった。高校生になってELLEGARDENとかRADWIMPSとかを本格的に聞き始めても、私も親にそんな話はしなかったし、ギターやりたいとか言い出すこともしなかった。
そうやって邦楽からロックに目覚め、次第に洋楽にシフトしていくきっかけもOasisとRadioheadで、じゃあビートルズに。。。とはならなかった。今でも、昔の曲はどうにも聞く気になれない。音の作りが古くて苦手だからだ。そもそもロックというよりかは、よりオルタナティブでエレクトロなサウンドが入っている方が好きな私にはギターとベースとドラムがシンプルにぺけぺけ鳴っているのに耐えられないのだ。ぺけぺけとはずいぶん失礼だが。

ポール・マッカートニーやリンゴ・スターという存命のメンバーや、ヨーコ・オノ・レノン、ジョージ・ハリスンの未亡人オリビア・ハリスンら関係者の全面協力のもと製作された「ザ・ビートルズ」の公式ドキュメンタリー映画。監督をロン・ハワードが務めた。初期のリバプール時代から、1963年に始まった15カ国90都市166公演におよぶツアー、そして観客の前での最後の演奏となった66年のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パーク公演までのライブ映像を中心に、関係者などのインタビューを織り交ぜながら、ビートルズの曲の変遷、半世紀以上も愛され続ける彼らの人気の理由を探る。日本公開版は、66年の来日時のエピソードが長めに収めらた特別版となっており、日本武道館でのライブシーンや、来日時のビートルズの撮影を担当したカメラマン・浅井慎平のインタビューも盛り込まれている。

もちろんビートルズの歴史の本も読んだし、一体どんなことがあったのかもざっくりは知っている。頑張ってサージェントペパーズとかも聴いたりした。結局そのどれのアルバムも失敗に終わったが。

2年前に初めて憧れのイギリスに1週間ほど旅行して、もちろんリヴァプールにも寄った。ビートルズの聖地、キャバーンクラブにも足を運び、ビートルズのコピバンの演奏を聴きながらお酒を飲んで近くにいた人たちと仲良くなって一緒に「Hard Days Night」とか「Hey,Jude」を歌ったりして楽しかった。大して知らないのに、それでも国も世代も超えてこうやって感動を分かち合えるのは素敵なことだと心から思った。


<実際のキャバーンクラブでの演奏動画。

この映画にももちろんキャバーンクラブも登場するし、各名所がちらほらと映る。そのたび私は懐かしい気持ちになった。
昔はビートルズをすぐ褒めたがったり語りたがる人たちを嫌っていたんだけど、今はそうでもない。やっぱり偉大なんだよ。良さは分からなくても。