去年下半期に話題騒然となった「ボヘミアン・ラプソディ」をようやくIMAXで観賞した。音楽好きとしていままで観るタイミングを逸していたのはもどかしかったし、ようやく願いかなって(というか、やっと腰を上げて行っただけなんだが)観ることができた。結果的に泣きはしなかったが、そりゃ大ヒットするわ、という感情と、なんでヒットしたんだろうという感情が渦巻いた。

 

世界的人気ロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーを描いた伝記ドラマ。クイーンの現メンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を手がけ、劇中の楽曲には主にフレディ自身の歌声を使用。「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といった名曲誕生の瞬間や、20世紀最大のチャリティコンサート「ライブ・エイド」での圧巻のパフォーマンスといった音楽史に残る伝説の数々を再現するとともに、華やかな活躍の裏にあった知られざるストーリーを描き出していく。「ナイト ミュージアム」のラミ・マレックがフレディを熱演し、フレディの恋人メアリー・オースティンを「シング・ストリート 未来へのうた」のルーシー・ボーイントンが演じる。監督は「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー。

もはや語る必要もないくらいモンスター映画になってしまったが、改めて語ると、70年代から80年代にかけて日本でも大ヒットしたバンド、QUEENの半ドキュメンタリー映画である。多少史実とは前後する場面もあるそうだが、そこは一つの作品として分けて観るのがよいと思う。ラストのライブエイドの映像は本当にただ単にライブ映像を見ているだけのような錯覚を起こしてしまうくらい再現度が高く、臨場感がものすごかった。何といってもIMAXがダントツに凄かった。どれくらいっていうと、今までの観てた映画の音は一体何だったのかと思ってしまうほどに革命的な音だった。生音そのものの迫力、臨場感、細かな音まで全部綺麗にこちらに飛び込んでくる。導入に凄いお金かかってそうだなとしか思わない。これ家に欲しい!と一瞬思ったけどそれが以下に血迷ったことかすぐに理解した。間違いなくこれから音楽が素晴らしい映画(音楽映画に限らず)はこのIMAXで観賞することにする。それくらい価値のあるものだった。

話をQUEENに戻すと、筆者は91年生まれなので彼らをリアルタイムに知っているわけではない。私とフレディマーキュリーが同じ地球で生きたのはわずか一か月と少しだけだ。でも高校生になったらQUEENは否が応でも聴くことになったし、ちょっと英語が話せたので、得意げに「Don’t Stop Me Now」をカラオケで歌ってたりなんかして。

決して彼らを語るほど思い入れはないし知識もないのだが、一つだけ彼らの凄さを生身で実感することがあった。以前から、イギリスではQUEENの「RADIO GA GA」がアンセムになっている、という事を知識としては知っていたが、25の時に実際にイギリスに行った時にそのことが真実だったことに気付かされた。ビートルズが若い頃によくライブしていたことで観光地にもなっているキャバーンクラブに行った時、もちろんビートルズのコピバンが演奏していて、みんなで「A HARD DAY’S NIGHT」とか「Hey Jude」とかを歌ったんだけど、それ以外にもOasisの「Don’t look back in anger」もやってたりして、その中でひときわ盛り上がったのが「RADIOGAGA」だった。そんなアンセムってこともよく知らずに個人的に好きで覚えてた曲を、リバプールの人たちと一緒に大声で歌えたことは今でも財産だし、その影響力と愛されっぷりに感銘した。老若男女みんなが歌える曲って大切だなあって思ったし、あれ以来日本でもそんな音楽が生まれないかと日々待ち望んでいる。